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特集:2016年選挙とドナルド・トランプ現象

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レイバーデイ(9月の第1月曜日=今年は7日)を過ぎたら、米国政治の夏季休暇は終了。連邦議会は動き出すし、米大統領選挙の候補者選びも本格スタートとなります。9月16日には、共和党の第2回候補者討論会がレーガン記念図書館で行われる。いよいよ2016年選挙の季節が始まろうとしています。
序盤戦最大の注目点は、不動産王ドナルド・トランプ氏が共和党候補者選びでフロントランナーとなっていること。多くの人が嫌悪感を表明していて、それは今週号のThe Economist誌カバーストーリーも例外ではありません。しかるにこの現象、そんなに悪いことばかりでもないと筆者は考えております。


●2016年選挙の歴史的な位置づけ

来年は4で割り切れるうるう年。夏季五輪大会が開催され、米大統領選挙が行われる年となる。そろそろこの問題を取り上げるのに適した時期が近づいている。最初に、これまでの米大統領選挙の歴史を軽く振り返ってみよう。

次ページにある通り、1980年以来の米大統領選挙は共和党の5勝、民主党の4勝とほぼイーブンである。最近は「新人が現職を打ち破る」ことがめずらしくなり、1992年以降は4代の大統領が揃って2期8年の任期を全うしている。ゆえに大統領選挙は、「現職対新人」(現職が勝利)→「新人対新人」(野党側新人が勝利)というパターンが続いている。
仮に次回の選挙で共和党が勝つとしたら、「野党側新人の勝利」となってこのパターンが継続することになる。逆に民主党が勝ったとしたら、1980年代に共和党が果たして以来の同一政党3連勝ということになる。

第2次世界大戦以降の歴史で、同一政党が3連勝したことはこの1988年の1回だけである。その1980年代は「保守主義の時代」と呼ばれた。ルーズベルト大統領が築き上げたリベラル派の天下を、レーガン大統領の時代にひっくり返したというわけである。それから30年、仮に次の選挙で民主党候補(例えばヒラリー・クリントン)が勝てば、もう1回振り子が触れて、リベラルの時代が到来した、という評価になるだろう。
他方、共和党の候補が勝った場合は、今までのサイクルが続くことになり、「やっぱり米国は中道右派の国」ということになりそうだ。少し大袈裟な言い方になるが、2016年選挙で問われるのは、「時代はどっちに向かっているのか」である。


また、過去9回の選挙を振り返ってみると、「新人対新人」の年は常に激戦となっている。2008年選挙は「オバマ対ヒラリー対マッケイン」の三つ巴の大熱戦だったし、2000年選挙は「フロリダ再集計」の騒動を招くほど僅差の戦いであった。2016年も、かなり面白いレースとなることを期待していいのではないだろうか。

●2016年選挙の日程は先祖がえり

次に来年の選挙カレンダーを確認しておこう。
近年の米大統領選挙では、「予備選日程の前倒し傾向」が続いてきた。2012年選挙などは、最初のアイオワ州党員集会が1月3日に行われたほどである。これは各州が、「わが州の有権者の意向を大統領選びに反映させたい」と考えるからだが、皆がそうしてしまうと予備選が短期集中決戦となってしまう。

2016年選挙は以下の通りとなっている。オーソドックスなスタイルに戻って、「序盤戦4州は2月に実施」「3月は南部を中心に開票」「大票田であるニューヨーク州は4月、カリフォルニア州は6月」という、昔に戻ったようなゆとりある日程となっている。「候補者が全米を回りながら、政策論争を煮詰めていく」という本来の姿に立ち返ったようだ。もっとも共和党にとっては、候補者が多過ぎてすんなり決まらず、2012年のような「恐怖の長期消耗戦」に陥るリスクもあると言えよう。

○米大統領選挙関連日程
1月16日  台湾総統選挙
2月1日   アイオワ党員集会
2月9日   ニューハンプシャー州予備選挙
2月20日  共和党・サウスカロライナ州予備選挙/民主党・ネバダ州党員集会
2月23日  共和党・ネバダ州党員集会
2月27日  民主党・サウスカロライナ州予備選挙
3月1日  テキサス州など13州で予備選挙、党員集会(Super Tuesday)
3月15日  フロリダ、オハイオなど5州で予備選挙(Crucial Tuesday)
4月19日  ニューヨーク州予備選挙
6月7日  カリフォルニア州など5州で予備選挙・党員集会
7月下旬  参議院議員選挙(日本)
7月18-21日  共和党大会(クリーブランド、オハイオ州)
7月25-28日  民主党大会(フィラデルフィア、ペンシルバニア州)
8月5-21日  リオデジャネイロ五輪
10月  テレビ討論会(3回)
11月8日  大統領選挙投票日
2017年1月20日  新政権発足(第45代合衆国大統領が誕生)

もうひとつ、近年の選挙では「党大会日程の後ろ倒し傾向」も目立っていた。2008年選挙では、両党の党大会がいずれも9月に行われたほどである。あのときは、民主・共和両党の正副大統領コンビが正式決定した直後にリーマンショックが起きた。本選挙までの日程が窮屈な中で、金融危機対策が行われたことをご記憶の方は少なくないだろう。
その点、2016年選挙の党大会はいずれも7月中に実施される。これまた昔のスタイルで、8月のリオ五輪期間中は選挙戦がお休みとなりそうである。なお、共和党はオハイオ州、民主党はペンシルバニア州という重要激戦州を選んでいるのは「定跡通り」である。

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