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- 2015年09月11日 16:00
油断できない日本の台風被害ー年平均3個が上陸
9月9日、東海地方に上陸した台風18号と10~11日に関東・東北の東方海上を通過した台風17号は、北関東、南東北に記録的な豪雨を伴い、鬼怒川の堤防決壊で、栃木県、茨城県に約25人の行方不明者を出す水害を引き起こし、また宮城県でも渋井川の氾濫で犠牲者が発生した。毎年のように重大な災害を引き起こす、日本における台風のデータをまとめてみた。

2004年には6月から11月まで、過去最多の10個の台風が日本に上陸。人や建物などの被害に加え、農・林・水産業の被害も甚大(16号が1,054億円、18号が1,262億円、23号が934億円など)で、経済への打撃も深刻だった。この年は平年より太平洋高気圧が北側に位置し、台風が日本付近を経路としやすい気圧配置が続いた。
日本政府はその後、高潮対策や河川の洪水対策など防災に力を入れ、以前のような規模の台風被害はなくなった。1970年代の台風による死者の最大は76年17号の169人、80年代は82年10号の95人、90年代は91年19号の62人だった。2000年代、2010年代にも死者・行方不明者が100人を超す台風被害は起きていない。
一方で、この40年以上にわたり「3大台風」に匹敵するほどの巨大台風が、九州から北海道にかけては接近していないことも確かだ。
2005年に米南東部を襲ったハリケーン・カトリーナ、2013年の台風30号のフィリピンでの大惨事を契機に、「地球温暖化がスーパー台風を生んでいる」と主張する議論がある。しかし、気象庁は「これまでの発生数や強い台風の発生割合などに明瞭な増減傾向はない」と説明。同庁気象研究所が参加した研究グループによる今世紀末ごろを想定した温暖化シミュレーション実験では、熱帯低気圧の数は減少する一方、非常に強い熱帯低気圧の出現数は増加する傾向があるとの結果が出たという。
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油断できない日本の台風被害―年平均3個が上陸
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・気象災害を生き抜くために「災害過保護」から脱却せよ
7月から10月に日本に接近・上陸
台風とは北西太平洋で発生する熱帯低気圧のうち、最大風速が17.2メートル/秒のもの。気象庁によると、1981-2010年の30年に平均年26個の台風が発生し、約3個が日本列島に上陸している。低緯度で発生する台風は春先には西に進んでフィリピン方面に向かうが、夏になると太平洋高気圧の周りに沿って北上するものが多くなる。日本へは7-10月に接近し、上陸は8月から9月が最多。特に9月に上陸する台風は秋雨前線の活動を活発にし、大雨が災害発生につながる。
過去10年、大きな災害が平均年2回弱発生
引き起こされる災害は風害・水害・高潮害・波浪害などがあるが、多くの場合はこれらが複合して発生し、大きな被害をもたらす。2004年には6月から11月まで、過去最多の10個の台風が日本に上陸。人や建物などの被害に加え、農・林・水産業の被害も甚大(16号が1,054億円、18号が1,262億円、23号が934億円など)で、経済への打撃も深刻だった。この年は平年より太平洋高気圧が北側に位置し、台風が日本付近を経路としやすい気圧配置が続いた。
「昭和3大台風」では数千人の犠牲も
日本では1930-50年代、数千人が台風の犠牲となる大災害を経験している。特に「室戸台風」、「枕崎台風」、「伊勢湾台風」(発生・上陸順)は昭和の3大台風とも呼ばれている。日本政府はその後、高潮対策や河川の洪水対策など防災に力を入れ、以前のような規模の台風被害はなくなった。1970年代の台風による死者の最大は76年17号の169人、80年代は82年10号の95人、90年代は91年19号の62人だった。2000年代、2010年代にも死者・行方不明者が100人を超す台風被害は起きていない。
一方で、この40年以上にわたり「3大台風」に匹敵するほどの巨大台風が、九州から北海道にかけては接近していないことも確かだ。
2005年に米南東部を襲ったハリケーン・カトリーナ、2013年の台風30号のフィリピンでの大惨事を契機に、「地球温暖化がスーパー台風を生んでいる」と主張する議論がある。しかし、気象庁は「これまでの発生数や強い台風の発生割合などに明瞭な増減傾向はない」と説明。同庁気象研究所が参加した研究グループによる今世紀末ごろを想定した温暖化シミュレーション実験では、熱帯低気圧の数は減少する一方、非常に強い熱帯低気圧の出現数は増加する傾向があるとの結果が出たという。
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油断できない日本の台風被害―年平均3個が上陸
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