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「目処が立つまで」という菅総理の自己矛盾

 震災復興の最中、民主党の体たらくぶりを見るに見かねた野党は、菅内閣に対して内閣不信任決議案を提出した。しかし、結果の方は茶番に終わったことは周知の通りである。

 「この時期に不信任決議を行うことは時間の無駄だ」という批判もあったものの、もし可決されれば、民主党の迷走にストップをかけることができ、急がば回れ的な意味合いでプラスになるという意見もあった。しかして結果の方は、まさかの“不信任決議案を否決”だった。皮肉にも、最初から何も行わない方が良かった(=時間の無駄)という結果になってしまったということである。

 菅総理がうつむいて原稿を読まずに前を向いて話す姿は久しぶりに見たような気がしたが、その姿は“保身には前向き”という姿勢を表しているような気がした。

 「目処が立つまで」というような玉虫色の答弁を行うようなところはいかにも菅総理らしい。震災問題だけでなく、これまでにもあらゆる問題を先送りしてしてきた経緯を見れば、菅総理の口から出た「目処」という言葉は「半永久的」と同義語と受け取れなくもない。

 こういった茶番を観るにつけ、この国の政治にある種の絶望感を抱いている人は多いと思うが、率直に言うなら、“政治家には政治改革を行うことはできない”というのが結論だろうと思う。

 仮に今回、内閣不信任決議が可決されたとして、一体誰が次の総理になるのか?という疑問を抱いている人は多くいたようだが、実際のところ、誰が総理になっても、近い将来、テレビを通して同じような茶番を観ることになる可能性は高いと思う。

 「政治家とマスコミは国民を映す鏡」という言葉もあるように、政治家は常に国民と同レベルを演じなければならないという悲しい性を抱えている。マスコミも同様に、多くの国民が欲している情報を提供することがその使命となっているがゆえに、国民の多くがゴシップ記事を好めば、その通りの記事を嫌でも提供しなければならないという悲しい宿命を背負っている。

 しかし、庶民の意見に迎合することによってしか政治家としての地位を保つことができないような社会では、誰にも政治改革などできるはずがない。いくら正論を述べたところで庶民に嫌われてしまっては選挙に落ちてしまうのだから、まともな政治家の出現を期待する方がどうかしているとも言える。

 要するに、まともなことを言う(実行する)人間であればあるほど政治家にはなれない社会になっていることが、日本の政治がいつまで経っても良くならない原因なのである。もっと言うなら、何がまともなことなのかという善悪の共通認識が確立されていないことが根本的な問題なのである。

 公務員としてしか生きていけない人が公務員改革に反対するのと同じように、政治家としてしか生きていけない人が、自らの安住の住処を滅ぼすような政治改革などを行えるわけがない。政治家が政治改革を行うということ自体が、ある意味で自己矛盾なのである。もちろん、中には清廉潔白な政治家も隠れているとは思うが、そういった政治家が表舞台に出てこれないのであれば、いないと思われても仕方がない。

 正直、現在の日本で本当に政治改革が行えるのは、政治家を辞めても他の道で生きていける人でしか有り得ないと思う。しかし、そういった有能な人が政治家になろうとしても、あまりにもリスクが大きい。政治家になって本気で政治改革を行おうなどという人間(例えばホリエモンなど)が現れても、悪役に仕立て上げられ、中世の魔女狩りの犠牲者のようになってしまうような社会では、よほど腹の座った維新の志士のような人物でないと政治家になりたいなどとは思わないと思う。

 現在の日本の有名実業家がこぞって政治家となって日本経済を運営してくれれば、日本の政治問題などは一気に解決に向かい、日本経済の先行きも明るくなるのかもしれないが、市場も経済もチンプンカンプンというような経済オンチの政治家達が国会を私物化していたのでは、先行きは暗いと言わざるを得ない。

 今回、政治家にとっては「伝家の宝刀」とも言われる『内閣不信任決議案』が提出されても、残念ながら菅総理には通用しなかった。野党自民党は次なる策として、『首相問責決議案』を提出すると述べているが、また同じような茶番が繰り返されないとも限らない。

 先程、政治家の自己矛盾について言及したが、今回の菅総理の「目処が立つまで」という発言にも大きな自己矛盾が含まれている。震災復興が早まれば早まるだけ、自らの退陣時期も早まるというジレンマが内包されている。
 口では「震災復興が第一」などと述べていても、その目的が同時に自らが嫌う「退陣」とイコールの関係にあるということは重大なチェック項目である。まかり間違っても、政治家としての自己保存欲を優先して震災復興を遅らせるというようなことにはならないように、しっかりとチェックしなければならない。

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