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中国の軍拡がこれから破綻する理由

今日の横浜北部は晴れておりますが、暑いながらも朝方は秋の気配を感じるようになってきております。

さて、翻訳も一段落しましたので本日で3日連続のブログ更新です。今日は中国の軍拡が終わりであるというやや楽観的な内容のナショナル・インタレスト誌からの記事を要約です。

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なぜ中国の莫大な軍拡は破滅する運命にあるのか
by サルバトーレ・バボネス

Why China's Massive Military Buildup Is Doomed
Salvatore Babones

15-8/5 National Interest

http://nationalinterest.org/feature/why-chinas-massive-military-buildup-doomed-13494


●南シナ海での紛争の可能性が高まりつつあるなかで、現在最も注目を集めているのは、中国の軍備拡大である。

●最近の報道では、中国が海南島に巨大なドック関連施設を建造中であることや、南シナ海の島を航空基地にしようとしているが、これはこの地域全体を震え上がらせて各国の武装化を促している。ここでのメッセージは明らかだ。200年におよぶ西洋の支配を経て、中国が復活したということだ。

●ところが本当にそうだろうか?西側の災厄預言者たちの予測とは裏腹に、中国は近い将来において政治的に崩壊するような危機には直面していないし、経済は減速しているが、ライバル国と比べてもその状態はまだ健康的であるといえる。

●ただし「中国が世界を制する」という主張(というか恐怖)は明らかに大げさである。その理由は、国家予算的に無理があるからだ。

●2015年の中国の軍事費の成長率は10.1%であり、これは過去20年間の二桁成長の継続である。ところが鋭い経済学者たちはこの数値がインフレ率と調整されていないと説いている。

●さらに悪いことに、彼らは兵士の給料(人民解放軍の最大の予算)の上昇率がインフレ率よりも高いことを考慮していないのだ。たしかに総額はものすごいが、それでも7410億元という額は以前ほど追いついていないのだ。

●そして腐敗がある。もちろんアメリカにも調達面でスキャンダルがないわけではないが、米軍では腐敗はそこまで組織化されたものではない。ところが中国ではあらゆる官僚組織の中に腐敗が存在し、人民解放軍も同様であることは北京政府自身も認めている。

●今年の1月中旬に、北京政府は2014年に汚職で検挙された16人の軍高官の名前を挙げており、これには兵站関連の幹部が多数含まれていた。さらにすごいのは、4024人(82人の将軍を含む)の幹部たちへの汚職捜査が開始されたと報じられたことだ。

●中国の過去20年間における二桁成長のうちのどれくらいの額が汚職に流れたのかは誰も知ることができないだろう。ところが中国の軍事費の拡大の開始は、1998年に人民解放軍の民間ビジネス部門の閉鎖とほぼ同じ時期に始まっているということだ。サイドビジネスを禁じられた人民解放軍の幹部たちは、自らのビジネスモデルを国庫から直接盗むものにシフトしたのだ。

●巨大な人民解放軍の組織構造は7つの軍管区にわかれており、各区の幹部たちは過剰な予算権限を握っている。このような環境のおかげで、汚職がはびこるのは当然だといえよう。軍の下部組織でさえ腐敗によって巨額の資金が搾取されているという話は有名だ。

●汚職の規模を考えると、人民解放軍の幹部たちが出世のために賄賂を払って、実質的にポジションを金で購入するというのが日常的な風景である。もちろんこれによって人民解放軍の能力そのものが貶められるものではないかもしれないが、確実に軍事予算のインフレにつながっており、しかもその規模は莫大なのだ。

●中国の国家統計局の発表によれば、今日の中国の軍事費はGDPとほぼ同じように増加しており、GDPの1.3%で安定しているという。また、北京政府はその詳細は述べていないが、GDPの1.4%は国内の治安維持向け(警察や準軍事部隊などを含む)であることを認めている。

● 西側の中国専門家たちはこの二つの数字を合わせて中国がGDPの3%を国防費として使っていると分析することがあるが、これは明らかに不適切だ。

●80%以上の国内治安維持用の予算は現地政府(省)の部隊で使用される。北京政府は外部の人間にとっては不透明であるが、われわれが一つ確信できるのは、各地方が独自の軍事力を備えようとするのを北京政府は絶対にゆるさないということだ。

●アメリカは国防費としてGDPの3%以上の額を使っており、これは世界でも有数の高さのレベルにある。

●アメリカが世界最大の経済規模を誇り、最先端の技術を持ち、世界中に同盟国のネットワークを張り巡らせていることを考えると、中国をそれほどおそれる必要はない。その予算を詳細に見ていけば、それが杞憂であることがますます確信できる。

●中国が全体的に中間層に移行していくにしたがって、社会保障費はGDPよりも早く拡大している。中国の農村部へと教育を拡大しており、住民票をもたないような都市部の住民に対してまで福利厚生を手厚く継続しようとしている。

●それと同時に中国の人口の高齢化は急速に進んでおり、健康保険や年金システムに大きな負担がかかっている。65歳以上の高齢者の率は今日の10%から2035年には20%に上昇すると見られている。高齢者に対するサービスは、今後数十年間にわたって政府の財源を圧迫することになるだろう。

●アメリカと同じように、中国も国内と国防の予算の優先順位の選択に悩んでいる。この二国の最大の違いは、アメリカがすでにリッチな国であると同時に人口構成のバランスがまだ崩壊しないと見られていることだ。

●また、アメリカは比較的効果的な累進課税システムを持っており、危機が起こった時にはその税率を容易に上げることができるが、中国はそのようなシステムを持っていない

●その他のほとんどの中所得国と同じように、中国も主に(消費税、法人税、譲渡所得税などの)間接財源にたよっている。これらからの税収額は所得よりも上昇速度が遅く、したがって中国経済が発展しても税収全体は経済全体よりも増加が遅くなるのだ。

●結果として、中国の国防費は行き詰まることになる。もちろん人民解放軍の予算は、効率の向上や腐敗の減少などによってその勢いをある程度継続させることは可能であろうが、それでも二桁成長の時代は終わっている。

●おそらく北京政府はもうすぐ軍に対して「少ない額で多くのことをやるように」指示することになるだろう。これにはアメリカの将軍たちも中国側に同情できるようになるのではないだろうか。

●経済成長が著しい時に軍人として高い給料で雇われた経験のある中国の多くの軍人たちにとって、これは厳しい知らせであろう。ところがこれは中国の周辺国や、アジア太平洋地域の安全保障にとってはよい知らせだ。

●もちろん南シナ海では一夜にして平和が実現するわけではないが、現実として中国は現在のようなペースで地域での軍備拡大を続けることはできないのだ。

●アメリカ、日本、そしてオーストラリアのような、発展した自由民主制国家の最も進んだ武器というのは、その財政能力である。

●中国やロシアのような独裁的で腐敗した国家というのは、たしかに短期的な軍事力の拡大において目覚ましい成果を上げるが、歴史的にみても、財政面でそれを継続する力に欠けている。中国はどう考えてもすぐに発展した自由民主制国家になるとは思えない。そしてそれが不可能ということになれば、アメリカや周辺国を脅せるような財政力を持てないということになる。

●もし中国がなんとかして発展した自由民主制国家になれたとしても、周辺国やアメリカはその新しい中国を恐れる必要は何もないのだ。
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ポイントとしては、国内治安維持のコスト、汚職、そして財政力のなさという3つが挙げられておりますね。

ただしこの記事の筆者が見逃していると思うのは、現場の部隊が勝手に暴走する危険があるということでしょうか。そういう意味で、私は素直に「恐れる必要は何もない」とは信じられないですね。

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