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最高裁判決によらないで内閣が閣議決定で憲法解釈の変更を強行したことが問題

法の変遷もあれば法の解釈の変遷もある、というのが私の理解である。

自衛隊が憲法解釈の変遷によって違憲の存在から合憲の存在に転換した、という説を採れば、それ、これまで何度も憲法解釈の変更、解釈改憲が行われてきたのだから今回の解釈改憲もノープロブレムだ、などという議論になってしまうのだろう。

しかし、そういう論者の解説は、私は採らない。

憲法学者にも色々説があり、誰の説が正しいとは一概に言えないのだが、私は大方の憲法学者が主張するところを基調にしながら、かつ最高裁がどう判断するだろうか、ということを念頭に私自身の憲法判断を構築する。

学者も弁護士も自分の説を主張するのが商売のようなところがあるから、こういう議論に嵌ってしまうと何が何だか分からなくなってしまうだろうと思うが、憲法学者の方々の議論はさておき、憲法判断は最高裁判所が最終的にどういう結論を出すかに係っていると言わざるを得ない。

未だ最高裁が結論を出していない事項については、結局は最高裁の判断を予測するしかない。
弁護士や検察官の様々な法律上の意見は、言わば最高裁の判断を自分の意見に引きずり込むための主張だから、弁護士や検察官がそう主張しているからと言って直ちにそれが正しい、ということにはならない。

法の解釈には、どうしてもそういう不安定さや何とも言えない流動的要素があることは否定できない。

憲法学者の方々は自分の学説や理論に基づいて法の解釈をするから、人によっては自衛隊は違憲となり、人によっては合憲ということにもなる。
どっちが正しいのだと詰問されても、その憲法学者の学説や理論に従えば、そうならざるを得ない、ということになる。

内閣法制局の役割は、行政府の中での法の解釈を整合性あるものにし、行政府内部での法的安定性を確保することにあったのだから、戦後、法制局なり内閣法制局が長年にわたって積み上げてきた憲法解釈の論理からすると集団的自衛権行使容認法制は違憲の法制と見做さざるを得なくなることは当然のことで、歴代内閣法制局長官が一様に今回の平和安全法制整備法案の非をならすのは極めて自然な反応である。

安倍総理は内閣法制局長官の人事に介入して内閣法制局の見解を変えさせ、その変更後の内閣法制局の見解を拠り所に件の解釈改憲を閣議決定で強行したのだから、従前の内閣法制局の見解を拠り所にして憲法判断をしてきた人々から立憲主義を無視している、立憲主義に違背している、と批判されるのも至極当然のことである。
日弁連が総会決議で今次の平和安全法制整備法案等が違憲であると表明し、さらに日弁連会長や各地の弁護士会長が同様の声明を出すのもすべてこの流れに沿ったものである。

それでは、弁護士の一人である私が同じ見解に立つか、と言えば、私には私の意見があるから直ちには同調できない、ということになる。

私は、自衛隊は違憲の存在ではない、という現在の国民の共通の理解に沿うような理屈を構築しよう、という立場に立っている。
国民が自衛隊は違憲でない、合憲だと認識しているのだから、自衛隊合憲の法的根拠を示すことが重要だろうと思っている。

したがって、自衛隊違憲説に立つ憲法学者の方々とは一線を画している。

なんだ、結論先行じゃないか、と指摘される向きもあるだろうが、法の理論、法の解釈にはどうしてもそういう要素がある。
結論の妥当性を考慮しながら、妥当な結論を導き出すための理屈、理論を探し出そうとしていることは間違いない。

立法府にいる人たちは、そのあたりのことを本能的に理解しているから、厳密な法解釈を求める方々からしばしば批判されるようなこともあるが、結論の妥当性を顧慮しているという限りでは結構役に立っているのではないかと思っている。

安倍流の解釈改憲はやはり拙かった、というのが私の理解だが、だからと言って今回の平和安全法制整備を違憲の法制だと切って捨てるのもよくないだろうと思っている。

私自身は集団的自衛権容認に舵を切ってしまうことには消極だが、集団的自衛権行使の一態様に見えてもそれは従前の内閣法制局の論理における個別的自衛権行使の範疇に入る、ということであれば、まずそういう形態について最高裁が違憲だという判断を出すことはないだろうから、結論として認めてはいいのではないか、というのが、私の考えである。

そんなの法理論ではないでしょう、という批判も出てくるだろうが、私自身は自衛権はあっても、個別的自衛権とか集団的自衛権というのは単なる説明の便宜のために考え出された理屈の一つであって、要は「自衛の措置」の範囲に収まるかどうかだけが本当の問題だという認識である。

多分、維新の橋下氏もそういうことを言ったことがあるはずだ。
橋下氏がどこまでのことを認識してそう言ったのか分からないが、橋下氏の感性と私の感性にはどこか通じるところがありそうだ。

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