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祖父・岸信介退陣時と酷似する状況になってきた安倍首相、いまやるべきことはこれだ!

安倍政権の内閣支持率が落ちている。朝日新聞社が10、11日に実施した調査では、内閣支持は38%、不支持は41%だった。いうまでもなく安保法制案の影響だろう。

国民への説明不足という批判に応え、安倍晋三首相はテレビに出演した。そこで安倍首相は、日本の隣家アメリカが火事になったとき、日本は消火しに行けない、だが、日本に燃え移りそうになったときには、アメリカに消しに行くことができると、集団的自衛権の行使を火災の消火活動にたとえて説明したのだ。だが、どうもそれは逆効果だったように僕には思える。あれでは国民を「バカにしている」と思われても仕方ないのではないか。そう心配になってしまうほどだ。

日本の安保体制が今のままでよい、とは僕は思っていない。1960年、「安保改定反対」のデモの中に僕はいた。当時、首相だった岸信介さんは元「戦犯」で、日本を再び戦争に駆り立てようとする「極悪人」だと思っていたのだ。

しかしながら、当時の僕は、実は「安保改定」の中身をまったく知らなかった。それまでの日米安保条約は、アメリカは、日本に基地を置くが、日本を守る義務はなかった。期限も決まっていなかった。戦勝国アメリカが敗戦国の日本に押しつけた「不平等条約」だったのだ。

その不平等条約を正したのが、岸首相だった。彼は、自民党だけでなく、社会党や経済界の要望もあって、日米共同防衛を義務づけた、より平等な安保条約を実現したのだ。それにもかかわらず、安保反対の声は高まる一方だった。反対運動は日本中に広まり、その収拾をはかるため、岸内閣は退陣を余儀なくされたのだ。

その後、東西冷戦の時代は、日本の安全保障はわかりやすいものだった。日本は、地理的に、共産圏に対する西側の「橋頭堡」と考えられていた。だから、アメリカに追随するだけでよかったのだ。

1989年になるとベルリンの壁が壊れ、91年にはソ連が崩壊し、東西冷戦は終わる。日本の「橋頭堡」としての役割は、ここで終わったのである。さあ、そこで日本の安全保障をどうするか。もうアメリカは、冷戦時代のように、日本を守ってくれるとは限らない。

このとき、日本には大きく2つの道があった。ひとつめは、日本が自らの力のみで自国を守るという道である。そのためには防衛力の強化が必要だ。核武装も必要になるだろう。さすがに、この選択肢はリアリティがない。

では、ふたつめの道は何か。日米関係の強化である。つまり、日本もアメリカのために働きますよ、だからアメリカに日本を守ってください、という道である。いままでの日本がアメリカに対して「片務」的だった防衛義務を「双務」に転換するのだ。

日本は、このふたつめの道を選んだ。その流れが、現在の安保法制の整備へつながっているわけだ。2014年に閣議決定された、「武力の行使の『新三要件』」のひとつめには、「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」とある。

「密接な関係にある他国」とは、当然、アメリカのことだ。ただし、これまでアメリカを攻撃した国は、70年前の日本だけである。

これまでのアメリカの戦争は、ベトナム戦争、朝鮮戦争、湾岸戦争など、すべてアメリカから仕掛けている。9・11のテロがきっかになったとはいえ、アフガニスタン紛争もそうだ。

現在の安保法制で問題なのは、アメリカが「仕掛けた」戦争にも、日本は駆り出されるのか、ということだ。その点で僕がもっとも懸念しているのは、いままであった「周辺事態法」が、「重要影響事態法」と変更されることだ。この変更によって、「重要影響事態」の地域を限定する要件がなくなるのだ。この要件については、「現行法制の基本的部分を維持」するという維新の党案がよい、と僕は思っている。

60年安保の当時、僕をはじめ、多くの若者は勉強不足だった。条文を読むことなどしなかった。そのことは認める。だが、岸首相はどうか。国民に必死で訴えただろうか。

安倍首相は、祖父・岸信介と同じ轍を踏むことは、絶対に避けたいはずだ。ならばこそ安倍首相は、世界情勢がどのように変化し、その中で日本はどの道を選ぶべきなのか、それを自らの言葉で真摯に国民に語りかけるべきではないのか。少なくても「火事」のたとえ話などで誤魔化すべきではない。難しい問題であっても、丁寧に順を追って説明し、「共に考え、共に進もう」という姿勢をはっきり示せば、必ずや国民に伝わるはずなのだ。

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