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佐野研二郎氏のデザイン盗用・模倣問題、多摩美ポスター言い訳の「広報稚拙戦略」が致命的にもったいない

東京オリンピックエンブレム模倣疑惑から始まったデザイナー佐野研二郎氏の一連の盗用・模倣問題、前回のエントリーで編集者としての印象を書いた。

本件、その後進展があり、盗用ではと話題になっていた多摩美ポスターに関して、佐野氏の事務所「MR_DESIGN」広報担当者がJ-CASTニュースの取材で以下のようなコメントを出した。
「犬の画像については、紙で切り絵を制作しMR_DESIGNで撮影したものです。メガネの画像については、この作品を担当したスタッフが実際使っていたメガネを撮影し制作したものです」
多摩美ポスターの盗用疑惑は他にもあるが、なぜかこの2点のみに答えているのが極めて不自然だ。

たとえば「水に流れる墨汁」パターンの奴。流れる墨汁の形が、2012年に公開された中国のポスターとまったく同じだ。

カオス数学を持ち出すまでもなく、水に垂らした墨汁が作る形は千差万別で、まったく同じ形などありえない。それが同じなのはなぜか? 「事務所のスタッフが水に流して撮ったもの」とは、さすがに言い訳できないはずだ。

これでは、要するに「なんとか後付けで証拠をでっち上げられそうなもの」のみ盗用を否定し、残りは無視するつもりと判断されるのもやむを得ないだろう。悪質な隠蔽と取られてもしかたない。

「今頃該当のメガネを購入し撮影しているのでは」とか、「今頃パクリ写真を元に切り絵をせっせと作っているに違いない」とか想像されてしまうリスクを冒してまでこうした言い訳をするのは、広報のクライシスマネジメントとして極めて疑問だ。



それにそもそも、「自分たちで撮った」と言い張っているメガネ写真にしてからが、この言い分に怒ったパクられ元の「GLAFAS」が、完璧な反論を公開している。

極めて説得力の高い反論で、疑惑は深まるばかりだ。佐野氏側はもはや「自分たちで撮ったが、証拠の写真ファイルはもう不要と思い削除した」くらいの苦しい言い訳をするしか逃げ道がなくなりつつある。

盗用相手を怒らせて得なことなどなにもない。相手が頑なになるから示談も難しくなる。最初から先方に連絡して盗用を認め、謝ったほうがはるかに良手だ。

サントリートートバッグのデザイン剽窃・素材盗用を認めたとき、佐野氏は「スタッフがやった」「調べたが、他に盗用案件はなかった」と言い切った。スタッフのせいにして逃げたという印象を持つ人も多いだろう。仮に事実としたらそれはそれで、「佐野研二郎デザイン」を謳い文句にした製品が実は「無名スタッフ作」なわけで、それ自体が問題だ。

「他に盗用案件はない」と明言してしまったので、多摩美ポスターも「パクってない」と言い張るしかない状況に自分を追い込んでしまっている。

偽造・盗用等が露見した際、隠蔽しようと悪あがきすればするほど矛盾が生じて嘘がバレる。佐野氏と事務所、広報担当者は、STAP細胞詐欺の小保方氏を見て、それを学ばなかったのだろうか。

このような隠蔽姿勢を取っている以上、「東京オリンピックエンブレム自体もやはりパクリだった」という印象を、自ら社会に触れ回っているも同然だ。

自らの社会的評価をどんどん自分で下げているわけで、返す返すも広報戦略がひどすぎる。

もはや取り返しのつかないところまで行ってしまっている気はする。それでも今からでもオリンピックエンブレムも含めて盗用を認め全面的に謝罪すれば、まだ失地回復の余地は多少残っている。著名デザイナーの経歴を棒に振るのはもったいないと、私個人としては思うのだが。

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