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震災復興税は『災いに乗じて悪をなす』政策

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 東日本大震災での死亡者数は、アメリカ同時多発テロ事件の死者数2973人、阪神淡路大震災の死者数6434人をはるかに上回り、このままいくと3万人を超えそうな雲行きだ。

 今回の地震による大津波の跡地は、まるでどこかの国からミサイル攻撃でもされたかのような戦地さながらの光景がテレビ画面に映されている。テロ事件による死亡者が最大のものでも数千人だと考えると、3万人もの死亡者が出る事件というのは、テロを超えた戦争が起こったようなものだとも言える。

 「1000年に1度」とも言われている大地震による死亡者数が3万人に達することは大きな問題に違いないが、日本では大震災とは別に毎年3万人もの人が自殺している。

 死亡者数だけで考えれば、日本は毎年、大震災に見舞われているのと同じだけの人命が(自殺により)失われていることになるわけだが、この大問題はあまりクローズアップされない。1000年に1度の珍しい事件にはニュースとしての報道価値があり、毎年の出来事にはニュースにする報道価値がないというのもおかしな話である。

 世界に目を向ければ、毎年100万人以上の人が自殺している。そのうちの3万人ということは約3%が日本人ということになる。世界の総人口が約70億人、日本が1億2000万人と考えると、日本の人口パーセンテージは、1.7%程であるので、日本の自殺者数は異常に多いことになる。

 世界第3位の経済大国の自殺者率が世界第5位というのは日本の七不思議の1つ(?)であるとも言えるが、この謎を解明することは日本社会のタブーとでも言わんばかりに、マスコミではほとんど取り上げられない。

 日本は世界一の少子高齢化先進国である。人口減少社会が経済に悪影響を与えることが懸念されている国で、毎年3万人もの人が自殺しているということは実に大きな問題であり、まさしく大震災並みの出来事だとも言える。

 自殺の話はひとまず於いておくとして、現在、震災復興を目的とした震災復興税として、消費税の増税が取り沙汰されている。これまで世論の反発を恐れて消費税の増税に躊躇してきた民主党も、この機に乗じて、念願の消費税増税を一時的にでも行おうと考えているようだ。官僚からの入れ知恵かどうかは定かではないが、国民の同情心を利用して増税に踏み切ろうという姿勢(下心)が見え見えだ。

 確かに震災で被害を被った人には何らかの補助が為されるべきだが、その資金を増税で賄うというのは筋違いである。増税で賄うぐらいなら、お金を刷ってバラまいた方がよっほどマシだ。
 「そんなことをすればインフレになる」というような言葉が返ってきそうだが、お金がまともに動いていない国で多少のお金をバラまいてもインフレにはならない。お金がバラまかれることによって眠っていたお金が市場に大量に出てくればインフレになるかもしれないが…。

 そもそも税収などというものは、働く人や高給な人が増えれば自然に上がるものである。そういった社会にするにはどうすればいのかということを考えて実行するのが政治家の役割だ。今回の震災を例にとれば、破壊された町を地震にビクともしない未来都市として根本的に創り変えるというぐらいのビジョンが必要だ。そういった都市を創るために、大々的な投資を行い雇用を創出すれば、増税することなく震災復興が行えるかもしれない。被災地にそんなことはできないというのであれば、場所はどこでもいい。あるいは大津波に耐えれる大防波堤込みで全国の湾岸都市を再開発すればいい。

 震災前に民主党が消費税の増税を行えなかったのは、ポピュリズム政治であるがゆえに国民の反発を恐れたからだ。増税を行う前に政治家が本来行わなければならない政治的社会改革を行わずに税金に頼るという姿勢が容認されずに支持率が激減したはずだ。それが震災が発生したからといって、簡単に容認されるようになるものなのだろうか?

 政治改革も公務員改革もろくに行わずに、「震災が発生したので復興のために消費税を上げなければならない」というような主張が通るのであれば、震災が発生していなければ消費税を上げる必要性はなかったということになってしまう。

 「他の税金はともかく消費税だけは上げる必要がある」と述べているエコノミストは数多いが、残念ながら、消費税を上げても何の解決にもならないどころか、返って消費は落ち込み、思ったほど税収も増えず、当然、震災の復興費も満足に捻出できずに、日本経済は更なる奈落の闇に足を踏み入れることになってしまうだろう。

 震災復興で大事なことは、「災いを転じて福となす」政策であり、復興活動自体が経済を活性化させる手段でなければならない。まともな思考ができる人間であれば、消費税を上げて景気が良くなるなどということは有り得ない妄想だということが解るはずだ。

 例えば、消費税を1%上げたとして、消費税による税収が1%以上上がらなければ、それは経済が縮小したことを意味する。1%分以上の増収となるのであれば行う価値があるが、そうなる確率は0%だと断言できる。上げた税率分の増収が期待できないのであれば、それは経済縮小政策でしかないということである。

 大地震の影響で経済自体が縮小を余儀無くされている現在の状況下で消費税の増税などを行えば、ますます日本経済が悪化することは間違いない。これでは「災いに乗じて悪をなす」になってしまう。
 繰り返すが、震災の復興は、まともな経済活動によって為されるべきであり、増税によって賄われるべきではない。それは投資の発想と同じであり、富を生む震災復興政策を実施する必要があるということである。増税というジリ貧の震災復興政策では、日本全体が経済被災地になってしまうという危険性にこそ目を向けなければならない。

 もし本当にそんなこと(増税によって経済被災地)になれば、日本の自殺者率は世界一になってしまいかねない。

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