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気象庁の『余震予報』は必要か?

 今回の東日本大震災が起こってから、東北を中心に何度も余震が続いていることは周知の通りだが、気象庁は余震の度に「今後、震度5程度の余震が起こる可能性がありますので注意してください」と呼び掛けてきた。しかし、昨日、震度6強の余震が発生したというニュースがあり、大きな騒ぎとなった。ちなみにこの地震の後、気象庁の予報はこう変化している。

 「今後、震度6強程度の余震が起こる可能性がありますので注意してください」

 私はテレビのニュースで気象庁からの発表があるたびに疑問に思ってしまうことがある。それは、「地震の予報まで気象庁が行う必要が有るのか?」という疑問だ。と言うよりも、「気象庁に地震の予報を行うだけの能力が有るのか?」という素朴な疑問である。

 今回の大地震にしても、気象庁は全く予想すらもしていなかったわけだし、全ては結果に対しての予報でしかなかった。地震が発生してから津波警報を発令するのは気象庁の大事な仕事なのかもしれないが、これとて、毎度、地震がくる度に発令しているものの、本当に津波の危険性が有るのか無いのかは少し時間が経過してからしか判明せず、どれぐらいの規模の津波になるのかも予測できない。

 津波警報のおかげで津波から逃れることができた人も大勢いると思われるので、気象庁の存在を否定しようというつもりはないのだが、津波到着まで数十分しかない津波警報では、逃げることもできずに助からなかった人の方が多かったかもしれない。

 今回の地震の場合、津波が陸に到着するまでに20分程度しかなかったと伝えられているが、津波は海岸線から内陸部に向って数キロメートルに渡って押し寄せた。これでは警報を聞いて即座に逃げたとしても数キロ先までは避難できなかっただろうし、数キロ先まで逃げる必要性を感じなかった人も大勢いたと思う。

 津波の話は於いておくとして、いくら気象予報士とはいえ、天気予報と同じような感覚で地震予報などを行ってもあまり意味がないと思う。分かりもしないのに、わざわざ「震度5」などという具体的な数字を出す必要はないと思う。実際、「震度5の余震なら安心だ」と思っていた人もいただろうから、予報を信じたことによって逆に被害を被った人もいたかもしれない。

 余震に注意が必要だということを伝えたいのであれば、単純に(素直に)以下のように言えばいいのではないだろうか。

 「今後、大きな余震が起こる可能性がありますので注意してください

 これで充分ではないだろうか? わざわざ細かい震度にまでこだわると、気象庁の信用が損なわれることになりますよと言うのは余計なお節介だろうか? それとも天気予報と同様に、予報がハズレても誰も文句を言わないので惰性的に行っているのだろうか?

 実際のところ、上記のような予報であれば小学生にでもできるので、プロの予報士として敢えて震度にまで言及しているのかもしれないが、アテにならない予報であれば全く無意味になってしまう。

 先程も言ったように、地震の予知などはごく稀な予言者を除いて誰にもできない。いや、仮に本物の予言者がいたとしても正確な時間や震度までは分からないはずである。

 結局、正確な余震予報などは誰にもできないのだから、行う必要性は無いのではないかと思う。先程も述べたように「余震に注意してください」と言えばそれで充分だと思うのだが、何か間違っているだろうか?

 もし「気象予報士」にできる地震予知というものがあるとすれば、地震が起こる前に出現するという『地震雲』によって行う程度のものだろうと思う。実際にこれができれば大したものだと思うが、当面は無理だろう。

 昔から、「お上は国民に箸の上げ下げまで指示しないと気が済まない」と言われるが、現在の余震予報を聞いていると、まさしくそんなイメージが浮かんでしまう。地震が有るたびに、「気象庁は今後、震度○の余震が起こる可能性があるため、国民に注意を呼びかけています」というアナウンスが聞こえてくるが、そんな当たり前のことを言われても困ってしまう。

 それに、地震には余震は付き物なのだから、わざわざ「余震に注意しなさい」などと言われるまでもなく誰もが余震には警戒しているのではないかと思う。地震を経験したことのない子供に言うならともかく、大の大人が今更そんな言葉を聞いても、ほとんど有り難みを感じないと思う。

 こんなことを書くとまた誤解を招く恐れがあるので、念のためにお断りしておくと、私は“地震予報を流して注意を促すことがいけない”と言っているわけではない。気象庁が“予言者ぶった予報までする必要はない”ということを言いたいだけなので誤解のないように。

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