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次の危機が近づきつつある-4 伸びない設備投資

前回は低迷する生産性の向上=低い潜在成長率に関して書いた。では、なぜ生産性の伸びが低迷するのだろうか?

前回とりあげたSF連銀のレポートのグラフを再掲すると…。

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上のグラフを見ると…。IT以外の分野の生産性の伸びが極めて小さいことがわかる。そしてIT分野が90年代から2000年代前半の著しい生産性の伸びをけん引していたことがわかる。ITという技術革新が同時期のアメリカならびに世界経済の高い成長の大きな要因であったことがわかる。

だが、IT革命からの果実も大方受け取ってしまった今となってはその伸びも鈍化しているというのが一つの要因だ。

もう一つの大きな要因は設備投資の伸びの弱さである。日本ではバブル崩壊以来設備投資の伸びの弱さが常に問題にされてきたが改善する傾向はほとんど見られない。同様のことはアメリカでも今問題になっている。

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zero hedge より)

右のグラフを見ていただきたいが、設備投資のGDPに占める割合である。景気の波によって左右されているものの年々その割合が減少していることがわかる。

設備投資の伸びが鈍いのは日本だけではないのだ。そしてアメリカだけでもなく実際、世界の先進国の設備投資は趨勢としては年々低下傾向にある。

まあ、経済成長が鈍化し、生産拠点は新興国に移る中で先進国内の設備投資の余地は非常に限られるし十分に豊かになりすぎた先進国にこれ以上のビジネスチャンスがあまりないというのは当たり前の話でなぜ設備投資が伸びないんだと安倍ちゃんが叫んだところで経済原理には逆らえない…。

それはそうと、単純に言えば生産性を上げるには設備投資を行うのが一番の近道だ。同じ労働者の数とスキルでより高い生産量を得るためにはよりよい設備を使うしか道はないからである。

だから、このような設備投資の鈍さは低い生産性の伸びにつながっていく。世界中の先進国で生産性が伸びない(=低成長が続いている)最大の理由である。

日本企業は設備投資を行わず現金をため込んでいる。だが、それは合理的な行動なのだ。では、アメリカ企業は?もう一つグラフを見ていただきたい。

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business insider より)

少し古いグラフだがわかりやすかったので・・・・。左がアメリカ企業だが、Capexが設備投資。それと同じくらいの量で自社株買いと配当を行っているのがわかる。アメリカ企業は株価を上げることに熱心だなあ…といえばいいことかもしれない。

が、裏を返せば本業に投資せずに自社株買いや配当で株価を釣り上げることだけをひたすら追求しているともいえる。この傾向は年々強まっているし、手持ちの現金ではなく借金をして(社債を発行して)自社株買いや配当を行う例が非常に増えてきているのである。同様の傾向はヨーロッパ企業にも見られ始めており、日本でもROE 重視の経営が最近改めてもてはやされているらしい。ROEなんて借金を増やせば簡単にあげられるわけでそんなものを重視すること自体が個人的にはあほらしいが。いずれにしても歴史的に割高といわれるような水準で借金を増やして自社株買いや配当を行う企業行動は普通に考えればどう考えても不健全であると感じられる方のほうが多いのではないだろうか?

いずれにしても企業経営者は本業で稼げないので設備投資を行わずにそのような株価つり上げ策に熱狂しているのである。伸びない設備投資、株価こそが命の間違えた経営姿勢(某アベノミクスもそうだが)が実は経済成長を阻害しているのだ。

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