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弱いものがさらに弱いものをたたく~若者とマツコ

■マツコインタビュー

いつもながらFacebookのタイムラインをぼんやり見ていると、マツコデラックス氏による「弱者論」のようなインタビューがリンクされていた。

そのインタビューはマツコらしく日本社会のホンネ(言い換えると日本社会が隠しているもの)に迫るものだった。詳しい中身はここを参照してほしい。

記事 ビッグイシュー・オンライン2015年01月24日 05:00「マイノリティがマイノリティを差別する」:マツコ・デラックスさん、差別の「根っこ」語る

マイノリティ論を語るとき、あるマイノリティが、自分たちを差別するメジャー(多数派)側に立ち向かわず、自分たちよりさらに弱い立場にあるマイノリティを踏み台として、メジャー側に擦り寄っていくという構図はよくみられる。

マツコは「若者」を例にあげているようだ。この記事ではその点は深く解説されていないため続編を待ちたいところだが、2ちゃんねるの書き込みなどを通して、2ちゃんねるユーザーの若者(それは30代が主流だと言われるものの)はいわゆる「ネトウヨ」的な人が多く存在し、そうした人々は平気でマイノリティを差別する。

そうした言説はいまは「ヘイトスピーチ」などと言われているみたいだが、中身は単純な差別である。まったく根拠もないのにある集団を攻撃するその構造の中には、攻撃するもののルサンチマンやコンプレックスが含まれていることは誰もが知っており、またヒューマンライツ(人権です)の重要性は誰もが頭では理解しているのにもかかわらず、ヘイトする。

ここにきて、あらためてそのような「ジンケン」と真正面から向き合わなければいけない季節がやってきたと僕は思う。

その、最大の卑劣行為が2ちゃんねるのようなネット環境で展開されており、そこでは、ある種のマイノリティ(ニートやひきこもりとくくられる若者)がその他のマイノリティ(「在日」等)を差別(ヘイト)する行為が日夜くり広げられている。

その主役に「若者」が入るそうなのだ。

■170の「いいね!」

このマツコインタビューについて、僕は以下のようにコメントしたが、これに半日で150もの「いいね!」がついた。

「記事中、『生きづらさを抱えた若者が自分たちより立場の弱い者をネットの匿名性を通じて攻撃・差別する』といった指摘は、マツコならでは。

すべての『弱い若者』がこうした行為はしないが、若者問題が社会的に認知されにくいのはこの点があると思う。支援者が若者当事者を『代弁』する場合、この点も怖れず発信しなければ、若者=マイノリティーとは社会的には認知されないだろう。

つまりは支援団体の声ばかり空回りする。ポイントは、当事者の『代表』の声で、だからこそ『ひきこもり大学』などの動きが重要だ」

僕のFacebookはマニアックで、というかまあ普通で、僕の各書き込みに対して通常は20いいね! くらいで終わることが多い。それが、この書き込みというか、マツコインタビュー紹介に対してはあっという間に150になった。

それは今も衰えず、1日程度で170を超えている。その後も僕は別の書き込みを行なっているからこれは異例ではある。

Facebookをやっている方なら感覚的にご理解いだけると思うが(僕は、世界を支配する~世界のベーシックなコミュニケーションツールになるSNSは、「仕事」面ではFacebookだと予想している)、「いいね!」はそれほど簡単に三桁に乗ることはなく、いわゆる有名人か、タイミングがヒットした話題のみが三桁に乗ると僕は分析している。

そのひとつが、今回のマツコによるマイノリティ分析だった。

■「若者」が嫌われている

ここには僕のテーマである「代弁」や「代表」という言葉が踊っている。

その解説は別稿にゆずるとして、「弱いものがさらに弱いものをたたく」という現象(このフレーズはご存知、というか多少古いが、あのブルーハーツの「トレイン・トレイン」から引用)が一般的にみられることは事実だろう。

現代の「弱者」の代表といわれる「若者」は、市民たちから「弱者」としてイマイチ認識されていない。

それはなぜなんだろうと僕はずっと考えていて、その答えが今回のマツコのコメントにあると直感した。

つまりは、現代の「弱者」である若者は、弱者としておとなしくしていないのだ。「弱者」らしくなく、2ちゃんねる等でくだらない行為を行なっている。

そのくだらなさが「若者」であるといってもいいのだが、その若者らしさのゆえに、社会が「若者=弱者」というわかりやすい構図にあてはめていくことができない。

若者を「弱者」として支援し、その層を労働者化していくことで税と年金の負担者層を拡大することが、これからの高齢社会のキモなのだが、その主役の若者が嫌われている。

高齢社会の労働者として期待される「女性」や「外国人」もあてにできないという流れになってきたいま、あとは「高齢者」の再労働者化が頼みであり、現実は68才や70才年金支給へと制度は動くかもしれないが、何やかや言っても今のところの頼みは「若者」なのだ。

リンク先を見る 田中俊英

一般社団法人officeドーナツトーク代表

子ども若者支援NPO法人代表(02〜12年)のあと、2013年より一般社団法人officeドーナツトーク代表。子ども若者問題(不登校・ニート・ひきこもり・貧困問題等)の支援と、NPOや行政への中間支援を行なう。03年、大阪大学大学院「臨床哲学」を修了。主な著書に、『ひきこもりから家族を考える』(岩波ブックレット)ほか。京都精華大学非常勤講師「こころと思想」。13年、内閣府「困難を有する子ども・若者及び家族への支援に対する支援の在り方に関する調査研究企画分析会議」委員 、14年はユースアドバイザー講師(内閣府、広島ほか)。

※Yahoo!ニュースからの転載

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