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インバウンド(訪日外国人)市場、スタートアップの勝機はどこにあるか

インバウンド(訪日外国人)市場が熱いと言われています。先日も土曜昼間の銀座を歩いていたら、ここは日本かというほど日本語が聞こえない状態でした。

今後、マーケットが過熱していくことが明白にも限らず、国内のスタートアップにおいてインバウンドのプレイヤーは明らかに少ないといえます。インバウンド市場をブレイクダウンして、各プレイヤーをプロットし、どんなビジネスチャンスがあるのか、本稿で読者のみなさんと考えられればと。

インバウンド客の行動の流れと、対応するスタートアップ

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自分が旅行する際のことを振り返りましょう。

①:こんなとこ行きたいな(行き先を決める)
②:移動どうしよう。安い方が嬉しいかも(LCC)
③:宿決めなくちゃ(ツアーじゃないもので、何かいい宿ないか)
④:何して遊ぼう(現地の人が案内してくれるといいかも)

こんな行動ではないかと。各行動に対応するスタートアップのロゴを上記に並べました。他の領域ではスタートアップサービスとして、旅行のプランニング自体をクラウドソーシングできるサービス(現地人が提案してくれる)とか、旅行体験記をログ化して共有するサービス(Compathy)や、スポットごとのCGM(Trip Adviser)があります。

Trip Advisorはいわずと知れた1兆円企業です。詳しくはこちらの記事を。

航空券はLCC需要が今後高まるでしょうから、アドベンチャーのようなLCCを扱う企業への注目が集まります。

旅館予約に関しては、reluxのような高級旅館予約サイトが富裕層の心を掴んでいくのではないでしょうか。

上記のバリューチェーンの中では①の「メディア」と④の「アクティビティ」にまだ参入余地があると本誌では判断します。

潜在需要掘り起こし型・英語インバウンドメディアに需要

人が海外旅行を企てる際、「こんなとこに行きたい」と想起するところから始まります。それは人による口コミ「最近、NYに行ってきたけど超良かったよ!」もあれば、メディアを通して「いいな、ここ行ってみたいな」と感じることもあるでしょう。

旅行ガイドブックに相当する市場であり、この市場のプレイヤーとしてはFind Travelの存在感が増しています。MAUは直近で700万。しかし、まだ英語対応しておらず、英語対応してインバウンド客を呼び込める旅行メディアで際立つサービスはまだないため、チャンスがあります。

「英語のインバウンドメディア」を作る際には、Find Travelと真逆のアプローチが必要だと感じます。それは国内外の日本旅行に関する検索クエリ数の違いにあります。Find Travelは「新潟 観光」という検索ワードでGoogleの検索結果1位です。しかし、「niigata tourism」のいう検索ワードは検索クエリ数が少ないと予測され、まず外国人にとって新潟という存在を認知させるところから始めなければなりません。

Find TravelはSEOドリブンの「顕在需要刈り取り型メディア」とみなすこともでき、それとは逆の「潜在需要掘り起こし型メディア」としてスケールさせるメディアを作れれば、勝機はまだあるかと。

リンク先を見る潜在需要掘り起こし型メディアは、突っ込んだ話をすると「ブランド想起」が強く「トップページ」や「ブックマーク」からユーザーが流入してくるようなメディアのことを指し、こうしたメディアを作るのは一朝一夕では不可能で、相当骨が折れます。だからこそ、やり甲斐があるし、スケール後の果実は大きい。Find Travelが英語対応して、潜在需要掘り起こし型に近づけてくる日も遠くないかもしれませんが、それでもまだいける市場だと思う。

英語メディアといえばnanapiがignitionをやっていますが、コストかけてグローバルで一発当てに行こうぜ!というアプローチ自体は数年後を見据えると正しいと思います。英語メディアをやるのであれば、インバウンド需要を見込んで英語旅行メディアをやるのが、グローバルで競争した時も「日本の英語旅行メディア」は日本にしか優位性がないため、勝ちやすい。ignitionであれば極論、どこの国がやってもさほど差が出ないかもしれない。

点ではなく線のアクティビティ(ガイドより親密な)に需要

次はアクティビティ。最近では、日本各地のアクティビティ予約ができるVoyaginが楽天に買収された。京都で書道とか、そういったアクティビティである。

アクティビティのスタートアップはasoview!やそとあそびなどのプレイヤーもいるが、送客課金型(手数料型)のモデルであり、相当な数の予約が成立しないとビジネスとして成り立ちにくい。C2C型の手数料のみならず、旅行企画会社などのマーケティングチャネルとしての売上比率がそれなりにあるという記事も見たが、C2Cでのスケールが肝であろう。

旅行を横串で見ると、こうした各地でのアクティビティは点といえる。点にももちろん需要はあるが、旅行先で実際に一緒に遊んでくれるようなサービスに需要があると筆者は感じる。そういったサービスは「ガイド」のようなビジネス的な存在ではなく、「友達が海外から来たから一緒に遊ぼうよ」的な親密なサービスはあまり聞いたことがないし、例えば大学生のスタートアップがやってこそ、競争優位性が出るのではないか。

例えば、旅行代理店のプランニングの中に「吉野家で飯を食う」とかはないはずだ。定型化された「浅草いって、六本木でドンキホーテで買い物して、皇居見たら京都へ!」的なプレイが多いのではないか。プランをパーソナライズ化して提供するのみならず、一緒に遊ぶ。日本の日常を体験してもらう。ということに価値があるのではないか。

筆者はNYでそういうサービスがあれば俄然使いたい。英語が苦手なので、現地在住の日本人がもてなしてくれるサービスとか。こういったサービスであれば、原価=人件費であり、一緒に現地で遊んでくれるだけでも1日1万円くらい支払い得る。そこに対して事業者が20-30%手数料を取っても成り立つだろうし、一緒に遊んでくれる側のユーザーが学生であればもっと提供料金を下げることもできるし、学生にとっては外国人と遊んでいるだけでお金が入る良いバイトとなる。

英語の旅行メディアと、一緒に遊んでくれる型アクティビティ。この2つがインバウンド市場においてまだガラ空きな領域に思える。なぜか、インバウンド市場は参入したがるプレイヤーが多いが、ほとんどは機能せず朽ち果てていく気がする。シリーズAに至らない旅行サービスはかなり多いという肌感覚がある。

これ以外にこの市場ではどんなサービスを提供すると成立しそうか?ぜひ読者の皆様からも意見を伺いたい。

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