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iPS細胞 実用化へ「さい帯血」の活用を

再生医療の切り札とされるiPS細胞(人工多能性幹細胞)が実用化に向けて大きな一歩を踏み出した。

京都大学iPS細胞研究所が、備蓄している「iPS細胞ストック」の提供を始めたからだ。これによって、良質なiPS細胞を国内外の医療機関や研究機関に迅速に提供することが可能になり、研究の加速化が期待できる。

移植医療には、免疫の拒絶反応がつきまとう。iPS細胞ストックは、他人の細胞からiPS細胞を作製するため、移植時の拒絶反応が少ない「HLA型」の免疫を準備する必要がある。だが、その種類は膨大で、多くの人に適合する型を調べるには研究費用が多額に上るため、研究の足かせとなっている。

そこで注目を集めているのが、白血病など血液の難病治療に有効なさい帯血移植に使用される「さい帯血」だ。公的バンクに保存されたさい帯血は、HLA型の内容が事前検査で確認済みだ。この情報が、iPS細胞の作製にも役立つとされている。

2012年に公明党が制定を主導した「造血幹細胞移植推進法」で、移植に使われないさい帯血の研究活用が法的に認められている。ただ、十分に活用するには課題もある。

さい帯血提供者の多くは、移植利用のみに同意しているので、研究目的の活用には再同意が必要だ。しかし、提供者の所在確認に時間がかかったりするため、満足に活用できない現状がある。政府は、利用に関する同意取得手続きの統一化などを検討し、研究環境を後押ししてほしい。

提供者の中には、研究目的の活用に抵抗を感じる人もいる。個人情報の厳重管理は当然だが、研究に使う目的や治療上のメリットを説明するなど、提供者が納得できる取り組みが重要だ。

さい帯血は、バンクに保存してから10年以上経過したり、移植に適さないと処分される。善意で集められたさい帯血は貴重な医療資源だ。有効に活用していきたい。

米国では、胚性幹細胞(ES細胞)を使って加齢黄斑変性の臨床研究を行うなど、国際競争は激しさを増している。政府は、国内研究を強化するため、資金や人材面の充実にも力を入れてもらいたい。

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