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離婚訴訟で「DV」冤罪が増える? 一番、不幸になるのは子

 離婚訴訟で「DV」の冤罪が増えるという記事が産経新聞に掲載されました。
離婚訴訟で増えつつある「冤罪DV」 証拠なく認定されるケースも 夫には「おっさん、ざま~みろ」とメール」(産経新聞2015年9月5日)

 この記事を読んで、少々、違和感がありました。私自身が弁護士としてこのような経験がないのもありますが、根本的な問題として、DV夫に仕立てることの動機は何なのだろうという点です。

 妻が夫と離婚したいんだろうということはよくわかるのですが、何故、DVまででっち上げなければ離婚が実現しないのか、この報道ではどうやら子との面会を拒否したいがためという動機も伝わってきます。
 しかし、DVに対する慰謝料の請求については不明です。どうやらお金が欲しいからではなさそうです。
 それとも夫に対する報復心でしょうか。

 この報道案件の特徴は、DV案件の中ではかなり用意周到であり、通常、見られるようなDVとはかなり事情を異にするようにも思えます。従来、DVの場合、被害に堪えに堪えというものが多かったからです。
 DV被害者が、すぐにでも声を上げられるようになったということなのでしょうか。
 どうもそのようには見えません。
 痣の写真とは言うのですが、病院での診断を受けたかどうか、警察に被害届けを出したのかという点については報道では触れられていませんが、ここまで用意周到な方が診察も受けていなければ警察にも相談していないのは明らかに不自然です。
 警察に被害届けを出せば、夫からは冤罪事件として本気で争われることになるだろうし、犯罪として立件するとなれば警察からも詳細な事情聴取を受けることになりますから、それ自体、自らのウソがばれるからではないかと推測せざるを得なくなります。

 この点、DV防止法が参考になります。
第12条1項5号 配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に対し、前各号に掲げる事項について相談し、又は援助若しくは保護を求めた事実の有無及びその事実があるときは、次に掲げる事項(略)

 保護命令を出す前提として、警察や配偶者暴力支援センターに相談していることも要件の1つとして上げられています(他のことで代替できるものですが)。
 他の機関に相談していることは真実かどうかどうかを担保する重要なファクターと考えられています。
(という視点から考えるならば、公証人の認証で足りるというのは疑問ですし、同様に支援センターでの相談だけでは疑問に感じます。何故、支援センターには行けても警察には行けないのかという疑問があるからです。被害届を出すことは要件とされておらず相談でも足りる以上、警察に相談することをためらう理由はないからです。支援センターでそのような助言を与えれば被害届を出すことまで必要ないということを知らないことの問題もクリアーされます。)

 DV防止法による保護命令は、実務上、極めて簡単に出されるという印象があります。
 これ自体は、本来、警察の職務であるにも関わらず裁判所を関与させたのは立件しやすくするためです。
 現実問題として万が一のことがあっても困りますし、極論すれば会いたくないという相手に対しては、もうそれ以上接近するなよという意味合いで考えるならば、保護命令自体が出されやすい状態にあること自体は、仕方ないこととも言えます。

 しかし、そうであればこそ、DVを離婚原因として認定するためには、保護命令の場合とは異なり、DVについての厳格な認定が必要です。保護命令は上記のような事情で「簡単」に出されるのですから、それをもってイコール離婚原因とするのは明らかに乱暴です。だから「冤罪」も生じるのではないかと思われますし、それ以上に保護命令すらも出されていないような案件で、証拠もなく安易にDVを認定するのは問題です。

 話を戻しますと、妻が離婚したいということであれば、夫の意向によりますが、現実問題として夫婦としての円満な関係を回復し、将来に渡って継続していくことは事実上、困難です。言ってみればその夫婦に将来はありません。
 仮にその夫が妻に未練があろうとも、DVをねつ造するような妻であれば、別れた方が賢明です。価値観の問題ではありません。
 その意味では離婚原因については世界的な破綻主義を導入し、夫婦としての円満な関係を回復できる見込みがなければ離婚自体を許容していくべきものです。
 それ以上のものについては金銭的なもので解決していくよりありません。

 裁判所の安易なDVの認定は、離婚を認容するためとは思われますが、それでは痴漢冤罪と同様の構図になりかねないことになります。
(但し、この点は最初の述べたとおり、私の印象は異なります。)
 本来、夫婦関係に将来の見込みがないと判断されたものについては離婚を認めていくべきなのです。
性犯罪で続く逆転無罪判決 被害者の供述の危うさ

 問題は、子の面会や親権が絡むときです。
 真実、DV夫であれば、子を会わせてはなりません。
 しかし、問題はDVがねつ造なのか、真実なのかが判然としない場合です。当事者間の問題とは異なり、子の福祉の観点から決定しなければならないから問題は複雑です。
 妻側がどうしても会わせないということになれば、裁判所が職権でもって面会を命じるかどうかを判断することになりますが(要は国が面会を命じることになります、親権の判断も同様)、その意味では裁判官は国家として命令を下す、父にとっても子にとっても問題のない判断をするということですが、当事者(代理人を含む)以上に責任の重い判断といえます。
 なお調査官による調査報告書も判断資料の1つですが、調査官は専門職ということにはなっていますが、概してマニュアル的であり、その質はどうかなと思うことが少なくなりません。
 反面、調査官には児相のような権限も機動性もないという限界もあります。司法と行政という全く異なる権限に属するものではありますが、改善されるべき点は多々あります。

 ところで、真実、DVが冤罪であるならば、そのような母の親権の元で育てられる子は不幸としか言いようがありません。

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