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人気番組なのに出演拒否!? 『しくじり先生』 制作チームがこだわる「ぶっつけ本番のドキュメント」とは?

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テレビ朝日系(毎週月曜よる8時)で放送中の『しくじり先生 俺みたいになるな!!』。過去に大きな失敗をしたことのある著名人を「しくじり先生」として講師に迎え、生徒たちに同じような過ちを犯さないようにと授業を行う「反面教師バラエティー番組」です。

華やかな世界に身を置く著名人の姿からは想像もつかない意外な失敗や、世間的にも「しくじってしまった」と思われるような一見タブーにも思える凋落にまで切り込みます。その失敗を本人自らが生き生きと語り、笑いと感動を生む番組内容が視聴者の共感を呼び、高視聴率を記録。今年4月には深夜枠からゴールデンタイムに進出しました。

2014年10月にはギャラクシー賞月間賞を、今年6月には第41回放送文化基金賞のテレビエンターテインメント番組部門・最優秀賞、及び構成作家賞を受賞と、視聴者と業界関係者双方から大きな評価を得て、ますます注目を浴びるこの番組。制作を手がける、演出の北野貴章さん、プロデューサーの冨澤有人さん、金井大介さん、乾弘明さん、髙木大輔さん、構成作家の樅野太紀さんの6人に話を伺いました。

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左から、乾弘明さん、冨澤有人さん、北野貴章さん、樅野太紀さん、金井大介さん、髙木大輔さん

自らの「しくじり経験」が番組企画のきっかけに。

画像を見るどういった経緯で番組が始まったんですか?


北野:僕、遅刻とか連絡ミスとか、そういうことでよく怒られてたんです。で、一度そういうキャラになったらもうおしまいじゃないですか。なので、そうならないようにしろよ、っていうことを言いたくて……最初にタイトルから思いついたんです。それで樅野さんにこういうことやりたいんですけど、って企画会議に持っていったんですけど……。

樅野:で、企画書見たとたんに、「これは大変だよ、北野くん」って。「だって、授業させるんだぜ? 30分ずっと喋らせるんだぜ?」って。そもそも「反面教師バラエティ」って正直、相当手垢がついてるフォーマットなんですよ。それをどうやったら新しく見せられるか、っていうのが最初の会議のテーマでしたね。そこからみんなで考えて、オリジナルの教科書を作って進行するっていうアイデアが出てきたんですけど、マイナス面もあるじゃないですか。教科書を読んでると顔が下向いちゃうから、うまく撮れないし。けれどそれが結果オーライというか、個性になりましたよね。ただまぁ、そうと決まったら、こりゃ大変だぞ、と。

画像を見る番組の台本だけじゃなくて、教科書も作るということですもんね。


樅野:今は1時間番組なんで、教科書だけでも100ページくらいあるんですよ。特番で何回か番組やったあと、「俺、これレギュラーになったら、死ぬわ」って言いましたもん、北野に。結果的にはレギュラーになりましたけど(笑)

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断られることは前提! 熱意を伝えてキャスティング。

画像を見る番組はどういう流れで作られるんですか?


冨澤:定例会議が週に1回あるんですが、それにディレクター、プロデューサー、作家、リサーチャーなど、総勢約30~40名のスタッフが集まります。それで、それぞれの立場から案を出してもらって、その案が成立するかしないか話し合ったり、次回に持ち越して調べてみたり、という感じです。ただまぁ、先生役のキャスティングが難しくて……。そもそもNGになる前提なので、とにかく案はいくつも出しておくんです。

樅野:まぁ、出演を依頼すると9割方は断られますね。

画像を見るえっ! 9割!?


冨澤:まぁそのぐらいのイメージ、っていう感じですね(苦笑)

樅野:僕ら結構、エグいところから始めるんですよ。カウンセリングというか、「あなた、こんなふうにしくじってますよ?」みたいなところから始めるので、正直門前払いも多いですし。僕らは会議のなかで名前を出すだけじゃなくって、この人にこういう授業をしてもらおうという想定をしてから取材に行くので、先生役のご本人にとっては意外なことが多いんですね。「こんなふうに思われてたのか!」と。事務所にしてみても、「うちのタレントはしくじってません!」みたいな(笑)

画像を見るなかなか説得するのが難しそうですね……。交渉はどのように進めていくのですか?


冨澤:最初はプロデューサー陣が連絡して、とにかくご本人と会う場を設けるところまで漕ぎ着けたら、担当するチームを組みます。この台本のところを見てもらうとわかるんですけど、最初にプロデューサー、ディレクター、AP、作家の名前が入ってますよね。あとこれにADを加えて、先生役ごとにチームを作ります。

それから先生役となるご本人と打ち合わせを重ねるんですけど……。ディレクターや作家は結構グイグイ行くんですよ。それに対して、プロデューサーはあくまで先生役の味方として、無理にやらせるものではない、っていうスタンスを取って、そこは結構明確に役割分担していますね。

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画像を見るディレクターや作家は番組としてのおもしろさを追求して、プロデューサーはあくまで先生役の気持ちに寄り添う、ということですね。

髙木:作家とディレクターが筋を作っていくわけですけど、しくじりを紹介していくので、行けるラインと行けないラインの境界線があるじゃないですか。そのラインが、もう毎日変わっていくんですよね。だからディレクターもプロデューサーに対して、ちょっと嫌になってくるんですよ。演出陣は「これがやりたい」。でもプロデューサーは「やらせるわけにいかない」っていう……、その境目をいつも戦っていて……。

冨澤:やっぱり最初にこっちも結構熱を持って、「信じてくれ」「絶対恥はかかせない」というところで口説いているので、先生役も決意を持ってそこに立ってくれている。それなら僕らプロデューサーも、ちゃんとディレクターとコミュニケーションを取って、先生役ご本人が出てよかったと思ってもらえる形にまで持っていかないと全く意味がない。先生役にとってプロデューサーは作品をつくる上での唯一の代弁者なので。そこは良い意味でディレクターと戦わないといけないと思ってるんですよね。

画像を見る教科書や台本はどのようにして作るのですか?


冨澤:基本的には先生役と担当チームが何度も打ち合わせを繰り返して、本の内容を詰めていきます。で、その本を定例会議で全員に見てもらって、もう、場合によっては第10稿とかになってたりするんですけど、お互いに結構辛辣なことも言うんですよ。この内容だとつまんないとか、成立してないとか。

樅野:「ただエピソード並べただけじゃん、俺たちがやってるのは授業なんだよ!」って。でもそうやっていかないと、良いもの作れないですからね。遠慮しても仕方ないし……。作るからには、先生役に恥をかかせない、おもしろいものを作っていかないと。

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