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なぜ中国の外貨準備は減るのか

新興国は皆似たような状況だが、これまで増やしてきた外貨準備を、ここのところ減らす傾向にある。この一文で、既に説明は完了している気もするが、しばしばトンチンカンなドヤ顔も見かけるので、もうすこし細かく確認しておきたい。


中国の外貨準備高、8月末は3兆5600億ドルに減少 - WSJ

http://jp.wsj.com/articles/SB11970227293124023368304581218210097111304


民間が人民元を売って米ドルを買う動きに呼応する形で、中銀が米ドルを売って人民元を買っているという報道は、その通りだ。投資先としての中国の減速もあるだろうが、もちろん大きな背景として、米国の利上げを見込んでいる。ドルにペッグしようとすれば、あるいは対ドルで「急激な動き」を避けたければ、(投機屋を含む)民間の動きとは鏡写しに、そっくり逆向きに政府中銀が動かざるを得ないのは、いずれの新興国にも共通している。


    中 銀         民 間
------+------ ------+------
米ドル|人民元 人民元|米ドル

もちろん、米国による"QE"の強い影響下で、新興国が外貨準備を増やしてきたことも、まったく同じ(逆向きの)理由による。低金利かつ借りやすいドルを借りて、中国なり新興国への投資を(あるいは投機を)行う動き*1に呼応する形で、各国の政府中銀は、驚くようなペースで外貨準備を積み上げてきた。要するに現在は、単に巻き戻している。


買われるときだけドルに追随を試み、売られるときに「市場に任せる」ことは、恣意的な自国通貨安誘導であり通貨戦争を招き、同時に国民の購買力を奪う暴挙であるとの米国の指摘は、半理あるわけだ。一理じゃなくて半理なのは、そもそも米ドルを借りて新興国に突っ込む動きをつくり出したのはFRBによる"QE"であって、「お前が言うな」と言われても仕方ないからだが、もちろん同じように、一連のアクションは米国の生活者の購買力を継続的に奪ってきた。株や不動産は上がっても、利上げをためらわざるを得ない偽りの夜明けは、必然である。


借り手と貸し手の綱引きで決まる金利を、介入によって下方に押し下げれば当然のことながら、後悔するような投資や消費*2を生む。実際に中国を含む世界中に、要らない街や工場が溢れてしまった。都市の不動産価格は成層圏にある。今後必要とされるのは、残念ながら「失われたX年」だろうが、Xの長さの話は、また別の機会に。

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