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焦点:物価高響き消費者心理晴れず、夏場の景気復調に疑問符 

[東京 11日 ロイター] - 消費者マインドの委縮が晴れず、期待されている夏場の消費本格回復シナリオの実現性に「疑問符」が付き出した。背景には食料品価格の上昇が続く中で、賃金が伸び悩み、「節約」心理が働いているとの見方がある。消費が回復しなければ、4─6月期のマイナス成長後に「V字回復」するとの期待が、陽炎(かげろう)のように消えてしまうことにもなりかねない。

<身の回り品の上昇が消費者心理に影響か>

この夏は猛暑やセール、プレミアム付き商品券効果などの追い風が吹き、消費はしっかりとした回復の足取りをたどるとの期待が膨らんでいた。ところが7月の消費を占うマインド調査では、出足の鈍さが明らかとなった。

10日発表の7月消費動向調査は、期待に反して前月比で低下となった。内閣府は消費者マインドに足踏みがみられると判断を下方修正した。一方で、物価見通しは上昇するとの見方が一段と増えて87.7%に達している。昨年夏場以降ガソリン価格などが下落しているにもかかわらず、物価上昇見通しはほとんど影響を受けていない。食料品など身の回りの品々が、円安により相次いで値上がりしているためと推測される。

実際、内閣府がエネルギー関連製品などを除いて公表しているコアコア消費者物価指数は、6月に前年比0.9%の上昇だった。これは消費税の影響を除いたベースで比較すると、この2年間で最も大きな上昇幅。物価上昇の下で、消費マインドが悪化している可能性を映し出している。

10日発表された7月景気ウォッチャー調査でも、6月の天候不順による落ち込みから7月はしっかりと反発するだろうとの期待があった。しかし、期待を裏切り、結果はわずかな上昇にとどまり、先行きは2カ月連続で悪化見通しとなった。

同調査のコメントからは、食料品の値上げが続き、余計な出費に消費者が慎重になっているとの指摘する声が目立つ。「本来なら7月のボーナス商戦で数字が上向く月であるのに、今年は客の動きも販売台数も悪い」(東海地方・乗用車販売店)といった声もあり、実際7月新車販売も前年比9%減と大幅減となっている。

物価高が消費の足を引っ張っていることに関連して、BNPパリバ証券・チーフエコノミストの河野龍太郎氏は、リポートの中で「円安によって食料品価格などは上昇を続けており、実はこの影響で消費回復が遅れている。まさに原油価格下落のプラス効果を、昨年10月末のQQE(量的・質的金融緩和)2がもたらした円安で相殺したのである」と指摘する。

ロイター企業調査によれば、企業の値上げは昨年来の円安コストに加えて人件費高騰を理由に挙げている。

<7─9月期の回復シナリオに複数のリスク>

多くのエコノミストは、4─6月期のマイナス成長を予想している。第一生命経済研究所・主席エコノミストの新家義貴氏は、4─6月期GDPをマイナス3.5%成長と予測。「大幅マイナス成長は不可避な情勢であり、足元で景気が停滞していることは認めるしかない。問題は、この4─6月期の落ち込みが一時的なものにとどまるかどうかだ」と述べる。

SMBC日興証券・シニアエコノミストの宮前耕也氏は「4─6月期マイナス成長の後、7─9月期は景気反発となろうが、反発力自体はあまり強くないと考えた方がよさそうだ」とみている。

これに対し、黒田東彦日銀総裁は、消費の停滞を天候要因によるもたつきだとし、家計のマインドも改善が続いていると、7日の会見で説明した。

鹿野達史・景気循環研究所副所長は、平年を上回る気温が続けば、夏物消費は2000 億円強増加し、7─9月期の個人消費を0.3%、実質GDPを0.2%程度押し上げると試算。相対的に経済規模の大きな東京の気温の平年比での上昇が大きいことから、より効果が大きくなることも考えられるという。

しかし、所得の増加をよく見れば、実質賃金はいまだマイナス圏を抜けきっていない。民間エコノミストの間では物価を上回る賃金増加が実現しなければ、前向きの循環は続かないとの見方が多い。

景気が夏場から本格的に持ち直すには、内外需の両輪が持ち直す必要がある。しかし日本の輸出動向を大きく左右する中国経済の暗雲がなかなか晴れない。

経済協力開発機構(OECD)が10日に発表した6月景気先行指数によると、中国では前月から小幅低下し、景気減速の長期化懸念が浮上している。輸出が中国はじめ新興国向けで伸び悩むと、輸出・生産の回復は政府・日銀の読み通りに進まない懸念が広がる。

個人消費は所得の増加を背景に先行きは徐々に持ち直す公算が大きいとの声も出ているが、第一生命経済研の新家氏は「(国内経済の)不透明感は非常に強く、リスクは明らかに下振れである。景気は正念場を迎えている」と指摘した。

(中川泉 編集:田巻一彦)

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