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「階層社会」とは「暴力社会」

■階層社会は多くの問題を含む

2ヶ月くらい前にある記事(おかあさん、90才まで生きましょう!!~思春期は40才で終わる)ですごいPV数に到達して以来(具体的な数はあげられないが100万PVは余裕で超えている)、その前と比べてこのYahoo!ニュース個人の僕のPV数が微妙に増えたのだが、日本の「潜在的問題」(虐待や難病等)を顕在化させることが僕の運営する法人(一般社団法人officeドーナツトーク)の行動指針である以上、注目されることはありがたく思っている。

前回の記事(階層社会では誰も「透明」ではいられない)もアクセス数はそれほど多くはなかったが知り合いからはいくつかの感想をもらった。

あの記事では、階層社会では誰も中立でいることはできないというメインテーマとともにいくつもの論点が含まれていた。

それはたとえば、ひきこもり問題とはミドルクラス(中流階層)で起こる問題だということや、階層社会とは言い換えると「暴力社会」だということだ等々が含まれている。

このように階層社会は多くの問題系を含む。

ひきこもり=中流の問題もそこに絞って語る必要があるが、今回は「階層社会=暴力社会」という点についてあらためて指摘してみる。

この「暴力」という点を押さえておかないと、競争原理にたつ新自由主義者の人々に対して、階層社会のどの点が「悪」かということを説明しにくい。

■エコノミカルな奔放さ

経済的な新自由主義は結果として激しい階層社会を構築し、いまの日本であれば2,000万人の相対的貧困者がいるといわれる(たとえばこの記事→悪化する日本の「貧困率」)。

が、ごく少数ではあるもののアッパークラス(上流階層)も形成され、ボリュームとしては以前よりも細くなってはいるが内在パワーは力強いものを秘めているミドルクラス(中流階層)の両者が引っ張る勢いによって社会に力強さがみなぎるという見方もわからないではない。

そのエコノミカルな奔放さは、ポストモダン哲学のドゥルーズとガタリであれば、「群れ」「戦争機械」「リゾーム」「スキゾ」(これは浅田彰氏かな)などと表現し、制度やシステムでは抑えきれない人々の「力」は賞賛されるのかもしれない。

階層社会の結果生じる膨大な貧困層はどれくらいかというと、上述2,000万人が相対的貧困層とされたり(+平均年収240万強ラインとこの相対的貧困ライン〈年収122万程度〉の間にかなりの人々が存在)、『21世紀の資本』著者ピケティによれば日本の貧困層は4割であったり、全労働者の4割が非正規雇用である等々の数字をみていると、日本の「アンダークラス」は全体の40%といってもいいだろう。

実は、その40%の中で、経済学者やポストモダン哲学者が想定したこと以上の荒っぽい事象が吹き荒れている。

それは単に、年収が少なくなり貧困になり、毎月の生活費や小遣いが減って外食や遊びにも行けず高価な服が買えなくなるといった、紋切り的貧困事象だけではすまないのだ。

■暴力

つまり、そこには虐待abuse(直訳は「力の乱用」)があり、子どもやハイティーンに対するひどい扱いがある。

そのひどい扱いとは、性的な暴力、殴る蹴るの暴力、経済的養育拒否、部屋や食事提供等の物理的養育拒否(養育拒否はネグレクトと一括りにされるが実態は複雑で幅広い)、言葉の暴力(心理的虐待とまとめられるが要は言葉の暴力だ)などに現れ、これらが複数重なって生じている。

同時に、大人の男が大人の女を殴っている。つまりはドメスティックバイオレンスDVが生じている。

ここでは同時に、アルコールやドラッグ依存症(アディクション)の問題が並走しており、ということは「殴った側(大人の男)は殴ったあと泣きながら殴った相手に対して謝り、殴られた側(大人の女)は『私が殴られることでこの人が外で犯罪しなくてもすんでいる、私がこの人を守っている』と思う」という、いわゆる「共依存」が生じている。

その共依存を、その家でともに暮らす子どもたちは見ている。

その、ともに暮らす子どもたちは、実のきょうだいばかりでもなく、大人の親たちが連れてきた子どもたちで急遽形成された所謂「ステップファミリー」だったりする。

そのステップファミリー内において思春期の男女が急遽同居することになり、多くは女性側が家にいられなくなってくる。そこでは義理のきょうだいによる性暴力も時には生じている。

幼少期の虐待被害は、「第四の発達障がい」とも呼ばれ始めた現象もうみだしている(杉山登志郎氏)。それは、生まれつきの軽度知的障害なのか、虐待によって脳の神経細胞が混乱してしまった結果その状態になった軽度知的障がいなのかは厳密に区別できない。

が、乳児期の激しい物理的衝撃が、成長途上の脳細胞に悪影響を与えることは誰でも想像できる。

■被害者は常に語れず潜在的存在に

このように、階層社会でのアンダークラス内では激しい「暴力」に満ちている。そしてその暴力は常に、子どもと女性という弱者を襲う。

貧困とは、単にお小遣いが減ってユニクロの服(というかユニクロも高くなってきたのでGUかな)しか着られないという現象ではない。

貧困は貧困だけではなく、常に「暴力」とセットになる。貧困社会とは暴力社会なのだ。

そしてその暴力の被害者はPTSD(心的外傷後ストレス障がい)となり、社会の潜在的存在に追いやられ、自分のことを「語ることができない」(この語れなさについては僕のこの記事参照→「殺される(虐待される)側」には、論理も言葉もない)。

階層社会とは暴力の被害者を生み出す社会であり、その被害者は常に語れず潜在的存在に追いやられる。

この意味で僕は、階層社会に反対だ。★

※Yahoo!ニュースからの転載

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