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安倍政権は、本当に国民経済のためになる政権か

歴史は語る 戦争より経済

イギリスにおける第二次大戦の英雄、チャーチル率いる保守党は、ナチスドイツに勝利をした余韻を持って、当然に国民の支持が得られると思っていたところ、まさかの結果に見舞われます。ドイツ降伏から2か月後の1945年7月のイギリス総選挙において、保守党政権はアトリー率いる労働党政権に敗北を喫します。イギリス国民は、いつまでも大戦の余韻を引きずるチャーチルでなく、「福祉の充実、生活の再建」を訴えた労働党に支持を寄せたわけです。

もう一つ、似たような事例が1992年のアメリカ大統領選挙です。湾岸戦争に勝利し、中東和平を進めたブッシュ(父)大統領の再選は固いと事前から言われ続けていました。一方で、米国民はアメリカの将来を喜ぶ一方で、経済への不満もたまっていました。そこに、「It’s the economy, stupid!」(経済こそが大切なんだ、愚か者!)とした刺激的なフレーズを掲げて、若いクリントン(夫)が大統領選挙に勝利します。当選後は経済に主眼を置き、財政再建も実現をしました。

安倍首相はわかっているように見えるけども

安保国会で見苦しい姿を国民に曝し、批判に耳を傾けずに集団的自衛権行使を認める法律を通した安倍政権。その余韻を打ち切るかのように、「新三本の矢」なんてものが出てきました。安倍さんは、チャーチルやブッシュの失敗を意識しているのかもしれません。だから3年前に再び政権に復帰した時も、最初は経済に力を入れ、そして今、再び経済に力を入れる姿勢を見せています。

しかし、目くらましに経済を使っているだけではないのか、私にはそう見えます。金融緩和と円安によって経済がよくなったと言うけども息切れ間近、地方創生も中途半端に数千億円を地方にばらまいているだけ、TPPはたかだか数パーセントの関税率を下げるために農業に大打撃を与えるような、無意味な交渉にも見えます。

GDPを600兆円にするとか、出生率を1.8にするとか、介護離職をなくすとか、一億総活躍社会を目指すとか、安倍さんが9月24日に掲げたアドバルーンは、確かに耳触りは悪くありません。ただ、自民党の政治はいつもそうですが、うまいこと期待させることに長けてはいるだけのようです。

経済と国民生活を本当に大切にする姿勢から、外交も見えてくる

冒頭に触れた、チャーチルとブッシュの敗北から学べることは、アトリーとクリントンは、本当に経済に目を向けていたと言うことです。その点からすれば、安倍さんはやはり、経済よりも自分の理想が先行しているように思えてなりません。

中国の習近平国家主席が、アメリカを訪れ、オバマ大統領と会談をしました。サイバーテロや南沙諸島問題での応酬ももちろん注目ですし、立場の違いが際立った会談ではありました。ただ、私の注目する最大のポイントは、両国は今後さらに経済的なつながりが高まり、国民生活の相互依存が深まっていく中で、対話が続くことです。実利からすれば少々の軍事的な衝突すらあってはならない状況に、両国が置かれる中、米中が現実に即した外交を進めようとしている大きな岐路に立っています。

自分の理想に突き進む安倍さんと、米中首脳の外交と、どちらがしたたかで国民利益に叶うか、そうした視点でも今の政治を見てゆくと、今の政治に対する評価も変わっていくかもしれません。

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