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TPP大詰め報道と中身が議論できない不条理

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合が最終決着一歩前で終わりました。月内にも最後の会合を開くといいます。決着することが善とする報道が目立ち、問題点が議論できないもどかしさが山積する一方です。安全保障関連法案といい、有権者は安倍政権に何をしても良いと丸投げしたつもりはありません。交渉の経過、問題点を開示すべきなのに、例えば著作権条項についてなら現行の保護期間50年から70年への延長や非親告罪化が既に合意されたと漏れ伝えられるだけです。きちんと異を唱えないマスメディアの姿勢は異様で、最終決着が延びた機会を捉えて広く議論すべきです。

 7月下旬には「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」が改めて緊急声明と110団体・3637人の賛同署名を内閣府TPP政府対策本部に提出しました。INTERNET Watch《TPP著作権条項への反対署名、コミケや二次創作への萎縮効果を懸念》で詳しく伝えられています。

 《TPPにおける著作権など知的財産権の条項について、各国の利害対立の大きい知財条項を妥結案から除外し、海賊版対策のような異論の少ない分野に絞ることや、条項案を含む情報公開を求める緊急声明》
です。「日本の文化・社会にとって重要な決定が国民不在の密室の中で行われ、21分野一体のため事実上拒否できない妥結案だけが国民に提示される事態を、深く憂慮する」と主張されています。

 著作権消滅作品の電子テキスト化に取り組んでいる青空文庫の《TPPによる著作権保護期間延長が行われた場合の青空文庫の対応》(2014年09月15日)を見てみましょう。

 《70年への延長が今年の年内に起ったとする。来年年頭、再来年年頭から公開可能になる作家(三好達治、江戸川乱歩など)の作業受付を停止する。来年年頭から公開可能な作家は2035年年頭から、再来年年頭から公開可能な作家は2036年年頭から公開可能になるからだ。現在、進行中の作業は一時、取りやめにすることになる。遡及されなかった場合には、現在公開しているファイルに変化はない。ただ、今後20年新規作家の追加は起らないことになる》
――これだけでも無視できない影響があります。

 日本の著作権法はガチガチの制約を課す法体系であり、米国流のフェアユースを認めるような柔軟さがありません。米国のNPO「Internet Archive」が世界中のウェブを蓄積しているのに、日本では公的機関が国内分ウェブだけ蓄積を検討して無理と判断した例が端的です。第483回「日本のパソコン技能がOECD最低報道の誤解」の《ネット活用オリエンテーション》にあげた「消えてしまったホームページの検索」のように柔軟に使いこなすどころか、より強化された法律で縛り上げて国内サブカルチャーの豊かささえ犠牲にしてしまう恐れ大です。

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