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主張/集団的自衛権行使/自衛隊「合憲」論さえ破綻する

戦争法案によって政府の自衛隊「合憲」論さえ説明がつかなくなるという重大な問題が、日本共産党の井上哲士議員の参院安保法制特別委員会での質問(7月30日)で明らかになりました。井上氏は、法案が集団的自衛権の行使を認めたことで、自衛隊を「合憲」とする根拠とされてきた「必要最小限度の実力行使」の範囲が時の政権の判断任せになり、海外での武力行使が際限なく拡大する危険を告発しました。これは、政府の理屈からいっても、自衛隊を憲法違反の「戦力」に変質させるものです。

「海外派兵」際限なく拡大

安倍晋三政権は、これまで違憲とされてきた集団的自衛権の行使を可能にするため、武力行使の「新3要件」なるものを定めました。▽他国に対する武力攻撃の発生により日本が「存立危機事態」になる▽これを排除するため必要最小限度の実力を行使する―などというのがその内容です。

これに対し個別的自衛権の行使しか認めていなかった従来の武力行使の「3要件」は▽日本に対する武力攻撃が発生▽これを排除するため必要最小限度の実力を行使する―などというものでした。

いずれも「必要最小限度の実力行使」を要件にしていますが、その意味は全く異なります。

従来の「3要件」の下、歴代政府は、日本が外国から侵略を受けた時でも必要最小限度の実力行使しかできないとしてきたため、「武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる『海外派兵』は一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されない」としてきました。

ところが、「新3要件」の下、戦争法案では、「存立危機事態」の「速やかな終結を図らなければならない」とされ、他国に対する武力攻撃の排除を認めています。井上氏が指摘したように、他国に対する武力攻撃を排除するため自衛隊が武力行使するとなれば、その場所が他国の領土、領海、領空を含むことは明らかです。

しかも、「存立危機事態」の「速やかな終結」に必要なことは、他国に対する武力攻撃を発生させた「戦争に勝つ」ため、「最大限の実力行使」をすることです(阪田雅裕元内閣法制局長官、6月22日の衆院安保法制特別委)。「新3要件」のいう「必要最小限度」は何の意味も持たなくなります。

安倍政権は、他国の領土、領海、領空での武力行使を一般に禁止した従来の政府の考え方は変わらないとし、その例外として念頭にあるのはホルムズ海峡での機雷掃海だけだと繰り返しています。しかし、井上氏の追及に首相は、他国領域での武力行使という例外を拡大しない担保を「法律に規定することは困難」だと認めました。結局、「時の多数派の政府の判断次第」(井上氏)でいくらでも拡大できることに他なりません。

「必要最小限度」を超える

政府はこれまで、自衛隊について「わが国を防衛するための必要最小限度の実力組織」であり、憲法9条が保持を禁じる「戦力」には当たらないとしてきました。しかし、戦争法案によって自衛隊は、歴代政府が「自衛のための必要最小限度を超える」としてきた組織になってしまいます。戦争法案の違憲性はいよいよ明瞭です。

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