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中国人が日本の安保法案をどう見るか

中国人で日本の安保法案について関心を持つ人は少ないのが実情です。中国政府の意向があるかどうかは不明ですが、関連報道自体が少ないのです。私も含めて一般中国人にとって歴史問題に絡んでいない日本の内政なので日本国民が決めればいいのです。

しかし、これだけ訪日中国人が増えたので日本の内政に関心を持つ人も自然に増えました。7割の日本国民が安保法案に反対している調査結果に一般中国人は羨望を込めて「日本は確かに民主主義国家になった」と再認識したようです。

特にSEALDsや高校生などの若者の反応が中国のネットでも話題になり、「コスプレ、漫画、ゲームに夢中で、社会問題に無関心」という日本の若者へのイメージも変わり始めました。

そんな中、安倍首相が名指しで中国を安保法案の対象だと言い出したことについて、中国の激しい反応を心配しましたが、記者に問われた中国政府スポークスマンは「日本は戦後の平和主義を堅持してほしい」と意外にも淡々と答えました。

一部の中国メディアは安倍首相が中国脅威を煽ると報道しましたが、だいたいのメディアは「安保法案を通すために中国脅威を煽る必要に迫られている」と理解を示したほどです。

中国人の私が日中関係を評論する時、日本人コメンテーターと同じことを言っても「中国人だから」という先入観を持たれるので誤解をされることがありますが、仕方のないことです。正直、歴史問題以外は、中国人のほとんどは日本に対して良いイメージを持ち、日本のマイナス話題に関心を持たないのです。ゆえに日本のマイナス情報がニュースになり難いのです。

テレビ番組でもよく言いましたが、私は日本の憲法改正に賛成です。自国が自国の憲法を制定したり見直ししたりするのは当然のことです。しかし、憲法は一旦形成した後、すべての法律がそれに抵触してはならないのもまた基本です。こんな常識を知りながらも、大半の国民と殆どの憲法学者が憲法違反だと認識している中、強引に憲法違反の法案を通す政権は民主主義の弱点を利用しているようにしか思えません。日本国民もそれを感じたからこそ反対したはずです。

「そのうち忘れるから」、「強引にやらないと何もできないから」、「世論は誘導すれば変わるから」という言い訳が多いのですが、これこそ民主主義に反する独裁発想であり、自分が国民より正しいという傲慢です。

民主主義体制の下でも独裁が有り得ることはナチスドイツが教えてくれました。選挙を経て政権を取り、国会の圧倒的多数を制してから憲法も体制も変えて独裁に走る歴史事例は枚挙に遑がないのです。

「民主主義は時間はかかるが、国民の支持を得てその長期的安定性を保つ。」これは中国国民が羨む体制です。憲法を変えることも安保法案を通すことも日本国民は恐れていないと思います。時間をかけて充分な議論を通じて日本国民が同意すれば、それに何の問題もないのです。

私的趣味に合うように、先祖伝来の「憲法改正」の結果に燃え、民主主義の基本であるプロセスを無視するようでは、日本の将来を担保する良い憲法を作れる訳がありません。日本国民はそんな私欲を見透かしているからこそ反対しているのでしょう。

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宋 文洲


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