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優しい左派リベラルのための「憲法改正」のすすめ -心情倫理を抱きしめて/原理としての憲法9条-

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安全保障関連法案が参議院で可決され成立しました。

採決までの数日間、国会前ではデモが続き、これに呼応するかのように主要野党による国会での強行採決阻止の動きがありました。

法案は通過しましたが、そもそもこれは防ぎようがなかったことです。このことは「国会前の敗北主義」に書かせていただいたとおりです。はたしてうまく敗けることが出来たか、それは今後の世論の動き、そして直近の来年8月の参議院選で明らかになることでしょう。

ただ、自分はこのへんについては非常に懐疑的です。日本の有権者はエキセントリックに視えるものに対してバランスをとる傾向があります。国会での野党の不信任案動議や審議の時間を延ばすための国会戦術的フィリバスター(議事妨害)に対して、どのように有権者が評価するのか。

有権者は安保法制を今後どのように受け止めるか

あくまでも自分の感触ですが、この強行採決までの各種の流れで、世論がかなり右振れしているような気がしてなりません。

もともと集団的自衛権については各種世論調査で半数は支持していました。これがこの数か月で反対派が増えていったのは、それが強引なやり方で採決に進められているということに対する生理的な嫌悪からのものだと思います。法案に対して説明が十分になされていないという不満もあったでしょう。これもエキセントリックな事象に対する揺り戻しのひとつです。

そうするといったん採決されてしまったものに対して、世論はどう視るか。戦後史の流れを見るとおおよそ察しがつきます。

「もうできてしまったものは仕方ないから、それはそれで次のことを考えよう」

いい加減といえばいい加減ですが、これまでの安全保障議論ではすべて反対しながらも追認していくというのが日本の中ではスタンダードになっていますので、それの良し悪しはともかくそういうことになっていくでしょう。
そもそも、安全保障というものは現状では選挙の争点になりにくいということもあります。

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投票で重視する政策「景気・雇用」47% 朝日連続調査

右のグラフは、昨年2014年の衆議院選前の朝日新聞による世論調査です。

この時点で、集団的自衛権の行使容認の閣議決定がなされた後です。

この時点でもずいぶんと議論になりましたが、それでも選挙の争点としては非常に低い結果が出ています。もう圧倒的に景気・雇用対策なのですね。

この衆議院選が結局いわゆるアベノミクスの評価と信任についてが結局は一番重要だったということです。

結局は経済政策 -アベノミクスと左派リベラル

このいわゆるアベノミクスに対する評価は割れるでしょう。ただ正直必ずしも的を得たとは言えない議論も一部にみられるのはどうかと思っています。「アベノミクスで格差が拡大した」という議論もどうにも眉唾で、これはもう少し時間を経ないとなんとも言えないというところが正解でしょう。選挙結果も不可でもなく優でもなくという結果に落ち着きました。

というわけで、たいへん申し訳ないんですが、この段階でアベノミクスは失敗した!とやっている人は、正直あまりにも近視眼的な人か、または政局目当てでなんでもかんでも安倍批判をしたいという人じゃないかと判断させていただいております。(もちろんだからといって、何も問題がないというわけではありませんが)

左派の方々の中には、安倍政権憎しのあまりに、景気が悪くなれと希望しているかのような発言を時々みかけてしまいます。政権打倒のために、生活者全体を巻き込むような話は全くついていけませんし、心底どうなのかと思います。ちなみに、かつてこれを左派の方々は「革命的祖国敗北主義」と呼びました。本当にカンベンです(笑)

いずれにせよ、次の選挙で大きな動きがあるとしたら、この経済対策に対する説得力ある施策が打ち出せなければどうにもこうにもならないでしょう。現時点での安保法制議論について国民の多くが懐疑しているものだとしても、来年の夏の参議院選挙でどこまで「怒りのマーケティング」が通じるかははなはだ心もとないものがあります。

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ここは特にダメ出しさせていただくとすれば、左派サイドの方々の経済オンチぶりはまことに惨憺たるものがあります。マルクスが経済をベースに政治を考えたのと程遠いものがあります。マルクスの相方だったエンゲルスは言っています。「共産主義は原理ではなく事実から出発する」と。

よってその「事実」はなんなのかを深く考えるべきです。

マルクスは経済が人間存在そのものを規定してきたとも言っています。いくら崇高な理念を唱えても今日何を食べるか明日のメシは食べれるのか、そっちの方が大事なのは当たり前のことなんですね。

マルクスの考えだと、国家というのは経済に優先する課題ではないのです。それなのに大概の左派のみなさんは国家の話ばかりしている。もちろんそれが捨て置ける話だということではないのですが、優先順位は経済だということは、ざんざんマルクスが口を酸っぱくして言い続けてきたことなのではないんでしょうか。

まあ、この話を始めると本当に左派のみなさんに対する当たりが強くなってしまい、それは本稿の本望ではないので切り上げます(笑)

以上を前提に、そろそろ先に進めます。そのため、左派リベラルのみなさんが好きな国家の話をしていくことにします。ずばり、左派リベラルが次の選挙に勝つための方法を考えていきます。

自衛隊へのタテマエとホンネ  -真実は広大な灰色の中間地帯にある

今回の安保法制に関する議論の中で、安保法制賛成派の皆さんから出てきた批判の中で、残念ながら全く有効と思しき回答が見受けられなかったものがあります。

すなわち、そもそも「自衛隊は違憲」じゃないか、というものです。

全くそのとおりで、この集団的自衛権の問題をそもそも論で突き詰めていくと、どうしてもここにたどり着いてしまうわけです。アンタたち違憲違憲という言うけれど、そもそも自衛隊は違憲じゃないのかね?それを容認しておいてどのクチでそんなこと言えるの?

まあおっしゃることはよくわかります。自衛隊の存在と憲法第九条が矛盾するのは誰の目にも明らかなわけですからね。で、これに対する合理的な反応はおおよそ3つに分けられます。

(1)違憲だから自衛隊は廃止するべきだ

(2)いや違憲ではない必要最低限の自衛権は憲法9条と反しない

(3)違憲だから自衛隊を認めるように憲法改正する必要がある

現在の自民党は(3)です。「結党以来の党是」と言っている人もいるくらいですから。ただ「駐留外国軍隊の撤退に備える」という大義名分はどこかに行ってしまってますけどね(笑) まあ憎まれ口を書くのはやめておきましょう。これ、この後また取り上げます。

日本共産党は基本的に(1)でした。ですが、2004年の党綱領の改定により、国民の合意に基づき段階的に縮小して廃棄する、とスタンスを改めました。かなり現実的な変化です。ただし、日米安保廃棄と自衛隊廃止というのは目指す方向としては変わってません。社民党もほぼこれと同じですね。

民主党はどうなのかというと、これはこっそり改憲派(3)です。彼ら曰く「未来志向の憲法」だそうです。このスタンスは維新も同じです。彼らはもうちょっと大っぴらですが。

公明党も改憲派です。「自衛のための必要最小限度の実力組織としての自衛隊の存在の明記」のための「加憲」だそうです。

で、これどういうことかというと、今日本の議会政党の主要な議席は、ほとんど憲法9条改憲派ということなんですね。

衆議院でいうと、社民と共産党を除いた452/475議席(95.1%)。参議院でいうと、228/242議席(94.2%)。もうパーフェトなまでに改憲派の圧勝です。かたや護憲派の議席数といえば、例えば納豆にマヨネーズを入れるとか梅干しを入れる人の割合(全国納豆協同組合連合会調べ)と同じくらいです。ね、少数派でしょ(笑)

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自衛隊・防衛問題に関する世論調査(内閣府 2015年1月)

おふざけはともかく、もちろん、これは至極当たり前のことなのです。

右の円グラフは内閣府の「自衛隊・防衛問題に関する世論調査 (2015年1月)」からのものです。

自衛隊に対する良い印象をもっているは「どちらかといえば」を含めて92%。これがすなわち自衛隊の存在を支持することになるかといえば、ちょっと違うのかもしれませんが、一番信頼できそうなデータなのでこのまま使います。

もう世の中で自衛隊は必要なく廃棄すべきという人は極々少数派だということでFIXでよろしいでしょうか。

さて、共産党が2004年の綱領で自衛隊は国民の合意によって廃棄する・・・と定めたのには理由があります。

これは共産党がことによっては連立政権・・・彼らの言葉によると「民主連合政府」が樹立できるのではないかと政局への対応を柔軟にしたということです。つまり、彼らも国民の同意のもとに自衛隊が廃止できるなんて思っていないのですね。よって「自衛隊は廃棄する」というのは現状ではタテマエにすぎません。

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憲法改正の世論調査、賛成と反対が拮抗

こういうタテマエとホンネは日本社会ではうまく機能するときがあります。かつて田中角栄は言いました。「真実は広大な灰色の中間地帯にある」と。

憲法改正に賛成か反対か。この問いのはほとんど憲法9条と自衛隊の問題だと言って過言ではないでしょう。

そしてこれが真っ二つに割れている。

そして、先の自衛隊肯定のデータを合わせてみれば、おそらく半数の「憲法改正は必要なし」という人の考えは次のとおりとなるでしょう。

憲法9条と自衛隊は矛盾しているし違憲だが、現状それでうまく行っているのでいいのではないか

まさに灰色の中間地帯です。グレーです。

これだと、確かに憲法改正の国民投票を呼び掛けても、必要な2/3は集められそうにはありません。ですので、今の政権は解釈改憲で集団的自衛権を位置づけることになったわけです。どのみち自衛隊も「解釈改憲」じゃないの?皮肉な笑みを浮かべながら、そう安保法制賛成派は言うわけです。これはごもっともというしかありません。

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私見です。

残念ながら、自分の予測では次回の選挙で集団的自衛権が選挙争点とはなるものの、政権を左右するようなものになるとは思えません。

いくら「民主主義的な手続きを経ていない」という一点突破の争点をあげても、残念ながら自衛隊廃止を唱えている政党への投票は、強引なやり口の自民党にお灸をすえさせる程度のものになるだろうと思います。また日本共産党に関しては日米安保に関する考え方もあまりに違いすぎるでしょう。

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右のグラフは、先にあげたのと同じ内閣府の2015年1月の調査です。

日米安保を評価する人は83%、現在の日米安保と自衛隊での安全保障を求める人は85%。この状況で共産党や社民党が政権担当能力があるとみなされるはずがないというのは誰にでもわかることです。

マヨネーズ入り納豆が一般家庭の食卓のメニューにのることがないように(笑)

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