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世界同時株安、留意すべき5つの要因

1日の株式相場の下落は、1週間半に及ぶ市場の混乱が収束したと一部の投資家が考え始めたちょうどその時に起こった。こうした見方は間違いだった。

 差し当たり鍵となるのは、ポートフォリオをそのまま維持し、市場心理に影響している以下の5つの要因に留意することだ。どの要因もすぐに消え去ることはないとみられる。

1.中国

 中国指導部が3週間前に人民元の基準値を切り下げて以降、同国の株式市場は下落の一途をたどり、下落率が20%に達した。中国経済は減速している。指導部は株安を反転させるだけの政策手段を持っていない。こうした懸念は株式市場以外にも広く波及し、商品(コモディティー)相場に市場の不安の矛先が向けられている。例えば鉄鉱石相場は、ほんの2~3年前に付けたピークから70%も下げている。

 1日発表された8月の中国製造業景況指数(PMI)が火に油を注いだ。8月は49.7と、2012年8月以来の低水準に沈んだ(50を下回ると業況の縮小を示唆することに注意)。今後、一層の失望材料が出ると予想される。

2.貿易、輸入、輸出

 多くの投資家にとって、中国の景気鈍化は単に何年も不可避だと考えられていたことが確認されたにすぎない。毎年10%を超えるペースで成長する経済は、最終的に壁にぶつかるものだ。そしてこれがアジア諸国に幅広く波及している。中国の景気減速のあおりで、台湾、マレーシア、ベトナムの製造業も8月に大きく落ち込んだ。1日発表の統計が最も深刻な内容となったのは韓国だった。韓国の輸出は8月に6年ぶりの減少率を記録した。

 では、多くの人が予想していたのに、株価がこれほど急激に下落した理由は何だろうか。それは、中国での売りや一部の新興国通貨の売り、さらに他の高リスク資産に売りが出ると、「リスク回避」環境では常に株価に打撃が及ぶことが一因だ。市場がグローバルにつながっている現状ではなおさらだ。しかし、米国市場を覆う二つの暗雲も株価急落につながった。

3.バリュエーション

 一つ目の暗雲は、割高な株価だ。現時点で株価が過大評価されていないと主張するのは難しい。つい2週間前には、S&P500種指数構成企業の株価収益率(PER)は、1920年代の歴史的な水準を約30%上回っていた。直近の金融危機の底だった2009年3月以降、同指数は2倍超となった。確かに、米経済の足取りは確かなようで、4-6月期の国内総生産(GDP)改定値は季節調整済みで前期比年率3.7%増となった。

 だが、弱い面もある。生産性と賃金の伸び率が低い上、労働市場に占める米国人の割合も縮小している。

4.FRB

 二つ目の暗雲は、経済が総じて強弱まちまちでも米国株がこれほど過熱している最大の理由と考えられるもの、すなわち、米連邦準備制度理事会(FRB)のゼロ金利政策だ。この政策が続いたことで、投資家は他に行き場を失った。米国債利回りは非常に低く、他の債券も同じような状況になっている。こうした環境では株式が成功への道だった。

 しかし、9月になれば状況が変わるかもしれない。FRBは早ければ9月にも(もっとも、それは確実とはほど遠いが)現在0~0.25%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を引き上げる可能性がある。そして経済学の古い格言にあるように、利上げはゴキブリのようなものだ。つまり、一匹(1回)では済まない。FRBがいったん引き締めを開始したら、連邦公開市場委員会(FOMC)が2~3回開かれるごとに金利は着実に上昇し始めるはずだ。投資家にとって、これは債券が突然はるかに魅力的になることを意味するかもしれない。

5.ECB理事会と米雇用統計

 こうした一連の動きは、それぞれが単独で起きているわけではない。欧州諸国も広範な売り相場に直面している。しかも、経済状況は米国よりもはるかにおぼつかない。短期的には、欧州中央銀行(ECB)の3日の理事会が市場の次の動きを占う上で最も重要になる。ECBは現行政策を維持すると予想されているが、債券買い入れ策に関する表現ないし中国に対する見方は、その内容次第で市場に幅広い影響をもたらすだろう。その後、米国で最も重要な月次統計が4日に発表される。8月の雇用統計だ。

By GEOFFREY ROGOW

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