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欧州ソブリン危機のシンプルなまとめ(2)

以前、書いた欧州ソブリン危機のシンプルなまとめのツヅキ。

前回は醜い(?)図で説明した。ソブリン危機と金融の関連性。そして、それが実体経済に悪影響を与えるという負のスパイラルのイメージ。今回は「原因」に関して考えてみたい。

ギリシア人は怠け者だ!欧州人は働いていない!ユーロが失敗なのだ!という解説は耳障りはよいし決して間違いではないだろうが、それだけでは何も言ってないに等しいだろう。実際には南欧諸国の労働時間はドイツより長いという統計もあるのである。。。。

まず第一の問題は「周辺国の財政面の赤字」、すなわち財政面の脆弱さである。(ま、当たり前だが。。。)

2010年の各国のGDP対比の財政赤字はざっくり言うと
アイルランドが11%
ギリシアが10%
スペイン・ポルトガルが9%
イタリアが4%

である。

ちなみにフランスは意外にも7%である。ま、日本は8%だが・・・。

だから、銀行に資本を注入するという話が出始めると同時にフランス国債は売られ始めている。

そして、次の問題は前回取り上げたソブリン危機が欧州の金融システムに与える影響の大きさである。

そして第三に周辺国の多くが硬直的な労働市場を抱えていること。そして規制が強すぎるために市場を通した適切な資源配分がスムーズに行われないことである。

当然ながら第三の問題は周辺国の産業の競争力を低迷させる要因にもなっている。また、スペインなどの異常に高い若年層の失業率は労働市場の硬直性から来ていることは明白である。南欧の人は本当に怠惰なのだろうか?おそらくそれ以上に硬直的な労働市場が若者の就職を阻み・人生の再チャレンジを阻害している面が強いのではないだろうか?

第四には結局は国家によるいわば「パンとサーカス」というような甘えに基づいた政策が限界に来ていること。人々の働くインセンティブを奪っていることは間違いない。持続不可能な社会福祉政策という問題が明白になりつつあるのかもしれない。しかし、衆愚制に陥った多くの国々ではこれを変革していくことは容易ではないだろう。

国家というのは永遠に存在するものではないことは歴史を見れば明白である。国家は永久に続く。人口は増え続け、経済は成長し続けるとの幻想に基づいたシステムが破綻するときなのかもしれない。

だから、先日来、報道されているような銀行への資本注入が根本的な問題の解決にはおそらくならないだろう。あるいは、欧州の財政統合が本当に問題を解決するかといえばそれも疑問である。問題の根はもっと深いところにあると僕は考えている。

もちろん、ギリシアをデフォルトさせ、金融システムを守るために公的資本を注入するという方策はベストの方策の一つだと思っている。そのことは以前から書いてきた。しかし、最近の市場の動きはどうもそれでは終わらないことを示唆しているように思える。

なんだかシンプルすぎたが・・・。しかも当たり前だが・・・。

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