記事

対極的なトヨタとマツダの提携。真の狙いはどこにあるか - 中西孝樹

今年5月、トヨタとマツダが業務提携を発表。環境技術などで協力関係を築くというが、資本提携や具体的な事業構想はなかったため、その真意が伝わっていない。規模において大きく勝るトヨタのメリットを疑問視する声もある。

そもそもこの2社は、非常に対極的な立ち位置にある。三河の豊田市に企業城下町を形成するトヨタに対し、広島の府中町に本拠を構えるマツダ。1979年から米フォードと資本提携していたマツダに対し、83年にGMと合弁会社を設立するなど関係を深めてきたトヨタ。住友銀行をメーンバンクとしていたマツダ、三井銀行と創業家が姻戚関係にあるトヨタ……。何から何まで対照的だ。

それがなぜ提携を結ぶことになったのか。ポイントはデンソーだ。

デンソーは言うまでもなくトヨタのグループ企業だが、実はマツダともエンジンの共同開発をしている。マツダの新世代エンジンシステム「スカイアクティブ」もデンソーなしでは実現できない技術と言っていい。この「マツダ―デンソー」で開発するエンジン技術は、トヨタにとってもいずれ自社の利益となる一方、マツダがどこかの外資企業に買収されれば、国外流出する恐れもある。

トヨタは、マツダとの提携を単なる企業間関係ではなく、国家単位の長期的な視点で考えていると私は見ている。日本にとって、自動車産業は外貨の約半分を稼ぎ出すまさに中核産業。グローバルな競争力を維持するためには、電気自動車や自動運転も大切だが、まずは内燃機関で絶対的な優位を確立することが先決だ。トヨタは、それをマツダとの提携によって実現しようとしている。

提携の発表会見では、両社長が「ふるさと」という言葉を強調していた。2社の故郷である三河や広島の企業文化を守り、ひいては自動車産業、日本の産業構造を守っていく。非常に高所に立った提携なのだ。

あわせて読みたい

「自動車業界」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    iPhone12 ProMaxからiPhone13 ProMaxに買い替えた結果

    永江一石

    09月27日 14:35

  2. 2

    米タイム誌が評価した隈研吾氏の新国立競技場が「負の遺産」に

    渡邉裕二

    09月27日 09:00

  3. 3

    不誠実な政治家は国民が生んだ?菅首相の弁論回避が合理的になった理由

    物江 潤

    09月27日 10:26

  4. 4

    詐欺が増加する不動産取引 司法書士はリスクに見合う仕事なのか

    内藤忍

    09月27日 15:28

  5. 5

    スーパーシティって何だ?

    ヒロ

    09月27日 10:32

  6. 6

    世襲だらけの非自由非民主党の総裁選は選挙の顔で選ぶのか

    篠原孝

    09月27日 18:40

  7. 7

    次の総理・世論調査 「立憲支持者も河野1位」の驚愕

    田中龍作

    09月27日 14:50

  8. 8

    TPPの厳しいハードルを迅速にクリア出来るのは中国か?台湾か?

    船田元

    09月27日 14:56

  9. 9

    緊急事態宣言とまん延防止措置、30日で全面解除の方針固める 政府

    ABEMA TIMES

    09月27日 20:09

  10. 10

    【読書感想】スポーツとしての相撲論 力士の体重はなぜ30キロ増えたのか

    fujipon

    09月27日 11:28

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。