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【読書感想】まんがでわかるピケティの「21世紀の資本」

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まんがでわかるピケティの「21世紀の資本」 (まんがでわかるシリーズ)

内容(「BOOK」データベースより)

文鳥の飼い主が集まる交流会で知り合った貧乏OLの月村ひかりと大資産家の娘、天ノ川恵。2人の間に厳然と横たわるのは、ピケティが描いた「持てる者」と「持たざる者」の格差の壁。個人ではなす術もない大きな経済の趨勢を実感しながら、それでも流されたくないと願うひかりの選択とは―?いま最も熱い経済書の要点が、広がる格差の理由を示すr>gの意味がまんがでわかる!原書を訳した山形浩生が監修!

 こういう「マンガで読む」という形式のものは、本質から外れてしまうというか、あまりにもわかりやすすぎて、誤解を生む(あるいは、「わかったつもりになってしまう」)のではないか、ということで、日頃は手に取らないのですが、『21世紀の資本』は僕にはあまりにも敷居が高く、また「今さら頑張って読んでも、タイムリーとは言いがたいかもなあ……」ということで、まずは、これを手にとってみました。

 『21世紀の資本』の訳者の山形浩生さんが監修されているので、そこまで酷いものではないだろう、というのもあって。

(ブログから受けている印象でしかないのですが、山形さんは、「名ばかり監修」みたいな仕事はしそうもないな、と)


 で、この本を読んでみたのですが、「うーん、そんな簡単に『文鳥』で食べていけるのか?とか、お金持ちと知り合いになる、ということそのものが、いちばんハードルが高いのではないか、とかツッコミどころはあったのですが、『21世紀の資本』の概念は知ることができたのではないか、と。


 『21世紀の資本』といえば、「r>g」すなわち、どんなに汗水垂らして働いても、もともとお金を持っている人が資産を運用して得られる利益のほうが大きい、という式が注目されることが多くて、僕は「もともと資本を持たないものが地道に働いても、行き着く先はワーキングプア」という話なのだな、と思いこんでいたのです。

 格差に自身を縮小する力が同時に備わっているとは限らない。格差は経済学のいう「自然の力」によって安定するものではない。むしろ拡大する力で不安定になる。

 それは「資本収益率(r)>経済成長率(g)」という現実があるから。この後、彼の議論を見ていくが、r>gは理論ではなく歴史が示す事実。過去に蓄積された富は、労働で得る富より成長が早い、という意味だ。結果、富裕層がますます金持ちになる。

 もちろん、この本にも「r>g」の話は出てくるのですが、ピケティは「だから、頑張って働いてもムダだよ」と言っているわけではないのです。

 そういう「資本優位の状況」を踏まえたうえで、これから、世界は、どこに向かっていくべきなのか?を考えているんですね。

 現実から目を背けても、何も変わらないのだから。


 これを読んでいて印象的だったのは、「これからは、急激な経済成長が期待できる時代ではない」というのと、「経済というのものを、短期間(数年レベル)の動向でみるのではなく、少なくとも10年単位でみていく長期的な視野が必要だ、ということでした。

 日本に関しては、人口は減少に転じていくのに、経済だけが際限なく成長していく、などということはありえない。

 だからこそ、堅実な目標を立てて、「全体の成長によるトリクルダウン(富裕層が潤うことによる、下層への『おこぼれ』みたいなもの)」に頼らない、再分配のシステムが必要、ということなんですよね。

 ピケティは楽観的な未来予想図を描いているわけではないけれど、みんなにFXによるハイリスクな一攫千金をすすめているわけでもない。

 長い目で見れば、労働に関する格差を減らす最良の方法は、労働力の平均生産性と経済全般の成長率を上げる方法と同じで、教育への投資であることはまちがいない。…教育と技術が賃金水準のきわめて重要な決定要因なのだ。――『21世紀の資本』p.319――

 

 成書の『21世紀の資本』をちゃんと読まなければならないなあ、と思ってはいるのですが、僕みたいな『21世紀の資本』に乗り遅れた人への「とっかかり」としては、悪くないマンガではないかな、と。

 ちゃんと解説もついてますし。


 格差を解消する方法としては、累進課税などの政策的なものだけではなくて、インフレや戦争もあるのです。

 では、このまま格差が広がっていって、多くの人が行き詰まった場合、それをリセットするための戦争というのが起こってくる可能性があるかもしれません。

 これからの戦争は「外敵」よりも、「格差という内部の敵」が引き起こすことになるのだろうか。

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