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原油価格が下がっているからという言い訳は成り立たない!

 それにしても、安倍さんという人は経済がどのくらい分かっているのかと思うのです。

 例えば安倍さんと麻生さんとでは、どちらが経済通と言えるのか?

 多分、安倍さんは、アベノミクスという言葉が世界的に広がったほどだから…と自信を持っているかもしれません。一方、麻生さんは、自分こそ現実の経済を一番理解している、と。

 どちらが経済通であるかという判断は、皆さんにお任せるとして…では、安倍さんは、自分が散々叫んでいたデフレからの脱却についてどう考えているのでしょうか。

 つまり、物価が基調的に下がるような状態からの脱却について、アベノミクス開始から2年9か月を経過した今、どのように考えているかということなのです。

 ところで、安倍総理は24日と25日に2日連続で記者会見を行いました。

 私、思いました。この人何を考えているのか、と。24日に記者会見をした後、何か予想もつかない事態が発生したというので、25日また記者会見をするのであれば理解できますが、25日の会見は国会の閉会に伴うものであるので、以前から予想されていたことなのです。

 だったら、1回にまとめればよかったものを、と。

 それをご丁寧に2日続けて会見を行い…しかし、だから国民はなおさら虚しくなってしまうのです。

 何故って、全然説得力がないからです。

 25日の会見で、私が一番失望した点は次のやりとりに現れています。

<共同通信の記者の質問>
 「総理、冒頭の発言でもされた「1億総活躍社会」あるいは昨日の会見でおっしゃった「介護離職ゼロ」「GDP600兆円」、大きな目標を掲げられていますが、その目標に具体的にどのような道筋で進むのか、今一つまだ見えていません。いつ頃までに、どういう政策でそういう目標を実現するのか説明をお願いします。」

 「昨日は日本の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、「1億総活躍社会」をつくると申し上げました。そのために「GDP600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」といった具体的な目標を掲げました。いずれも困難な課題です。その実現が一朝一夕で成し得ないことは、もとより覚悟の上であります。20年近いデフレが続き、日本人は自信を失いました。少子高齢化の克服がどうやってもこれは無理だと最初から諦めていたのではないでしょうか。」

 いいでしょうか、安倍総理は、ぐーたらぐーたらと喋りつづけたものの、結局、いつGDP600兆円を達成したいと考えているのか、何も言わなかったのです。

 こんなのありですか? 国民を愚弄しているのにもほどがある!

 会社の社長が、「君たち、給料を上げてやるからもっと頑張って欲しい」と言い、それに対し、従業員たちが「何時になったら上げてもらえるのですか」と聞いたところ、それには何も答えないのと同じです。それで、どうやったら従業員たちの士気を高めることができるでしょうか?

 さらに安倍総理はこんなことも言っています。

 「しかし、このまま放置していていいわけはありません。どこかでスタートをしなければ輝く未来を描いていく、あるいは実現していくことはできないわけでありまして、政権を我々が奪取したとき、あるいは3年前に私は総裁に就任をした際、デフレから脱却をするという大きな目標を掲げました。15年間も続いている中でデフレを前提として考えるべきだという人たちも随分いました。その中で、しかしまず目標を掲げ、そのためにこういう手段をとっていくということを表明しました。そのとき、それはもう不可能だということを随分言われました。しかし、実際、今、もはやデフレではないという状況をつくり上げることができたのです。」

 いいでしょうか、安倍総理に言わせると、もう「デフレでない状況」になったというのです。

 バカも休み休み言って欲しい!

 まさに25日の記者会見が行われたその日の朝に発表された8月の消費者物価指数は、な、な、なんと2年4か月振りにマイナスになっていたからなのです。

 そんなことも安倍総理は知らないのでしょうか?

 それとも安倍総理のいう「デフレ」は物価が下落、ないし停滞することではないのか?

 例えばGDPが成長すれば、デフレでないと考えるのか?

 でも、それはおかしい。何故ならば安倍総理の肝いりで日銀に2%の物価目標値を採用させたことは明らかだからです。

 さらに言うならば、4-6月期のGDPの伸び率がマイナスであったことも忘れたというのでしょうか。

 これで、どうしたら「デフレでない状況」と言えるのでしょう?

 そもそも、デフレだ、デフレだと騒ぎ立てていたのは安倍総理を含むリフレ派の面々ではなかったのかと言いたい!

 しかし、ここに到っても似非リフレ派は主張するのです。

 原油価格が低下しているから、物価が上がりにくくなっているだけで、原油価格低下の影響を除外すれば…つまり、コアコア指数でみれば、物価は上がっている、と。

 グラフをご覧ください。

画像を見る

 赤の線が、コアコア指数(食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合)を示しています。

 2014年4月から2015年3月までの期間は、消費税率の引き上げで2%分ほどインフレ率が引き上げられていることに注意をして下さい。

 確かに、このグラフから言えることは、コアコアでみれば8月は0.8%物価が上がってますが…しかし、それは、原油価格低下の影響を除いても物価はたった0.8%しか上がっていないとも言えるのです。

 目標は2%なのです。2年9カ月経過しても、たったの0.8%。

 しかも、この間、日銀が保有する国債は、2012年末の114兆円から312兆円と200兆円近くも増えているのです。日銀当座預金も、47兆円から236兆円と190兆円ほど増えています。

 2013年4月に、黒田総裁はマネタリーベースを2年で2倍にすれば必ず2%のインフレ率が達成できると言ったのですが、現実にはマネタリーベースは今や当初の2.4倍ほどにもなっているのに、原油価格の影響を除外したコアコアでみても、インフレ率は0.8%でしかないのです。

 どう思いますか?

 黒田総裁も、安倍総理も、このことについては何も言いません。

 私は、リフレ派の理論が完全に間違いだったということがここに証明されていると思うのです。

 消費税の増税がなければ、こんなことにはならなかった、と言うのですか?

 確かに消費税が引き上げられたことによって消費に水が差されたのは事実でしょう。しかし、消費税の増税で依然として消費者に負担を及ぼしているのはそのとりだとしても、前年同月比でモノを見る場合、増税から1年が経過すれば、1年前にも既に消費税増税効果が発生していた訳ですから、もはや消費税増税の効果はなくなっているのです。

 ということで、原油価格低下も、そして、消費税の増税も理由になり得ないということなのです。

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