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3年で約6億PV、世界展開、事象を詳報――メディア新時代を鮮烈に切り拓いた「クオーツ」の功績

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アトランティックメディア社が2012年に開始した、新鋭ビジネスメディア「Quartz(クオーツ)」 が3周年を迎えました。それを報告する記事では、さまざまなデータやこれまでの軌跡が示されていました。

クオーツが生みだした3年間の功績

フルタイムのジャーナリストが70名。3年間で5.8億PV、1.7億訪問数を記録しています。グローバルかつハイステータスな読者を狙ったメディアとしては十分な数字なのかもしれませんが、アフリカやインドへの進出によりさらに伸びる余地は大きいでしょうう。

多くの読者がアップルニュースやフリップボード、スマートニュース、グーグルニューススタンド経由で読んでいるとのこと。だからといって、コアな読者がいないかというとそうではありません。「Quartz Daily Brief」というニュースレターには15万6千人が登録しています(ぼくも購読していますが、半数ほどが開封しているそう)。そしてイベントもアメリカやイギリス、インドなど世界中で開催しています。

今年に入ってからの注目の動きとしては、動画も好調で3500万回再生を超えていること、クオーツが制作したチャートを検索したり、ダウンロードしたり、埋め込んだりできる「Atlas」というデータビジュアライゼーションプラットホームは異次元であること(2014年だけでも4000ほどのチャートが制作されているのだとか)、英語圏メディアらしく「Actuality」というポッドキャストを提供し始めていること……細かく終えていない間にさまざまな取り組みがおこなわれていました。

最後に、2013年〜2014年にかけてクオーツについて取り上げたブログ記事を参考までにいくつか紹介します。クオーツをあまり知らない方にとって、なんとなく概要を把握できるものになっていれば幸いです。 

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記者に「専門分野」は求められなくなるのか? クオーツが志向する未来のメディア像(2013年11月)

「No more "beats"(「専門分野」はもういらない)」

これはクオーツが掲げるメディア像の一つです。記者といえば、経済、社会、政治など特定の専門性のもと取材を重ね、記事をつくっていくことが求められていました(いまも求められることが多いと思います)。

ストレートニュースではなく特定テーマを追う

しかし、同メディアは「記者に専門分野は求められなくなる」と考え、メディア設計を行っているようです。500語以下のショート記事と800語以上の長めの記事を出していることでも知られていますが、その方式についても独特の編集方針を持っています。

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『クオーツ』は「オブセッション」という方式を取っている。常時、重要トピックを1ダースほど設定し、集中的に詳しく伝えている。これは雑誌スタイルとも言える。そしてまた、「クオーツ・カーブ」という編集哲学に基づき、記事を送り出している。

アメリカで躍進中のビジネスニュースサイト『クオーツ(QUARTZ)』 その編集方針と経営戦略を聞いた

この「オブセッション」とは、一定期間追いかけている特定のテーマのようなもの。現在のテーマは、「The mobile web」「Digital money」「Energy shocks」「Euro crunch」「China’s transition」「The future of finance」「The cloud」「How we buy」「Debt」「Borders」「Space Business」「Abenomics」「US Immigration」となっています。

経済系が多いのはビジネスメディアなのでもちろんですが、意外とデジタル系が多かったり、宇宙ビジネスなどもカバーしていたりと、「オブセッション」の変化を見ていくのも面白いかもしれません。

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クオーツ記者はある程度「オールラウンダー的」

さて、冒頭の記者の専門性の話に戻ります。エコノミスト紙を経てクオーツでグローバルニュースエディターを務めるGideon Lichfield氏は次のようなことを言ってます。

決まった専門分野を持つ代わりに、我々は絶え間なく進展する「事象」を集めるニュースルームづくりしています。「金融市場」は専門分野ですが、「金融危機」は事象です。「環境」も専門分野ですが、「気候変動」は事象です。(中略)我々はこれらの事象のことを「オブセッション」と呼んでいます。

クオーツはロイターをはじめとする通信社のコンテンツをアグリゲーションし、速報記事をカバーしています。そのため、この「オブセッション」に力を入れることができているのです。

ニュースを専門分野ではなく、事象で捉え、点ではなく、面でのコンテンツ発信を意識すること。さらに、Gideon Lichfield氏は、ニュースを事象で捉えることは分野を横断的にまたぐこともあるので、クオーツの記者はある程度「オールラウンダー的」にならざるを得ないとも言っています。

分野横断的にニュースを捉えていくこと

記者に専門分野は求められなくなり、ジャンル横断的になっていくのでしょうか。クオーツの掲げる「オブセッション」を含め、これからのメディア/記者像について考える一つのきっかけになればと思います。

専門分野を超え、分野横断的に「オブセッション」としてニュースの捉えるクオーツの志向するメディア像については引き続き目を向けていきたいところです。最後に、参考までにクオーツの特徴をいくつか挙げておきます。ウェブメディアを設計する際のヒントがあるかもしれません。

  • ページ型でなくストリーム型
  • バナー広告でなくネイティブ広告
  • 記事下部でなくパラグラフごとのコメント
  • レスポンシブWebデザインの採用(モバイル/タブレットを意識)
  • 速報はアグリゲーションでカバーし「オブセッション」に注力 

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