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日韓シンポ 東京で開催

大衆文化通じ50年の関係探る
冷え切った両国関係に懸念も

東アジア地域の平和構築に向けた研究活動などを行うアジア研究基金(ARF・文正仁理事長)は9月18日、東京都新宿区の駐日韓国文化院でシンポジウム「戦後の日韓大衆文化に表れる共同の熱望」を開催した。1965年の日韓基本条約締結から半世紀の両国関係を文学、映画、大衆歌謡を通じて振り返るのが狙いで、「日韓の不協和音が長引けば、新たな日韓を担う若い人たちの芽を摘むことになりかねない」と冷え切った両国関係を懸念する声も出た。

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シンポジウムでは3つのセッションがおこなわれた

ARFは日本財団が1995年、韓国・延世大学に10億円を寄付して立ち上げられた日韓共同研究基金を翌年、韓国外務省管轄下の公益法人に改組して発足、東アジア地域の平和と経済協力、日韓両国の相互理解や関係改善に向け活動している。

シンポジウムには日韓双方の研究者ら20人が参加。

1. 戦後の日韓文学作品に表れる共同の熱望―家族、故郷、そしてヒューマニズム的な平和
2. 戦後の日韓映画における普遍価値とコンセンサス
3. 大衆歌謡に表れる価値のコンセンサス

ーの3つのセッションを行い、双方の研究者が報告した相手国文化に対する研究成果について意見を交わす形で行われた。

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冒頭あいさつする日本財団・尾形理事長

文学では著者自身の義父を題材にした小田実氏の短編「『アボジ』を踏む」、朴正煕大統領体制を批判した詩人・金芝河氏の「五賊」、映画では黒澤明監督の「羅生門」や「生きる」、大島渚監督の「忘れられた皇軍」や「絞死刑」、さらに2014年に韓国でヒットしたユン・ジェギュン監督の「国際市場で逢いましょう」などが取り上げられ、その意義などについて幅広い意見が交わされた。

大衆歌謡では、しばしば歌のテーマとなる「こきょう」に対する日韓の違いや、日本で大きな盛り上がりを見せた韓流・K-POPなどが議論の対象となり、最近、K-POPの人気が下火となっている点について「韓国メディアは安倍政権にその原因を委ねたり、嫌韓ブームが追い打ちをかけたというが、実際は根本的な時代の変化にキャッチアップできていない、ということではないか」(帝塚山学院大リベラルアーツ学部・古家正亭客員教授)といった指摘も出された。

最後に韓国通で知られる俳優の黒田福美さんが「文化が国境を越える時、何を熱望するか」について朝日新聞の市川速水・前報道局長と対談。黒田さんは「98年の日本文化解放によって韓国は『無条件な日本否定』という呪縛から解き放たれた」としながらも、メディアの現状について「大使館前での日の丸焼き討ちなど『どぎつい映像』を流し合い、大多数の普通の人々の平穏な姿を報道していない」と批判、「不毛な時期が早く収束し、互いの言葉に真摯に耳を傾ける日が一日も早く来てほしい」と語った。

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30年の日韓を語る黒田さん

日韓は慰安婦問題などを通じて双方の「嫌韓」、「反日」ムードが高まり、冷静な議論が成り立ちにくい状況にある。シンポジウムを後援した日本財団の尾形武寿理事長は冒頭のあいさつで「両国は人種的にも歴史的にも近い関係。最近はギクシャクしているが長い歴史を見れば総じていい関係だった」と述べ早期の関係改善に期待を寄せた。

(宮崎正)

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