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インフォグラフィックはなぜ注目されているのか。学際情報学府修了荒川拓さんに聞く

有益な情報をわかりやすく伝える手法として、最近注目を集めているインフォグラフィック。在学中に行っていたソーシャル経済ニュースNewsPicksでの連載が、本として出版された荒川拓さん(学際情報学府修了・東大新聞オンライン元編集長)に、インフォグラフィックの醍醐味をうかがった。

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――最近注目されていますが、インフォグラフィックって何なんですか?

インフォグラフィックは情報を視覚的に伝えるもので、地図や図解など幅広いビジュアル表現を含みます。古くからプレゼンなどで使われてきましたが、スマホでの情報収集が多い昨今、その見やすさと分かりやすさから注目を浴びています。

――どういった経緯で本を出されたんでしょうか

就活が終わった修士2年生の7月から、NewsPicksという経済ニュースメディアで働いていました。もともとNewsPicksは自分では記事を作らず、外から集めるキュレーションメディアでしたが、2014年の9月から自前のコンテンツを出すようになりました。インターン中は編集部に参加させてもらい、東洋経済オンラインから移ってきた佐々木紀彦編集長らとオリジナルコンテンツを作る仕事に関わらせていただきました。

そのときに持っていた連載が、「ネット四天王のすべて」というもので、Apple、Google、Facebook、Amazonというインターネット企業のサービスや財務状況、買収戦略などを分かりやすく伝える連載をしたんです。それを再編集して本にしました。

ネット時代、メディアのカギはキュレーション

――どうしてインフォグラフィックにしようと考えたのですか?

「BIG4」と呼ばれるような、これらの会社について連載することが決まったので、どうやってデータを集めようかと考えました。これらの企業は、書籍・新聞・ネット…、あらゆるメディアで情報があふれている状況でした。英語メディアの翻訳という意味も含め、既存の公開情報を編集する方が、有意義な情報になるのではないかなと考えたんです。もちろん、シリコンバレーに行って現地で直接取材をすることは間違いなく必要ですし、今でもそれはしたいと思っています。ただこの連載では、あくまで「編集」という観点で「BIG4」を取り上げることにしました。そして、それをどう編集してどう見せようかと考えていたときに、佐々木編集長の紹介でインフォグラフィックを専門的に扱うデザイナーの櫻田潤さんと出会ったんです。

今って、スマホを常に持ち歩いているから、活字に触れる時間が昔よりだいぶ長くなったと思いませんか?しかも、スキマ時間に活字情報を見るから、コマ切れの時間でしか情報に触れられない。そういうときに、まとまりのある凝縮した形で情報を提供する。インフォグラフィックにはそういった可能性があると思ったんです。

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荒川拓さん

複数の人が一緒にコンテンツを創る時代

僕が企画と編集、編集とデザインを櫻田さんが行いました。データ集め、こういうストーリーにしてだいたいこんなインフォグラフィックにしようというのは僕が考えました。一方で、櫻田さんも編集をして、ここは情報量が多すぎる、ここは他の見せ方があるという形でどんどん手を入れてもらいました。どちらも編集をしているんですね。櫻田さんはこれを「レノン・マッカートニー方式」と呼んでいます(笑)

こうやって完成したものを見てみると、一人の人がコンテンツを作るのではなくて、少人数で役割を分担しながら作る方が、良い物を作れるのではないかなと感じました。アニメーションでデータを可視化するというような手法になれば、より多くの人がコンテンツ作りに関わるようになります。

違うモノの考え方をする人が集まってコンテンツを創れば、より客観的なものができますし、表現の幅も広がります。一人でものを作ると、恣意的に情報をピックアップして、わかりやすいストーリーを作ってしまう。『ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質』(ナシーム・ニコラス・タレブ)で言われるよな「講釈の誤り」に陥りやすいんですね。

今回の連載では、データ集めを行った僕は、できるだけたくさんの情報を入れたいと考えるし、櫻田さんはデザイナーとして、ある程度情報量を減らしたほうが、ユーザーに優しくなると考える。こうやって二人で話し合いながら進めたことで、スマホという限られた紙幅で、できるだけわかりやすく情報を伝えることができたのではないかなと思います。

――自分の本が書店に並んでいるのはどんな気分でしたか?

感慨深かったですね。今回の書籍化は、最初から本にすることを意図していたわけではないので、関わってくださった方々にとても感謝しています。何か新しいこととか、面白いものの芽を探すことができれば、本になるきっかけはたくさんあるように思いました。

大学生が書いたものでも、面白いものなら出版のチャンスはいくらでもあります。大切なのは、日々発信することだと思いますね。僕の場合はNewsPicksという媒体で連載を持たせてもらっていたから、それがモチベーションになっていたけど、そういう環境にいなくても、発信してコンテンツを世に出していくことが出版につながるんだと思います。

(取材・文 須田英太郎)

・「東大の知をひらく」のテーマのもと、東大生の編集部員が運営しています。東大教授や卒業生のインタビューを中心に、いま東京大学で何が起こっているのかをお伝えします。http://www.todaishimbun.org/

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