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- 2015年08月29日 13:52
大会組織委による会見により、佐野研二郎氏による盗用が確定
佐野氏はトートバックの盗作への釈明として今回の事態についてという文書を公開しており、その中で五輪エンブレムについては次のように記している(強調は筆者による)。
つまり、五輪エンブレムのデザインはすべて佐野氏一人で行ったものであり、その全責任は佐野氏にあるということだ。
さて、大会組織委員会は8月28日、東京都内で記者会見し、当初公開しないとしていた佐野氏による原案を発表した。この発表が佐野氏による第三者著作物の盗用を確定させることとなった。
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ロゴの展開例で示された画像群がインターネット上の個人サイトなどから盗窃されたものであることが検証によって明らかになったのだ。上記の画像は有志によって作成された検証画像に基づき筆者が作成したものであるが、オリジナルの引用元は次のとおりである。
[1]の画像の右下にはCopyright © Sleepwalkingintokyoというコピーライト表記があるが(上記の比較画像では縮小の関係で見えない)、佐野氏の展開例では見えないようになっている(原案ではトリミングされて外されている)。コピーライト表記を外して利用することは、まともなデザイナーなら絶対やらないことだ。また、この画像は羽田空港のチェックインカウンターだが、佐野氏の展開例では"WELCOME"と書いた大きな看板が掲げられている。羽田でチェックインするのだから「さようなら(Goodbye)」とか「よい旅を(Bon Voyage)」だろうというツッコミは無粋だろうか。ちなみに[1]の画像はPinterestにアップされている。
渋谷の画像は[2]の建物と空、[3]の群衆の組み合わせだ。雲の形や群衆が完全に一致する。やはり、[3]の画像はPinterestに掲載されているが、佐野氏がPinterestのアカウントを持っていたことは検証済だ。
エンブレムについては佐野氏が個人で応募したものであり、スタッフは関わっていない事が佐野氏自身により明言されている。佐野氏は、プロのデザイナーであるにも関わらず、他者の著作権を蔑ろにしている。まさか盗作を否定する釈明会見でこんなものが出てくるなんて思わなかった。呆れて言葉も出ない。彼を擁護していた人々が可哀想だ。
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また、選考過程にも疑問が残る。選考委が示したエンブレム原案には、佐野氏がコンセプト説明で述べた「亀倉雄策先生が1964年に制作した東京五輪ロゴにある日の丸の円と組み合わせている」という日の丸のコンセプトが全く入っていない。コンセプトが入っていない原案でコンペを通り、コンセプトが変わるような修正機会を複数回与えられ、その後発表という流れは、コンペ前に佐野氏が当確していたのではないかという疑念を抱かせる(発表前に商標調査と登録をするためという事情は妥当ではある)。なぜブラッシュアップする前の、後にメインとなるコンセプトが欠落した原案でコンペを通るのだろうか(展開力が評価された?)。
ちなみに原案についてもあるTシャツのデザインと酷似しているという指摘がなされている。ただ、あまりに単純なデザインなので偶然似た可能性も高いように思われる。このような類似したデザインがあったため、原案に修正がされたというのが選考委の説明だが、そんな平凡なデザインがコンペを通る理由はやはりよく分からない。
エンブレムに関しては、オリビエ・ドビ氏がIOCに対して、エンブレムの使用差し止めと、それを使った企業や公的機関に5万ユーロの賠償金を払わせるよう提訴している。著作権に精通した著名な弁護士であるアラン・ベレンブーム氏が代理人となっており、仮に敗訴することがあれば、多額の賠償金が必要となる。裁判において、上述のような佐野氏の製作姿勢は当然問題視されることだろう。もしかすると、Pinterestの閲覧記録の開示も行われるかもしれない。
この五輪エンブレムの利用を継続することはリスクが大きすぎるように思われる。また、真相がどうであったとしても、一連の盗作疑惑により、現行の五輪エンブレムが既に愛されないロゴになってしまっているという事実がある。ロゴが愛されないと、オリンピックの盛り上がりにも影響するだろうし、評価されたとされるロゴの展開力も限定的なものとなるだろう。愛されないロゴは見なおしたほうが良いと思うのだが。
なお、東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムについて、
模倣は一切ないと断言していたことに関しましては、先日の会見のトリ
何も変わりはございません。東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムは
MR_DESIGNで応募したものではなく、私が個人で応募したものです。
今回の案件とは製作過程を含めて全く異なるものであり、
デザインを共同で制作してくれたスタッフもおりません。
つまり、五輪エンブレムのデザインはすべて佐野氏一人で行ったものであり、その全責任は佐野氏にあるということだ。
さて、大会組織委員会は8月28日、東京都内で記者会見し、当初公開しないとしていた佐野氏による原案を発表した。この発表が佐野氏による第三者著作物の盗用を確定させることとなった。
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ロゴの展開例で示された画像群がインターネット上の個人サイトなどから盗窃されたものであることが検証によって明らかになったのだ。上記の画像は有志によって作成された検証画像に基づき筆者が作成したものであるが、オリジナルの引用元は次のとおりである。
- [1] [Japan] Haneda Airport, Tokyo | Sleepwalking in Tokyo, 画像を見るPinterest
- [2] Shibuya Scramble Crossing & Photo Walk
- [3] The Gathering | Tomorrowland, 画像を見るPinterest
[1]の画像の右下にはCopyright © Sleepwalkingintokyoというコピーライト表記があるが(上記の比較画像では縮小の関係で見えない)、佐野氏の展開例では見えないようになっている(原案ではトリミングされて外されている)。コピーライト表記を外して利用することは、まともなデザイナーなら絶対やらないことだ。また、この画像は羽田空港のチェックインカウンターだが、佐野氏の展開例では"WELCOME"と書いた大きな看板が掲げられている。羽田でチェックインするのだから「さようなら(Goodbye)」とか「よい旅を(Bon Voyage)」だろうというツッコミは無粋だろうか。ちなみに[1]の画像はPinterestにアップされている。
渋谷の画像は[2]の建物と空、[3]の群衆の組み合わせだ。雲の形や群衆が完全に一致する。やはり、[3]の画像はPinterestに掲載されているが、佐野氏がPinterestのアカウントを持っていたことは検証済だ。
エンブレムについては佐野氏が個人で応募したものであり、スタッフは関わっていない事が佐野氏自身により明言されている。佐野氏は、プロのデザイナーであるにも関わらず、他者の著作権を蔑ろにしている。まさか盗作を否定する釈明会見でこんなものが出てくるなんて思わなかった。呆れて言葉も出ない。彼を擁護していた人々が可哀想だ。
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また、選考過程にも疑問が残る。選考委が示したエンブレム原案には、佐野氏がコンセプト説明で述べた「亀倉雄策先生が1964年に制作した東京五輪ロゴにある日の丸の円と組み合わせている」という日の丸のコンセプトが全く入っていない。コンセプトが入っていない原案でコンペを通り、コンセプトが変わるような修正機会を複数回与えられ、その後発表という流れは、コンペ前に佐野氏が当確していたのではないかという疑念を抱かせる(発表前に商標調査と登録をするためという事情は妥当ではある)。なぜブラッシュアップする前の、後にメインとなるコンセプトが欠落した原案でコンペを通るのだろうか(展開力が評価された?)。
ちなみに原案についてもあるTシャツのデザインと酷似しているという指摘がなされている。ただ、あまりに単純なデザインなので偶然似た可能性も高いように思われる。このような類似したデザインがあったため、原案に修正がされたというのが選考委の説明だが、そんな平凡なデザインがコンペを通る理由はやはりよく分からない。
エンブレムに関しては、オリビエ・ドビ氏がIOCに対して、エンブレムの使用差し止めと、それを使った企業や公的機関に5万ユーロの賠償金を払わせるよう提訴している。著作権に精通した著名な弁護士であるアラン・ベレンブーム氏が代理人となっており、仮に敗訴することがあれば、多額の賠償金が必要となる。裁判において、上述のような佐野氏の製作姿勢は当然問題視されることだろう。もしかすると、Pinterestの閲覧記録の開示も行われるかもしれない。
この五輪エンブレムの利用を継続することはリスクが大きすぎるように思われる。また、真相がどうであったとしても、一連の盗作疑惑により、現行の五輪エンブレムが既に愛されないロゴになってしまっているという事実がある。ロゴが愛されないと、オリンピックの盛り上がりにも影響するだろうし、評価されたとされるロゴの展開力も限定的なものとなるだろう。愛されないロゴは見なおしたほうが良いと思うのだが。