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おかあさん、「ひきこもりの奴隷」は止めて!!

■親を啓蒙したくない

そもそも僕は、このような、親に向けての啓蒙的タイトルの原稿を書きたくない。僕はたぶんかなりの「支援者」であり、親に対して啓蒙的な言葉を用いることに抵抗がある。

たとえばこのような過去記事(おかあさん、90才まで生きましょう!!~思春期は40才で終わる)を書くことにはずいぶん抵抗があったが、ここまで我が国でひきこもり問題が長引いてしまうと、こうしたタイトルを使わざるをえない。

そしてこの記事がアクセス200万PVにまで到達してしまうと(国民の60人に1人だ!!)、「おかあさん」に語りかける言葉は、やはりまだこの国ではパワーをもつと納得せざるをえない。

つまりは、ひきこもり現象は、総中流社会ニホンが最後に産んだ徒花だったとして、ということは根本的な原因は「社会」だったとして(子どもを追い詰め、若者に再チャレンジさせない総中流社会)、その問題への啓蒙が「母親」に対する言葉を分析することで効果があるのであれば、僕は使うことにしよう。

■奴隷

母親は、ひきこもり問題が長引いてくると、自分が、ひきこもる子どもにとった姿勢を反省し始める(第一の反省)。

子どもが不登校になった時、あるいは子どもが会社をやめた時、自分が説教してしまったこと(1.仕事に対して問い詰める、2.定年に伴う親の収入減を迫る、あるいは3.「近所の同級生はこんなに出世した」等の、いわゆる「地雷」を踏む)を悔やみ、そうした地雷は親自身のストレスのたかまりとともに定期的に踏みつづけることにはなるのだが、その一方で子どもを問い詰めることに対して自己反省する。

ここで、親を「第2の反省」が襲う。

第一の反省は、問題の顕在化の時期、つまりは不登校やひきこもりの初期に現れる。不登校やひきこもりになった子どもとの多くの葛藤を通じ、そうした状態に追い込んだのは親自身のあり方だったのでは、と自らを問う。

現実には、親のあり方(規範性、説教癖等)は大きな問題ではあるものの、問題の第一は社会情勢だ。

たとえば、団塊の世代が20才前半だった1970年には日本の若者の「正社員率」は異常に高く(たとえばこれ参照→戦後の学歴別就職率の推移をグラフ化してみる)、親や若者自身ががどんな人だろうが、ほとんどの若者は正社員になれた。

若者が発達障がい(的「個性」の強い人←国によってはその個性の強さを褒められる)だろうがなかろうが、社会情勢が若者の生き方を決める。

そうした事実を頭では納得しつつ、多くの親は第一の反省(ひきこもりは親のせい)を引きずりつつ、ひきこもる事態が長引くことに対してさらにうしろめたさを抱く。

そのうしろめたさが、親によっては、ひきこもる子ども(多くは成人している)のニーズをすべて満たしてやり直そうとし、過去の子どものニーズの無視をひきこもり以降でフォローしようとする。

そうした心理メカニズムが、ひきこもり若者のニーズをすべて叶えるという態度になり、客観的に見るとその態度は、「子どもの奴隷のような存在になっている」という表現で示すことができる。

■プリンス・プリンセス

僕は、そうしたメカニズムを通して「プリンス・プリンセス」になってしまった(ならされてしまった)子どもたちが憐れで仕方がない。

プリンス・ブリンセスは最初からプリンス・プリンセス(わがままな子ども)ではなく、二段階に及ぶ親の反省を通じてプリンス・プリンセスに「ならされてしまった」と言えないこともない。

その結果、親たちは「奴隷」のような存在として、子どもに対して親らしい提案(それは説教であり規範でもあるが)ができないまま10年を過ごす。

10年とは、子どもが30才になってしまうほどの10年だ。

実態の中では、それはそんなにたいしたこと/事態ではない。また、若い世代がどんどん時代の変化の波に飲まれて高校(あるいは中学や大学)を通過する事態でもある。

ただ、こうした影に隠れるニーズ(親の反省やプリンス・プリンセス)に、やっと焦点化できるようになった。そして、「高校生居場所カフェ」(高校生居場所カフェプロジェクト)がその呼び水になればいいと思う。

ついに我々は「パンドラの匣」を開けたのだと思います★

※Yahoo!ニュースからの転載

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