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- 2015年09月01日 21:27
佐野氏五輪エンブレム中止に学ぶ。みなさんもネットから無断で写真を借用しないように
佐野氏を批判しているみなさん。まさかブログにネットから、写真を無断転用してないよね?!ネットで画像検索して出てきた画像は、無料で勝手に使えるとか、勘違いして使ってないよね?それってみなさんも「佐野レベル」で、著作権法違反に問われる場合もあるって、わかってるよね?
ついに五輪エンブレム佐野氏デザインが、使用中止になった。ただ勘違いしてはいけないのは、デザインパクリ疑惑が理由ではない、ということだ。ベルギーの劇場ロゴデザイナーが、「私たちの勝利だ」などと、佐野レベルデザインで喜んでいるが、言い訳会見で明らかになったように、佐野氏はベルギーの劇場ロゴを、パクッたのではなく、もとは別のデザインをパクッたと思われるぐらい、別のデザインに似ていた。
それを修正したらベルギーのロゴに似た。ようはデザインなんて似るんだよ。だからデザインがパクリでない可能性も、残されている。(まあ佐野氏のこれまでの、ひどい所業を見るに、パクリ疑惑は濃厚だが)ただ今回は議論の余地がある、デザインパクリの問題ではなく、審査資料の写真をネットから無断で、借用したことが大問題だ。これは言い逃れようがない。なぜならデザインみたいに、たまたま似ちゃったのではなく、写真そのものをかっぱらったからだ。
NHKニュースでは、「無断で複製なら著作権法違反に当たる」と指摘している。
ただ、思うんだけど、今、ネット上の写真パクリはもはや常識。だってそうでしょう?みなさん、勝手にネット上の写真を、「拾って」ブログとかに使ってない?使っている人が多数。「えっ?何が悪いの?」みたいな世界。それって佐野レベルでしょ。佐野と同罪でしょ。勝手にパクッたら著作権侵害だから。
ただ写真の「引用」ならいいとして、今や出展元を明かせば、勝手に写真をパクって載せることが、当たり前になっている。これもなかなかに微妙な問題。出展元さえ明記すれば、勝手に写真をパクっていいのかは、かなり法律的には微妙な問題だと思う。
またもう1つ微妙な問題がある。今回、問題になった佐野氏による、写真パクリが審査資料であった点だ。今回はバカな組織委員会が、資料を公表しちゃったために、(まあ佐野氏が騙したからだが)佐野氏も組織委員会も、著作権侵害をした加害者になったわけだが、本来、内部資料であれば、実務上は著作権侵害に、問われない可能性が高い。一部の人間にのみとどめておくからだ。
これについては、栗原潔弁理士の記事が、参考になる。記事を要約すると、
ただ今回はこの内部資料を、公表しちゃったから、著作権侵害の問題が浮上したのであって、公表しなければ、法律上は問題だが、実務上は問題にならなかったはずだ。
ただ佐野氏が悪質なことに、自分がさも撮影したかのように、写真に撮影主の名前が書かれた表記を、カットしてしまうという、確信犯的犯罪者だったので、今回のケースは大きな問題となった。
でもどうだろう?佐野氏は悪質だ!といったところで、みなさん、内部資料で、ネットから画像を勝手に、拝借していないだろうか?内部ならいい。一部だけならいい。公表しなければいい。ネットに載せたりしなければいい、と思っていないだろうか?
私も恥ずかしながら、かつて講演時に、ネットから2枚、無断で画像を拝借した。ブログに載せて、公表するわけじゃないからいいだろう、講演を聞きに来た人、数十人が見るだけだからいいんじゃないか。だから2枚ぐらいならいいのでは、と思ったが、有料で金をとっているわけだし、完全な著作権侵害だ。無断で使用した画像の撮影主に連絡し、謝罪して使用料を支払いたいと思う。
ただ他の人の講演を見ても、パワポ資料にネットから無断で、写真を使うのがわりと当たり前になっている。今回の佐野氏騒動のように、資料を公表するという、バカな行為をしなければ、著作権侵害はバレないのが実情だ。
最近驚いたのは、アマゾンでベストセラー1位になっている、「社内プレゼンの資料作成術」(前田鎌利著、ダイヤモンド社)。プレゼン資料の作り方ノウハウの中身は、実に素晴らしい内容なのだが、ここでも堂々と無断でネットから、画像を使うことが何の罪意識もなく、普通に書かれている。
本書P117~P119には、社内プレゼン資料に掲載する写真は、Googleの画像検索を使えばいい。かつ見栄えのいい写真を使うため、高画質の画像を検索すればいい、といった内容が書かれている。ただ引用元を明記すべしとも、撮影主に許諾をとりましょうとも、フリーの画像だけ使いましょうとも、どこにも書いていない。
多分この本は社内資料の作り方本なので、社内資料だったら、ネットの画像は、無断で勝手に使っても、法律的には問題にならないという、スタンスなのだろうが、一言も著作権についての配慮がないのは、佐野氏に限った話ではなく、今の多くの一般人にとって、ネット画像は検索して、そこから拾ってくればいいというのが、当たり前になっているからではないか。
いやいやネットにある画像を、勝手に使っちゃダメだから。許諾をとらないまでも、せめて引用元を載せないと。
でも多くの一般の人には、無料に勝手に使っていい、フリー素材サイトにある写真と、Googleの画像検索で出てきた、写真との区別はわからないのではないか。ネットにある写真は自由に使っていいと、思い込んでいる人多数ではないのか。
だから今回の佐野騒動で、佐野氏を叩くだけでなく、みなさんもネットにある写真を、勝手に無断で使用するのはやめた方がいい。引用元を載せればいいという考えもあるが、そもそも画像検索で出てきた掲載元が、そもそもどこからか画像をパクっており、そこの引用元を載せたところで、本当の撮影主・権利主の、引用元表記になっていないというのを、多く見かける。
デザインパクリに議論の余地はあるが、写真のパクリはアウト。みなさんも佐野氏のような、最低の人間にならないよう、ブログや資料でネットから勝手に、写真を掲載することはやめたほうがいい。
どうしても載せたいのなら、許諾をとるなり、使用料を払うなりすればいい。
今回のエンブレム中止騒動を教訓に、第二、第三の佐野が出ないことを祈る。
・NHKニュース「佐野氏 使用例の画像 無断転用認める」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150901/k10010212111000.html
ついに五輪エンブレム佐野氏デザインが、使用中止になった。ただ勘違いしてはいけないのは、デザインパクリ疑惑が理由ではない、ということだ。ベルギーの劇場ロゴデザイナーが、「私たちの勝利だ」などと、佐野レベルデザインで喜んでいるが、言い訳会見で明らかになったように、佐野氏はベルギーの劇場ロゴを、パクッたのではなく、もとは別のデザインをパクッたと思われるぐらい、別のデザインに似ていた。
それを修正したらベルギーのロゴに似た。ようはデザインなんて似るんだよ。だからデザインがパクリでない可能性も、残されている。(まあ佐野氏のこれまでの、ひどい所業を見るに、パクリ疑惑は濃厚だが)ただ今回は議論の余地がある、デザインパクリの問題ではなく、審査資料の写真をネットから無断で、借用したことが大問題だ。これは言い逃れようがない。なぜならデザインみたいに、たまたま似ちゃったのではなく、写真そのものをかっぱらったからだ。
NHKニュースでは、「無断で複製なら著作権法違反に当たる」と指摘している。
ただ、思うんだけど、今、ネット上の写真パクリはもはや常識。だってそうでしょう?みなさん、勝手にネット上の写真を、「拾って」ブログとかに使ってない?使っている人が多数。「えっ?何が悪いの?」みたいな世界。それって佐野レベルでしょ。佐野と同罪でしょ。勝手にパクッたら著作権侵害だから。
ただ写真の「引用」ならいいとして、今や出展元を明かせば、勝手に写真をパクって載せることが、当たり前になっている。これもなかなかに微妙な問題。出展元さえ明記すれば、勝手に写真をパクっていいのかは、かなり法律的には微妙な問題だと思う。
またもう1つ微妙な問題がある。今回、問題になった佐野氏による、写真パクリが審査資料であった点だ。今回はバカな組織委員会が、資料を公表しちゃったために、(まあ佐野氏が騙したからだが)佐野氏も組織委員会も、著作権侵害をした加害者になったわけだが、本来、内部資料であれば、実務上は著作権侵害に、問われない可能性が高い。一部の人間にのみとどめておくからだ。
これについては、栗原潔弁理士の記事が、参考になる。記事を要約すると、
組織内での検討用の資料として、限られた人でのみ使う場合、私的使用なら法律上問題ないが、業務上の使用の場合は問題だが、実際上は、社内検討資料は仮でネットの写真を使っておいて、最終案をパンフレット等で広く公表するときに正規の写真(撮りおろし、または、ライセンス購入したもの)に差し替えるケースもあるのではと想像します(これも厳密に言えば著作権侵害の可能性が高いのですが社会通念的には許容され得るかもしれません)。http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20150829-00048935/まさにその通りだと思う。内部資料であれば、社内資料であれば、最終案前であれば、公表しないのなら、法律上は違反に問われる可能性があるが、実務上は許容されている。実際にコンペでデザイン案を作る際、採用されるかもわからない段階で、そこに使う写真を購入することはないし、撮影主に許諾をとっているケースは、少ないのではないか。
ただ今回はこの内部資料を、公表しちゃったから、著作権侵害の問題が浮上したのであって、公表しなければ、法律上は問題だが、実務上は問題にならなかったはずだ。
ただ佐野氏が悪質なことに、自分がさも撮影したかのように、写真に撮影主の名前が書かれた表記を、カットしてしまうという、確信犯的犯罪者だったので、今回のケースは大きな問題となった。
でもどうだろう?佐野氏は悪質だ!といったところで、みなさん、内部資料で、ネットから画像を勝手に、拝借していないだろうか?内部ならいい。一部だけならいい。公表しなければいい。ネットに載せたりしなければいい、と思っていないだろうか?
私も恥ずかしながら、かつて講演時に、ネットから2枚、無断で画像を拝借した。ブログに載せて、公表するわけじゃないからいいだろう、講演を聞きに来た人、数十人が見るだけだからいいんじゃないか。だから2枚ぐらいならいいのでは、と思ったが、有料で金をとっているわけだし、完全な著作権侵害だ。無断で使用した画像の撮影主に連絡し、謝罪して使用料を支払いたいと思う。
ただ他の人の講演を見ても、パワポ資料にネットから無断で、写真を使うのがわりと当たり前になっている。今回の佐野氏騒動のように、資料を公表するという、バカな行為をしなければ、著作権侵害はバレないのが実情だ。
最近驚いたのは、アマゾンでベストセラー1位になっている、「社内プレゼンの資料作成術」(前田鎌利著、ダイヤモンド社)。プレゼン資料の作り方ノウハウの中身は、実に素晴らしい内容なのだが、ここでも堂々と無断でネットから、画像を使うことが何の罪意識もなく、普通に書かれている。
本書P117~P119には、社内プレゼン資料に掲載する写真は、Googleの画像検索を使えばいい。かつ見栄えのいい写真を使うため、高画質の画像を検索すればいい、といった内容が書かれている。ただ引用元を明記すべしとも、撮影主に許諾をとりましょうとも、フリーの画像だけ使いましょうとも、どこにも書いていない。
多分この本は社内資料の作り方本なので、社内資料だったら、ネットの画像は、無断で勝手に使っても、法律的には問題にならないという、スタンスなのだろうが、一言も著作権についての配慮がないのは、佐野氏に限った話ではなく、今の多くの一般人にとって、ネット画像は検索して、そこから拾ってくればいいというのが、当たり前になっているからではないか。
いやいやネットにある画像を、勝手に使っちゃダメだから。許諾をとらないまでも、せめて引用元を載せないと。
でも多くの一般の人には、無料に勝手に使っていい、フリー素材サイトにある写真と、Googleの画像検索で出てきた、写真との区別はわからないのではないか。ネットにある写真は自由に使っていいと、思い込んでいる人多数ではないのか。
だから今回の佐野騒動で、佐野氏を叩くだけでなく、みなさんもネットにある写真を、勝手に無断で使用するのはやめた方がいい。引用元を載せればいいという考えもあるが、そもそも画像検索で出てきた掲載元が、そもそもどこからか画像をパクっており、そこの引用元を載せたところで、本当の撮影主・権利主の、引用元表記になっていないというのを、多く見かける。
デザインパクリに議論の余地はあるが、写真のパクリはアウト。みなさんも佐野氏のような、最低の人間にならないよう、ブログや資料でネットから勝手に、写真を掲載することはやめたほうがいい。
どうしても載せたいのなら、許諾をとるなり、使用料を払うなりすればいい。
今回のエンブレム中止騒動を教訓に、第二、第三の佐野が出ないことを祈る。
・NHKニュース「佐野氏 使用例の画像 無断転用認める」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150901/k10010212111000.html