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マイナスに転じた消費者物価上昇率は日銀のインフレ目標と整合的か?

本日、総務総統計局から消費者物価指数 (CPI) が、また、日銀から企業向けサービス価格指数 (SPPI) が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。ヘッドラインCPIの前年同月比上昇率は+0.2%、生鮮食品を除くコアCPI上昇率は▲0.1%と、国際商品市況における石油価格の下落に伴って、上昇率が大きく鈍化しています。ただ、ヘッドラインのSPPI上昇率は+0.7%とやや上昇幅を拡大しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

全国消費者物価、8月は2年4カ月ぶり下落 市場予想と同水準
総務省が25日に発表した8月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除いたコアCPIが103.4となり、前年同月比で0.1%下落した。前年比の下落は13年4月以来、2年4カ月ぶりとなった。原油価格の下落を受け電気代やガソリン価格が下がったことが主な要因。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.1%下落)とは同水準だった。

もっとも、菓子類の値上げや訪日外国人の増加による宿泊料の上昇などは物価を下支えした。食料・エネルギーを除く「コアコアCPI」は0.8%上昇の101.5となり、7月(0.6%上昇)から上げ幅が拡大した。総務省は「エネルギー価格下落の影響を除くと、物価の上昇基調は続いている」との見方を示した。天候不順でキャベツなどの野菜が値上がりしたこともあり、生鮮食品を含む総合指数も0.2%上昇した。

生鮮食品を除いた品目別では上昇が339、下落が131、横ばいが54だった。7月から上昇、下落ともに品目数がやや減り、横ばいが増えた。
先行指標となる9月の東京都区部のCPI(中旬速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が101.9と、0.2%下落した。原油安の影響で下げ幅は8月(0.1%下落)から拡大した。一方、都区部のコアコアCPIは0.6%上昇し、上昇基調が続いた。
8月の企業向けサービス価格、前年比0.7%上昇 リースや広告が値上がり

日銀が25日発表した8月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は102.9で、前年同月比0.7%上昇した。前年比でプラスになるのは26カ月連続。機械リースやテレビ広告などが値上がりした。前年比の伸び率は7月から0.1ポイント拡大した。前月比では0.2%下落だった。
価格が上昇した品目は65、下落した品目は43だった。上昇と下落の品目数の差は22で、7月確報の28から縮小した。品目数で上昇が下落を上回るのは23カ月連続だった。

品目別に見ると、産業機械や電子計算機関連リースが上昇した。企業によるリース料率の引き上げなどが影響した。テレビや新聞の広告料も値上がりした。大型のスポーツ特番が多かったため、番組枠を指定して出稿する広告が増えたとみられる。ホテル宿泊サービス料金も前年比で上昇基調を維持した。円安による日本人の国内旅行シフトや、外国人観光客の増加が寄与した。

大きく下落したのは、外航貨物輸送の料金だった。中国などによる在庫の積み増しが一服し、原油タンカーが値下がりした。割引サービスの導入で、国内航空旅客輸送の料金も下落した。日銀は「中国など海外経済が国内の企業向けサービス価格に与える影響を引き続き注視していく」(調査統計局)とした。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。

いずれも網羅的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、いつもの消費者物価上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。東京都区部の統計だけが9月中旬値です。いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。

上のグラフの最近数か月ほどをよく見ると、棒グラフのうちの黄色いエネルギー寄与度がマイナス幅を拡大している一方で、水色のエネルギーと食料を除くその他の寄与度がプラス幅を拡大しています。青い折れ線のコアCPI上昇率が低迷して、とうとう8月CPIからマイナスに転じた一方で、赤い折れ線のコアコアCPI、すなわち、エネルギーと食料を除くCPI上昇率はまだ決して高くないもののプラス幅を拡大しています。

これらを総合して、国際商品市況における石油価格の下落の寄与の方が大きく、コアCPI上昇率は2年4か月振りにマイナスを記録しています。また、物価に大きな影響を及ぼす賃金については、グラフは示しませんが、毎月勤労統計の7月確報が本日公表され、速報段階よりも実質賃金の前年同月比上昇率が+0.2%ポイント上方修正され、+0.5%となっています。日銀は物価の上昇基調に変化はないとし、来年2016年前半にはインフレ目標の2%に達するシナリオを堅持しているようですが、物価の粘着性を考慮すれば、半年余りで現状のマイナスのコアCPI上昇率から+2%まで大きく上昇率が引き上げられるとは考えがたく、何らかの追加緩和が実施される可能性が十分あると私は受け止めています。

他方で、先週の公開市場委員会(FOMC)において、米国連邦準備制度理事会(FED)は利上げを見送りました。日銀としてはイエレン議長が年内と繰り返し表明している米国の利上げのインパクトを見極めつつ、追加緩和を模索することとなり、ややタイミングとしては追加緩和も後送りされた気がします。

続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは上の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしています。ただし、SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

財貨のウェイトの高く石油価格動向の影響が強く表れがちなPPI上昇率よりも、SPPIは人件費の影響を受けやすいと考えられ、人手不足の影響もあって足元でサービス物価は上昇率を高めています。上のグラフからも、青い折れ線のPPI上昇率が右肩下がりのマイナス幅拡大基調なのに対して、赤い折れ線のSPPI上昇率はここ2-3か月で少し上昇幅を拡大しているのが見て取れます。8月統計では、リース、宿泊サービス、テレビ広告などのプラス寄与が高まっています。

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