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  • グラ
  • 2011年05月18日 01:13

原油とガスの欧米価格差(2)・・・原油

最初に原油から。と言っても、人さまからの引用に終始するわけですw

通常、油質の違いが原油価格に影響すると言われます。ナマの原油すら見たことのないど素人なので、その違いも価格への影響の程度も見当がつかんのですが。wikiによるとWTIとブレント、そしてドバイの油質は次のようになっている。

WTI: API度 (API gravity) 39.6, 硫黄分(sulfur) 0.24%
Brent: API度 38.06, 硫黄分 0.37%
Dubai: API度 31, 硫黄分 2%
また、09-10年にかけてOPEC諸国がWTIの代わりに参照価格に採用したASCIは、
ASCI: API度 28.25〜30.25, 硫黄分 1.7〜2.4%

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ソースは、Argus Sour Crude Index

幾つかの油種の合成指標であるASCIはドバイに近い中〜重質油。一方、WTIとブレントはともに軽質油に分類されるが、その違いは僅かなもののように僕には思える。若干、WTIのほうが軽質かつ低硫黄なので、通常はWTIのほうがブレントよりも高品質=高価格と見なされる。

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WTIの相対価格が下落している理由についてだが、この記事の説明が最も詳細で分かりやすかった。
Our Finite World: Why are WTI and Brent Prices so Different?

今回、はじめて知ったことですが、米国の石油関連の統計では本土48州がPADD(Petroleum Administration for Defense District)と呼ばれる5つの地域に分かれている。そして、 WTIの現物引渡しが行われるオクラホマ州クシンを含めた中西部はPADD2に分類されている。
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このPADD2にはパイプラインによって南北から原油が送られてくるが、出て行くパイプラインはほとんどないか、あるとしても容量が小さい。そういう構造のなかで、北部からカナダのサンド・オイルの輸入が増えたほか、PADD2に含まれるノースダコタ州のシェール・オイルの生産が急増したため、PADD2において原油がダブついた。これがWTIの価格を押し下げた、ということらしい。

ft.com/alphaville: WTI’s upcoming ‘Keystone’ problem

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実際に、PADD2の原油在庫だけが10年末頃から急増している。
Weekly Petroleum Status Report
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他に参考にしたもの。
Econbrowser: Brent-WTI spread
EIA "Today in Energy FEB 28, 2011": WTI-Brent crude oil price spread has reached unseen levels
ロンドン滞在記:WTI-Brentスプレッドの拡大

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ここで、参考にした記事ではカナダ・エドモントンから伸びるKeyStone Piplineの第一弾が2010年4月に開通したことをPADD2での原油ダブつきの主要因として挙げている。しかし、PADD2の輸入量(ほとんどがカナダから)とノースダコタでの原油生産を並べてみると、ノースダコタの生産が急増していることのほうが影響は大きいんじゃないだろうか?

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これも全く知らなかったんですが、ノースダコタの原油生産は過去3-4年急増を続けていて、今やテキサスに次いで全米第2位の原油生産州となっている。そのほとんどがオイル・シェールから産出されているらしい。知らんかったな〜

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しかし、ノースダコタの原油はその輸送コストの高さから他地域よりも大幅なディスカウントとなっている模様。ここで提示されている価格はビッド・プライスなので必ずしも取引価格というわけではないだろうが、WTIよりも16ドル安く、カンザスなどその他地域よりも10ドルほど安い。

上のOur Finite World氏が引用している記事によれば、クシンからメキシコ湾岸までの輸送コストはトラックで10ドル/バレル、鉄道で6ドル/バレルらしい。クシンからノースダコタまではこの倍の距離がある。WTIに対するノースダコタ油のディスカウント16ドルは輸送コストに見合った水準なんだろう。

足下では原油価格が下落している。更に下落した場合には、ノースダコタのシェール・オイル(そしてカナダのオイル・サンド)はもともと採掘コストが高いだろうし、加えて輸送コスト高による売値のディスカウントから採算性が急速に厳しくなるだろう。たぶん、テキサスなどのストリップ・ウェルズよりも採算性が厳しいため、ノースダコタから生産が落ち込み始める。そして、PADD2での原油ダブつきが緩和され、WTIとブレントのスプレッドが若干縮小する。。。といっても、過去の原油価格と生産動向からは、WTIが80ドル以下になって初めて起きることだろうが。

シェール・オイルに関する参考記事。
Our Finite World: Is “shale oil” the answer to “peak oil”?
Business Watch: Adding value to oil: Refining the state’s energy industry

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年初来の原油価格の変動にもかかわらず、WTIとブレントのスプレッドは10-15ドルで維持されている。『スプレッドを決めているのは、クシンとメキシコ湾岸までの輸送コストであり、マージン込みで考えて10-15ドル/バレルが適正なスプレッドだろう』というDennis Gartman氏の見解(上の引用と同じ)は正しかった。

他の要因もWTI-ブレントのスプレッドに影響を与える。米政府の承認待ちであるKeyStoneパイプラインの増設(KeyStone XL)はエドモントンからノースダコタ、クシンを通ってメキシコ湾岸を直接結ぶ計画だが、これが順調に承認されるとしても、KeyStone XLの稼働は2013年と見込まれている。それまでスプレッドは解消しないというのが一般的な見方だろう。

また、メキシコ湾岸からパトカに原油を送っているConocoPhillipsのCapline Pipelineが逆送されて中西部からの輸送ルートが確保されれば、同様にスプレッドは解消に向かうだろうが、ConocoPhillipsは逆送させる予定はないそうだ。

この他、オイル・シェールの採掘に関する環境規制が強化されればオイル・シェールの採掘コストを引き上げるためスプレッド縮小要因となるが、一方、KeyStone XLに関する環境規制が強化されると、中西部における原油ダブつきが続くため、スプレッドが維持される要因となる。

・・・というふうに、原油に関しては米中西部(PADD2)における市場の分断が価格差を生み出し、そのスプレッドは中西部から世界市場(メキシコ湾岸)への輸送コストによって決まっている、ようなんですが、これと同じような構図はガスにおいても生じていると思うのです。

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