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進撃の清宮 ~親子鷹の底知れぬ魅力 - スポーツ・インテリジェンス【第22回】 - 松瀬 学

ファンをつかむ、ファミリーの「熱」

このワクワク感は何だろう。夏の高校野球の甲子園が開幕した。ラグビー日本一のヤマハ発動機の清宮克幸監督の長男、早稲田実業(西東京)の清宮幸太郎内野手は8日、初戦の今治西(愛媛)戦に挑む。まだ16歳の1年生スラッガー。騒がれ過ぎの感もあるが、なぜメディアやファンを惹きつけるのか。

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「(幸太郎は)幸せ者ですよね」。先日の西東京大会決勝の神宮スタンド。いつもの無邪気な笑顔で喜ぶ幸太郎くんの姿を見て、清宮克幸さんもまた、顔をくしゃくしゃにした。幸太郎くんに限らず、スタンドの別のところにいた清宮夫人、次男の福太郎くんを含め、幸せな家族だなと思ったものだ。

清宮ファミリーの魅力は、やはり「熱」である。まっすぐな姿勢である。清宮さんも、幸太郎くんも、ひとつのことに全力投球する。没頭する。父はラグビー、長男は野球。そのひたむきさが、人々の共感を生むのだろう。

要は、純粋なのである。清宮さんのしつけのよさだろう、幸太郎くんは人の話を素直に聞くことができる。相手をリスペクトする。これって、人の成長には大きい。

素材は文句なし、である。父はラグビーで活躍し、幸太郎くんは184cm、97kgの堂々とした体躯を持つ。選球眼がよく、打席でボールを待つ姿勢も雰囲気を持つが、なんといっても、ボールを遠くに飛ばす力は天性のものでる。あの清原和博さんのPL学園時代の打球をほうふつさせるものがある。

ビッグマウスは伊達じゃない

親子そろって「有言実行」でもある。清宮さんはでかい目標を口にして、それをほとんど達成してきた。失敗した時の言い訳なんて考えない。高い目標設定はモチベーションを刺激することになるが、実は裏には緻密な分析と周到な準備があったからである。

そんな父を見て育った幸太郎くんも周りをはばからず、大きなことを言う。物おじすることはない。高校で初本塁打を放った試合後には、「(高校通算本塁打は)80本くらい打ちたい」と言って、メディアを喜ばせた。

幸太郎くんの話はオモシロい。甲子園出場を決めた試合のあとの囲み取材で、早実OBの斎藤佑樹(日本ハム)の言葉にひっかけて、記者から「(運を)持ってますね?」と聞かれると、ニンマリとしてこう、答えた。

「いやいや、実力だと思います。みんな、勝負をあきらめません。いつも必死で練習していますから。(早実は)運ではなく、実力を持っているんです」

甲子園初練習のあとはこう言った。

「(甲子園で)暴れてやるぞ、という気持ちが増しました」

確かにまだ甲子園ではまだ何の実績も残していない。トップクラスの投手の球を打てるかどうかはわからない。だがチャレンジすれば、成否に関わらず、成長の糧となる。

さて幸太郎くんの活躍はいかに。炎天下の甲子園。バッターボックスに清宮幸太郎内野手が立つ。スタンドでは父親が心で叫ぶ。

「幸太郎! 思い切っていけ!」

松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。

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