「The Economist」のこちらの記事は、何とも気になる内容でした。
現在の経済学の新しいテーマとなっているのが、人間の幸福をどのようにして計測するかというものです。従来の経済学は富(お金)から効用(幸福)を計測してきた訳ですが、2つの関係が必ずしも相関しないことが明らかになってきたからです。
ブータンのGNH(グロス・ナショナル・ハピネス=国民総幸福?)の概念や、先月、イギリスのキャメロン首相が、英国政府も幸福に関する国民のデータを集めると発表したことも、世の中の変化を感じさせます。
人間の幸福を決める要素は何か。この記事では、性別、性格、外的環境、そして年齢の4つをあげています。お金は外的環境に入るのでしょうが、飽くまで1つの要素に過ぎません。それ以外の要素によっても幸福度が変わってくるというのは、言われてみれば納得感があると思います。
国の経済的豊かさと幸福度には一定の関係が成り立っているのは良く指摘されるデータですが、これにも例外が多く、お金が必ずしも幸せをもたらす訳でないことがわかります。
つまりお金以外に幸福を決める要素がある可能性が高いのです。その可能性の中で、一番興味深いのは年齢です。
調査によれば、自分の幸福度を自己評価してもらうと、年齢と幸福度の間に関係があり、平均で46歳の時が一番不幸に感じるという結果が出ているというのです。これは、それぞれの国の環境にあまり関係なく、世界的に共通に見られる傾向のようです。
ナゼ46歳の時が一番不幸なのか?記事では、色々な仮説を学者の研究を元に挙げていますが、私が思うのは幸福度とは自分の理想と現実のGAPにあると思います。それが、一定の年齢から小さくなっていくからではないでしょうか?
つまり、自分の理想に現実が追いつかないのが40代までで、そこから先になると現実を受け入れるように柔軟な思考ができるからではないか、という仮説です。
20代、30代とやりたいことや夢がたくさんあります。それに自分の現実がついていかない状態が続き、幸福度が下がっていく傾向がある。それがある時点で、目標に変化が生じ、自分の現実とのGAPが少しずつ縮んでいく。その転換点が40代半ばではないかと思うのです。
それは人生を諦めてしまう、ということではなく、新しい価値観に変わっていくのがこの時期ではないか。人間が成熟していくというのが、この価値観の転換を意味している気がします。
しかし、46歳というのがどうにも気になります。なぜなら、実は私が来年3月でその一番不幸な年になるからです。自分の場合、今まで年齢と共に不幸になっていった感覚は全くないのですが、果たしてこれからの人生の幸福度はどうなっていくのでしょうか?
これからも素敵に年を重ね、幸せであり続けたいものです。
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- 2010年12月21日 06:31