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記者クラブ制度は報道のアパルトヘイト 中谷防衛大臣の見解

 9月8日の防衛大臣記者会見で以下のような質問をしました。
http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2015/09/08.html

Q:9月3日の産経新聞で、菅官房長官が、抗日70周年記念で中国のイベントに産経新聞の記者が出られないことに関して、「記者を平等に扱うのは民主主義国家として当然」というふうに御発言されているのですが、わが国においては特にそうですけれども、記者会見に記者クラブ以外の人間は原則参加できない、各種レクチャーも参加できない。基本的に平等ではないと思うのですが、大臣の見解としては、これでも民主国家として問題ない、記者の扱いは平等であるとお考えでしょうか。

A:それは、それぞれ記者クラブもございますし、省との長いやり方等もございますので、その運営の仕方等につきましては、それぞれ記者クラブと防衛省が話し合いをしながらやってきたと認識を致しております。

Q:記者クラブというのは、一応、任意団体ですよね、民間の。そこが他の人間が入って来られないという関係を作っても問題ではないかと思いますし、諸外国では、記者クラブというのはガボンとかジンバブエくらいしかないというふうに伺っているのですけれども、それでも問題ないのでしょうか。諸外国からも、記者クラブに関しては非常に批判が多いと、民主国家からは多いと思っているのですが、いかがでしょうか。

A:最近、ネットとかYou Tubeとか、それぞれいろいろな団体・組織もございますが、防衛省としては、記者クラブというのがありまして、そこに加盟をして頂いた方々が中心になって、運営等もやられておられますので、そういう中で、どのような運営をしていくかということについて、対応を考えていくべきである問題だと思っております。

Q:過日、大臣に御回答いただいた件なのですけれども、陸自の個人衛生キットに関して、基本的に国内用は3アイテム、国外用は8アイテム。これは、有事には5アイテムを国内用に対して補充するのだというふうに御回答いただいたのですが、その後、衛生部に取材をしたところ、「在庫があるのですか、備蓄があるのですか」と伺ったのですが、備蓄はほとんどございませんと。民間の備蓄をあてにしておりますと。民間流通在庫をあてにしておりますとおっしゃったのですが、民間企業に聞いたらほとんどないと。これは、ほとんど海外から取り寄せているもので、使用期限があると。民間では備蓄できませんという話だったのです。ということは、衛生部がおっしゃっていることと、大臣がおっしゃっていることが矛盾しているのではないですか。有事に本当に5個アイテムを補充できるのですか、ということなのですよ。これ、いかがでしょうか。

A:まず、武力攻撃事態対処時の第一線で、こういった救護能力の向上を図るということで、そういった整備も進めてきているわけでありますので、そういう決定をされたことにつきましては、できるだけ早く、基準に基づいた装備に達するように、また努力をしてみたいと思いますが、現状、どうなっているのか、今日、御発言がありましたので、また現場に確認をさせていただきたいと思っております。

Q:「第一線救命士」というのを新設するというお話があったと思うのですけれども、ということは、これまで第一線を救命する人間がいなかったということなのでしょうか。

A:「第一線救命士」というので、衛生隊とか、衛生要員というのはいたと思うのですが、「第一線救命士」がどのような意味を持つかということで、いろいろな資格等もありますけれども、とにかく、救命を実施できるようなレベルの態勢をとっていくという意味だと思っております。現在、これにつきましては、検討会を設置をしまして、2月から、これまで3回、この点においての検討会を実施してきておりますので、さらにここで、この在り方について取りまとめをしていただきたいと思っております。

Q:それから、あとこの名称なのですけれども、現在、「救命士」という呼び方だと思うのですね。基本的には野戦救急車の備品のような扱いになっていると思うのですけれども、なぜこれが「第一線救命士」ではなくて、「救命隊員」でしょうか。これ、もしかして医師法か何かの問題もあって、医師会か何かを刺激しないために名称を変えているのだという話も一部では聞いたのですけれども、いかがでしょうか。

A:その件につきまして、どのような名前とするかについては、まだ決まっていないと聞いております。

先日も菅長官の発言に関したブログを書きましたが、これがBLOGOSに転載され、記者クラブ擁護の面白いコメントが多数ありました。
http://blogos.com/article/132198/

大新聞やテレビは信用できるが、フリーランスは有象無象なので信用出来ないといったようなコメントがありました。ですが、それならばその信用できる朝日新聞が捏造とかしたんでしょうかね?この手のコメントをする人に限って朝日を攻撃していたりするんですが。

フリーランスの池上彰よりも今年入社したNHKの記者の方が見識でも経験でも業績でもすぐれているのでしょうか。また、それじゃなんで「権威ある」新聞やテレビがぼくのようなフリーランスごときにコメントやレクチャーを求めてくるのでしょうか。
同様に「権威ある」ジェーンズやディフェンスニュース、フィナンシャルタイムスなどは日本の新聞記者ではなく、ぼくにコメントを求めてきます。

率直に申し上げてこの手の発言をする人はリテラシーが皆無で権威主義です。権威と自分を一体視することで、自分が偉くなったような気がする。また「権威ある」防衛省や国の発表は間違いないと信じたります。ところが自分のことを事情通だと思って上から目線でコメントをする。苦笑するしかありません。こういう人には何を言っても無駄でしょう。

実際問題として、単なる民間団体である記者クラブと、当局が癒着していために、フリーランスや雑誌の記者の取材機会が制限されています。それにとどまらず、国民の知る権利が阻害されています。

例えば先日の陸自の第7師団の視察がありました。これは取材ではなく、学習会的なものですが、ぼくは記者クラブ会員ではないので参加を断られました。
ですが、率直に申し上げて普通の新聞記者が現地であれこれみても、猫に小判とまであまり理解ができないでしょう。むしろパンツァーとか丸とか、軍事研究に書いている書き手が参加すれば得るものも多いでしょう。

特に経験の少ない若手の専門ジャーナリスト、ライターにとっては不利益が大きいです。

この手の学習会、視察、レクチャー、防衛省幹部との懇親会などから記者クラブ以外の記者は排除されています。これが「公平な扱い」でしょうか。菅長官が本気でそうだと思ってらっしゃるならば、政治家やめたほうがよろしいでしょう。

また記者クラブと当局の関係は慣れ合いで、一般的に大臣が困るような質問はぶつけません。ならばいっそのこと、記者会見という茶番なぞやめて、リリースだけ貰って、それを書き写せばいいじゃないとか思うのですが。

率直に申し上げて、現在の体制はアパルトヘイト時代の南アフリカそっくりです。我々は南アのインド人や黒人の立場にあります。日本政府が「我が国は記者を平等に扱う民主主義国である」と主張するならば、それはアパルトヘイト時代の南アフリカが国民に平等な民主国家だと主張するようなものです。


ご参考までに。

そんなことだから自分たちが特権階級だと思い込み、NHKの鈴木徹也記者みたいに、人の質問にいちゃもんつけるようなことを平気でする人間もでてくるのでしょう。

今月発売の「月刊軍事研究」でこれまで書いた陸自のファースト・エイド・キット関連記事の集大成的な記事を寄稿しております。

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
陸自の「機動戦闘車」調達は予算のムダ遣いだ
陸自機甲科の失業対策が主目的?
http://toyokeizai.net/articles/-/82806

Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。~
【防衛省、機銃の調達はMINIMIのみ】~小銃用弾倉による空砲射撃で“弾詰まり”
http://japan-indepth.jp/?p=21427

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