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リニア新幹線の大阪までの全線開通に関して

リニアの大阪までの全線開通を急ぐことこそ日本の経済、アベノミクスを万全なものにする途だ。

 カナダのトロント大学のリチャード・フロリダという先生がこういうことをいっております。地球を人工衛星で遥か彼方から見た場合に大きい灯りの塊が30あると、そのうちの3つが日本にあると、それがどこかというと東京、大阪、名古屋、こういうことだということです。つまりこれらは生産、サービス等の経済活動が活発に行われている地域だということですけれども、これをですね3つの輪ではなくて1つのエリアにまとめれば、それは人口7千万人ものスーパー・メガリージョンということになって世界最先端の最も活発な経済域、こういうことになるわけでして、そういった発想が今の日本にとって必要ではないかというのが私の考え方であります。

 アベノミクスは第一の矢、第二の矢、第三の矢という構想の中で一定の評価を受けるところまできており、かつまた、株価も堅調に推移していることから、成功しているといえるわけでありますけれども、まだ成長途上であって完璧なものにはなっていない。特に、企業は円安のお陰で企業収益は上がり、財務内容は良くなったけれども、儲かったお金を国内に投資をしていない。したがって、内需が非常に非活発的である。国内投資が進んでいない。このことが日本経済のこれからを考えると非常に問題であると思っております。

 6年後にはオリンピックがありますけれども、アフターオリンピックということになるとこれといった事業はほとんどない。こういう中でやはり東京~大阪までの全線の開通を行うリニア新幹線こそ、いまそれを国家プロジェクトとしてセットすればもっとも有効な経済対策になることは間違いない。1929年アメリカで大恐慌が起きた時に当時のルーズベルト大統領はTVA事業ということで大きいフーバーダムを作り、そこに大勢の失業者を吸収することによって失業対策を講じ、同時にアメリカに新しい大きな夢を与えることによって人々の気持ちを明るくしていったわけであります。今こそこれと同じようなことを我が国においてやるべきだと思っております。東京は人口が3562万人、大阪は1989万人、名古屋圏は1134万人、このように人口には多少差はあるけれどそれぞれ1千万人を超す人口規模であり、全体を足すと7300万人になるわけであります。こういった巨大な光り輝ける地域を近接距離で持っているのが日本の特徴であります。是非これを1つにしてメガリージョンとして世界から注目される投資環境を作れば、我が国の経済対策は対外経済のみならず国内経済においても盤石の発展をこれから遂げることになるであろうというふうに思っております。特に、問題の名古屋で留めるのと大阪まで延伸するのと、どういう費用/便益効果があるのかという試算を見てみましょう。2011年に交通政策審議会が費用/便益のデータを出しております。すなわち費用1に対して便益はいくらあるかということでございますけれども、名古屋でこのリニアを留めた場合は費用1に対して20の便益である、それに対して大阪まで延伸した場合は費用1に対して51の便益があるという報告がなされております。したがって、名古屋に留めずに大阪までもっていくことが圧倒的に大きい効果・便益をもたらすことは間違いないわけであります。我々はその意味において1日も早い大阪までの全線開業を目指しているわけであります。ただ、これには工事実施主体であるJR東海が必ずしも賛成いたしておりません。彼らの反対する理由は東京~名古屋を完成するのに5兆円程度の借財をすることになる、それが完成した後で大阪まで工事を伸ばすわけですけれども、直ぐにはできない。8年間オペレーション、この新幹線を動かすことによって借金を少なくして、新たに3・6兆円の借金をして大阪まで完成する、したがって今から数えると名古屋までの完成は12年後だけれども、大阪までの完成は30年後、こういうことをいっているわけであります。しかし、冒頭申し上げたように、そういうスピードの鈍いことでは本当の意味でのリニア新幹線の便益・効用が十分に発揮されない、世界から見てもそれは非常に問題である、そういう意味において我が国の全体のことを考えれば是非とも大阪までの全線の開通を早く行うべきだというのが我々の考え方であります。

 政府としては昨年の骨太方針において整備新幹線と並んでリニア新幹線の早期整備ということを謳いました。その結果、北海道の整備新幹線については5年の短縮という具体的な策が下されたわけであります。しかしながら、同じ表現になっていたリニア新幹線の早期整備という言葉に対して、政府は何も対応をとっておりません。そこで今年の骨太方針の議論の中では、「この大きな差は一体何なのか、直ぐにでもリニアの延伸、全線開通にあらゆる努力をすべきだ」という議論を行いました。結果として「リニア全線の早期整備」ということが今年の骨太方針で謳われたわけであります。

 政府が方針を出してもそれに沿って役所が動かない、実施工事主体である民間企業が動かない、これが現実でありますけれども、これは単なる、省庁間の争い、権限の争いの問題ではなく、本当に日本の命運を決する問題であることを考えれば、1日も早く関係者の合意を得て大阪までの全線開通を実現すべきであります。

 さて、その一番のデッドロックになっている問題は何かというとそれは財政問題であります。財政問題さへ解決すれば必要な技術者の数は揃うということでございますので、財政問題をどう解決するかということが大阪までの全線開通を早期に整備する一番の大きな問題であります。 

 我々は当初、国の無利子融資ということを検討いたしました。しかし、無利子融資となるとそれを実現するための特別の法律を作る必要がある、加えて、無利子融資の資金は、結局公共事業の予算の範囲内で行わざるを得なくなる、そうなると公共事業の伸びがそれ程ない中でリニアに大きくカネを割けないということがあります。現実に整備新幹線予算は毎年700億円ぐらいでありまして、その枠をリニアで食うわけにはいかない、こういうことであります。それではリニアについて何でやるか、当初申し上げた通り民間資金でやるということであります。そこでJR東海の年間の収益が当初予想を遥かに上回る好成績を残しております。つまり年間3700億円の利益を出しているわけでありますから、私はその利益の一部で、少なくとも名古屋~大阪間のルートの決定を急ぐべきだと思っております。ルートの決定をするためには必要な調査をしなければなりませんが、しかし、その費用たるや毎年10~20億円程度の費用で済むわけでありますから4000億近く利益を得ている企業にとって大した負担でないことは明々白々であります。それよりもJR東海が間違いなく大阪まで可能な限り早く整備をするというメッセージを国民一般にも送った方が、JR東海のためにもなるだろうし、国の関係者にとっても将来の行き先がはっきり明示され、このことは非常に魅力的であり、また関係者が安心する基になるであろうと思っております。環境影響調査ということになりますと基本的なもの、例えば、土質調査等は一旦やればずっと使えるわけでありますから、そういったものだけでも先にやるべきが本当であろうと思っています。

 実はこのリニア新幹線技術というのは世界に冠たるものでありまして、今のところ世界にこれに類する、あるいはこれに追随するような技術を持ったところはドイツの常電導技術以外は見当たらないわけであります。しかしながら、永遠にそうだという保証は全くありません。1日も早く最新の技術でそれを具体的に日本の国内に整備すればその素晴らしさに着目して諸外国が同じものを作りたいと強い要望を持つに至るだろうことは容易に想像がつくわけであります。現実にJR東海はアメリカの東海岸に関連子会社を設立して、アメリカに「マグレブプロジェクト」、「リニア新幹線」を売り込むことに非常に熱心でありますけれども、外国にモノを売るためには国内でそのプロジェクトが実現している必要がある、当然であります。だからそういった意味においても我々は東京~大阪までのリニア早期整備を強く主張するところであります。

 私は自民党の「超電導リニア鉄道に関する特別委員長」としてこの問題について随分頑張ってまいりました。是非日本の素晴らしい国土形成、そして何よりも日本の国内の経済活動が相当期間永続的に営まれる成長の柱、成長戦略の柱として、リニア新幹線の大阪までの全線開通を強く要望するところであります。是非国民の皆様もこの事柄の経緯とそしてその持つ意義をお考えになり、そのことが日本社会に大きい良い結果を生むだろうということを理解いただきたい。特に東京~大阪間を1時間で結ぶことになりますと東京に本社を置く必要はありません。東京一極集中の是正ということは地方創生で関係大臣等が一生懸命叫んでおりますけれども、このリニアが完成すればそのこともまた自然と実現するわけであります。どうぞリニア新幹線の持つ意義を十分理解していただき、応援をしていただきたいと思っております。

ありがとうございます。

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