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マーリーズ・レビュー

みずほ総合研究所は英国のノーベル賞経済学者、ジェームズ・マーリーズ氏が中心になって昨年11月にまとめた税制改革指針「マーリーズ・レビュー」をリポートで紹介した。1978年に公表されたミード報告の後継報告書といわれ、

「今後数十年間、世界の税制改革論議に影響を及ぼし続けると予想される」(鈴木将覚氏)という。


(日経ヴェリタス2011年1月9日14面)

【CFOならこう読む】


マーリーズ・レポートの提案の骨子は次の通りです。

1.所得税と国民保険料、各種給付の制度的統合

2.5歳以上の子供を持つ親と、55〜70歳の労働者の勤労意欲を高める税制

3.付加価値税の優遇税制や非課税措置を廃止し、課税ベース拡大

4.銀行利子など貯蓄の正常収益に対する課税を廃止

5.株式の調達コストにも支払利子控除と同様の「株式控除」を認める

6.法人税率と配当や譲渡益への税率の合計を、勤労所得の税率と同一に


レポートは企業に対する課税についてACE(Allowance for corporate Equity)の導入が検討されるべきであるとしています。
ACEの課税ベースは次のように計算されます。

「収入−賃金−法定減価償却−利払いーみなし収益率*株主基金=通常の法人所得−みなし収益率*株主基金=超過利潤に相当」

(「マーリース研究会成果報告」佐藤主光 一橋大学大学院経済学研究科・政策大学院教授)

ACEの長所について岡村忠生教授は次のように説明しています。
「法人税が課されるのは超過利益だけであるから、法人による限界投資が非法人より不利に扱われることはない。このことから、ACEは、資金調達だけでなく、投資するかどうか、どのような投資をするかについても、中立的であるとされる。
さらに、ACEの対象となる留保利益は法人税の課税が済んでいることから、所得がいつ課税の対象になるかによる税負担の差は、現在価値としては生じない。すなわち、たとえば、現在、含み益を実現して課税を受けた場合、(利益を配当しない限り)その金額だけACEの対象となる留保利益が増加し、ACEの控除により爾後の税負担が軽減される。これを、将来に含み益を実現した場合と比較すると、実現された含み益に対する税負担の現在価値の差は、

ACEによる税負担の差により、理論上は完全に打ち消される(前提条件はある)。このような課税時期に対する税の中立性は、ACEの大きな利点である」

(「これからの法人課税と税法学の課題」)


株式の調達コストに控除を認めることは、大きな税収ロスにつながると考えられますが、レポートは、これを税率の引き上げで対応すべきではないと言明しています。
「レントに対する適切な税率は、移動しないレントに対する課税から得られる利益と移動するレントに課税することから生じる不利益を比較して決められるべきである。このため、税率水準は他国の税率や経済統合の度合いにも依存するが、一般的には税率引き上げは多国籍企業が利益を英国外に移すインセンティブを高める。税率を引き上げることなくACEを導入し、税制全体で税収がバランスするようい調整することが望ましい」

(「マーリーズ・レビューの税制改革案」みずほ総合研究所 [PDF]

【リンク】


マーリーズ・レビューの税制改革案」みずほ総合研究所 [PDF]

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