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休眠美容師と高齢者の美容 2つの課題をつなぐ「訪問美容」の可能性 - ヘアサロン業界の女性活躍を推進、リクルート女性役員の展望とは

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私たちの生活において、“美容”の役割はとても大きい。街中のいたる所にヘアサロンがあり、そこで働く美容師は全国に約50万人いるとされている。言うまでもなく、美容業界は私たちの生活と関わりの深いものだ。

一方、美容業界を取り巻く環境においては、様々な課題が存在している。その中には、サービスを提供する側である美容業界が抱えているものもあれば、美容サービスを受ける側が抱えているものもある。

ここでは2つの課題に注目し、説明していきたい。

女性の美容師、そして在宅介護の高齢者が抱える「悩み」

美容業界が抱える大きな課題の一つ。それは「休眠美容師」の多さだ。約50万人の美容師がヘアサロンで働いている反面で、美容師免許を持ちながら、現場で働いていない休眠美容師は、全国に75万人以上存在すると言われている(※)。これほどまでに離脱者が出てしまう現状は、美容業界にとって長年の課題である。

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株式会社リクルートライフスタイル 執行役員 柏村美生氏
1998年4月、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。社内新規事業提案制度を活用して中国に会社を設立し、外国企業初の現地制作のブライダル雑誌である「皆喜」を発行。延べ6年の駐在後、美容サロン予約サイト『ホットペッパービューティー』の事業責任者を経て2015年4月より株式会社リクルートホールディングスの執行役員就任。 現在はグローバル販促領域における美容&ヘルスケア事業を担当。


リクルートライフスタイルの執行役員であり、ホットペッパービューティーなどの美容・ヘルスケア事業に携わる柏村美生氏は、休眠美容師が増える要因をこう考えている。

「美容師は、女性が多く活躍しやすい職業の一つです。しかし、その女性美容師たちが、結婚や出産を機に現場から退いてしまうケースがとても多いんです。背景には、業界でフルタイム労働が常識化していることや、ペースに合わせた職場復帰をしにくい風土があるといった原因が考えられます。女性が非常に多く、活躍できる職種でありながら、結婚や出産によって彼女たちが復帰できなくなってしまうのは、本当に惜しいことだと思います」

たとえばヘアサロンでは、10時〜15時まで時間限定で勤務するなどのスタイルをとりにくい風潮があるという。フルタイム労働の常識化に加えて、いわゆる「時短勤務」をすれば、指名客の予約が取れにくくなり、客が自分から離れてしまう。そのことへの“恐れ”も影響していると考えられる。結果、「産休などで一時的に現場を離れると、そのまま美容業界に戻ってこなくなってしまう。こうして休眠美容師が増えていくんです」と、柏村氏は指摘する。

女性が多い美容業界にとって、この問題は深刻だ。実際、柏村氏が全国のヘアサロン経営者と話すと、多くのサロンが「人手不足」に悩んでいるという。これが、1つめの課題だ。その中でリクルートライフスタイルの美容に関する調査機関である「ホットペッパービューティーアカデミー」では、全国の女性美容師たちを取材した冊子『女性美容師として生きていく。』を製作し、イベント等で配布している。子育てをしながら働く人や、時間限定でサロンに勤める人など、さまざまな「女性美容師のワークスタイル」を取り上げ、ロールモデルとして紹介し、多様な働き方を提案している。

それでも、休眠美容師が生まれる問題の解決に向けた道のりはまだ遠い。

美容業界についてもう1つ、美容サービスを受ける側が抱える課題についても紹介したい。それは、高齢社会の進行により「美容室に行きたくても行けない人が増えている」ということだ。

柏村氏は、この問題の深刻さについても、自身の考えを説明する。

「高齢化が進み、これからはお年寄りの在宅介護が増えてきます。その中で、外に出られない高齢者の髪を、介護する家族が簡易的にカットすることも多くなるでしょう。しかし、身だしなみや美容は、“イキイキと生きていく”ことに結びつくもの。高齢者の中には、美容師に髪を切ってもらいたい人もいるはずです。そう考えると、在宅介護を受ける高齢者の“美容”についても、サービスの形を作らなければなりません」

柏村氏はこの問題を考えるとき、「おしゃれが好きだった自分の母親や、あるいは自分が介護される側になったとき、美容室に行けなくなり、仕方なく家族に髪を切ってもらう状況を喜べない気がする」という。同じ考えを持つ人は、決して少なくないだろう。

※免許保有者数1,238,000人(出典:理容師美容師試験研修センター資料、H25年)、従業者数487,636人(出典:厚生労働省「衛生行政報告例」、H25年)より算出

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