その1つはファンドリターンvs投資家リターン。
追加型株式投信の中で残高が1千億円以上の16分類を対象に、ファンドの時間加重収益率と投資家リターンを表す金額加重収益率とを比較したのが図表11である。これをみると、金額加重収益率が低い分類の方が多い。金額加重収益率が時間加重収益率を年率2%以上上回る分類は日経平均インデックスのみであるのに対し、逆に2%以上低いものは6分類にも及んでいる。
リンク先を見る※金額加重収益率とは
※時間加重収益率とは
この比較が示すように、投資家が得ているリターンは、ファンドをそのまま保有していると得られるリターンより低くなっているようです。
特にグローバル株式やそれを含むと思われるグローバルバランスの差は激しく、投資家リターンはファンドリターンを年率換算で5%程度下回っています。ファンドが約5%の利益を上げないと元本維持すらできないという厳しい条件です。
人気のグローバル債券においても年率換算で投資家リターンがファンドリターンより2%以上低いということです。ただでさえ信託報酬などでベンチマークよりパフォーマンスが低くなりがちなファンドリターンよりさらに2%以上低い(グローバル株式では約5%)ということでは、儲かるものも儲かりません。
年率換算で2%ということは10年で20%です。ファンドをただ持っていれば得られるリターンより20%以上も低いリターンです。しかもこれでは終わりません。保有し続けるよりリターンが下がるということは投信を売買をするのですから、売買手数料や場合によっては税金までかかります。
こういう情報も、投資信託に投資しようとする人は知っておいた方がいい情報かと思われます。