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特集:2016年選挙とドナルド・トランプ現象

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●2016年選挙のテーマを求めて

ともあれ、「またもクリントン家とブッシュ家の戦いか?」などと言われていた2016年選挙の序盤戦を盛り上げてくれたことは、トランプ旋風の功績と言えよう。それ以上に、今の米国における「怒れる有権者」の気分を掘り当てた意義は大きい。 景気指標から言えば、「米国経済は好調だ」ということになっている。だが、普通の国民が好況に沸いているかといえば、けっしてそんなことはあるまい。企業業績が好調であっても、失業率が5.1%まで下がっていても、景気信頼度は低く、ワシントン政治に対する信認は地を這うような水準である1。だからこそ、「この国は日に日に偉大でなくなりつつある」「中国の指導者は、われわれの指導者よりも賢い」といったトランプ氏のメッセージがリアルに響くのであろう。

1 ギャラップ社のEconomic Confidence Indexは、今年初めに金融危機以降で初めてプラスに転じたが、直近の9月データではまた▲14に低下している。

もうひとつ、「政治家の言葉」に対する信頼が極端に低下していることも明らかになったと言えよう。普通の政治家が問題発言をすれば、非難を受けて支持率は下落する。しかし政治家ではない――暴言が売りのテレビタレントと思われている――候補者が口にすれば、いくらマスコミが叩いてもほとんど効果がないのである。

ことによると米国政治には、オバマ大統領という見た目がカッコよく、言葉が巧みで、けっして失言しない大統領の時代が6年半も続いたことによる反動が生じているのかもしれない。プロ政治家の美辞麗句に信用がおけなくなり、有名人のぶっちゃけ本音トークに人気が出ているようなのである。わが国における一時期の橋下徹大阪市長人気にちょっと似ている。

2016年選挙の序盤戦の焦点は、このトランプ現象をうまく解析し、有権者に対して「解決策」を提示することであろう。それはプロ政治家の仕事でなければならない。共和党の候補者選びにおいては、アウトサイダー候補の優勢が当面は続くだろうが、2016年に入って予備選挙の日程が近づくと、「勝ち目のある候補者」に目が向くようになる。雰囲気は一変するはずである。

つまるところ、トランプ氏が第45代合衆国大統領に就任している未来は想像しがたいので、共和党の候補者選びはエスタブリッシュメント候補の誰かに落ち着くことになるのではないか。仮に馬券を買うのであれば、筆者ならば以下の4候補から選びたい。ちなみに<>内のオッズは、選挙サイト”2016 Election”による2

○共和党内の有力候補
● ジェブ・ブッシュ元知事(フロリダ州) <4/1>
  知名度や資金量で他を圧倒し、スタッフも充実。「ブッシュ」という名前が重荷。党内の好感度をいかに上げるかも課題。

● マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州) <5/1>
  キューバ系でアメリカンドリームの経歴。クリントン相手の戦いは、若さが武器になる。政策面では一層の研鑽を要す。

● スコット・ウォーカー知事(ウィスコンシン州) <7/1>
  民主党州で奮闘している保守的な知事。労組との戦いぶりで名を上げた。弱点は「大学を卒業していないこと」。

● ジョン・ケイシック知事(オハイオ州) <30/1>
  オハイオ州で2度当選の実績あり。政策的には穏健。クリーブランドで行われた討論会では「地元の利」を得ながら、いまひとつ目立たなかった。


2 http://www.2016election.com/2016-republican-nomination-odds/ ちなみにドナルド・トランプ氏のオッズは10/1となっている。

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