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英賃金に伸び一服の兆し、英中銀の利上げに不透明感

[ロンドン 12日 ロイター] - 英賃金はここ数カ月こそ伸びが加速しているが、足元では上昇が一服する兆しが出ている。賃金上昇が鈍化に転じれば、利上げ態勢に入りつつあるイングランド銀行(BOE)にとっては当てが外れることになる。

英国の賃金は近年、金融危機前よりも緩やかな伸びにとどまっている。英中銀は、賃金上昇率が長期的な平均水準に向って回復することを、金融政策引き締めを開始するための前提条件の1つと考えている。

英中銀は先週、年間の賃金伸び率は今年末までに3%に達する、と予想。失業率の低下に伴い企業の間で人材争奪戦が激化すると見込まれることから、16年と17年にはより大幅な賃金上昇を予想した。

ところが、英国立統計局(ONS)が12日発表した4─6月の平均週間賃金上昇率(ボーナス含む)は前年同期比2.4%で、3─5月の3.2%から大幅に鈍化した。ボーナスの伸びが相対的に低かったことが主な原因だが、基本給にも伸び悩みの兆しがあることが示された。

また、企業調査の一部では、先行きの賃金の伸びに関する英中銀の予想が高すぎる可能性が示されている。英商工会議所(BCC)、英国求人雇用連盟(REC)、そして英中銀の地方支店が実施した調査への回答はすべて、賃金の伸びが鈍化する可能性を示す内容となっている。

ADMインベスター・サービシズのチーフエコノミスト、スティーブン・ルイス氏は「基調的な賃金伸び率は持ち直しているのだろうが、上昇の勢いが強かったのは昨年後半のことだ」と指摘。「上昇が今年、一段と加速していることを示す証拠は多くはない」と述べた。

これらの3種類の調査は、統計局が発表する公的な賃金統計の先行指標としての性格を持っているが、3調査はすべて、賃金の伸び率が先行き横ばいになるか、もしくは伸びが鈍化する可能性を示唆している。

例えば、英商工会議所の調査によると、サービスセクターの賃金上昇率は昨年末ごろ、金融危機前に当たる2008年初頭以降で最高を記録した。ただしここ6カ月は、伸び率が緩やかな鈍化に転じている。

英中銀の地方支店は毎月、サービスセクターの従業員1人あたりの労務コストを調査しているが、労務コストは昨年10月に2008年9月以来の高水準に達した後は横ばいで推移している。また求人雇用連盟が算出している初任給指数は2014年7月以降、概ね下落している。

<賃金の伸び鈍化でも「利上げ妨げず」>

スコシアバンクのエコノミスト、アラン・クラーク氏は、最近の賃金上昇について、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が力強さを増したためではなく、比較する前年の水準が低いためと指摘。ここ1年間の前月比変化率を見ると、緩やかな回復にとどまっていることが分かるとし、賃金の年伸び率は「3%程度で落ち着きつつある」と述べた。

ただそれでも同氏は、インフレ率が現在のゼロ付近から上昇すると見込まれる来年初頭には、英中銀は利上げを開始すると予想。

同氏は「指標が驚くほど悪いといった状況にでもならない限り、(賃金の伸び鈍化が)利上げの妨げになるとは思わない」としている。

*見出しを変更します。

(Andy Bruce記者 翻訳:吉川彩 編集:吉瀬邦彦)

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