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7月FOMC声明文、忍び足で利上げへにじり寄る

July FOMC Slightly Steps Closer To Lift-Off.

更新が大変遅れてしまい、申し訳ございません。

遅ればせながら、7月28−29日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)を振り返ります。いやはや、労働市場への文言が上方修正されたかと思いきやインフレには慎重で、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長率いるFOMCは煙に巻いてくれましたね。各メディアのヘッドラインも、アクセントを置く場所で意味合いが変わって興味深かったですよ。

声明文の主な変更点とポイント

【景況判断】
前回:「経済活動は1−3月期にほぼ横ばいにとどまった後で、緩やかに拡大した」

今回:「経済活動は足元、ここ数ヵ月にわたり緩やかに拡大している」
※翌日に発表された米4−6期国内総生産(GDP)速報値は2.3%増、米1−3月期GDPはプラス成長へ上方修正したため、”1−3月期にほぼ横ばいにとどまった”を削除、成長回復をアピール。

前回:「住宅投資はいくらか改善してきている」

今回:「住宅投資はさらなる改善を遂げている」
米6月住宅着工件数米6月中古住宅販売件数米7月NAHB住宅市場指数とそろって大幅に改善。

前回:「概して、一連の労働市場を示す指標は、労働資源の活用不足がいくらか減退したことを表す」

今回:「概して、一連の労働市場を示す指標は、労働資源の活用不足が減退したことを表す」
米6月雇用統計は失望を誘う内容ながら失業率が低下し不完全失業率や長期失業の割合も改善、さらに米新規失業保険申請件数も1973年以来の低水準を記録し、”いくらか”の文言を削除。

前回:「インフレは以前からのエネルギー価格の下落やエネルギー以外の輸入品の下落を一部反映し、Fedの目標値を下回ったままで、エネルギー価格は安定しつつあるように見える

今回:「インフレは以前からのエネルギー価格の下落やエネルギー以外の輸入品の下落を一部反映し、Fedの目標値を下回ったままだ」
※ドル高圧力を意識し、米6月輸入物価指数の低下もあって輸入品の下落を前回に続いて言及。米6月生産者物価指数米6月消費者物価指数が上向きには特に反応せず。原油先物が4月2日以来の50ドルを割り込んだため、”エネルギー価格は安定しつつあるようにみえる”との文言を削除。

【統治目標の遵守について】
今回:「委員会は二大目標に即し、最大限の雇用と物価安定を目指す。委員会は適切な緩和政策の下、経済活動が緩やかに拡大し、労働市場を表す指標は委員会が二大目標に沿うと判断する水準に回帰し続けると予想する」
※文言を変更せず。

【政策金利について】
前回:「委員会は、労働市場が一段の改善を示し、インフレが中期的に2%の目標にたどり着くと確証を得れば、利上げが適切になると予想している。」

今回:「委員会は、労働市場がさらに一段の改善を示し、インフレが中期的に2%の目標にたどり着くと確証を得れば、利上げが適切になると予想している。」
※第1パラグラフの景況判断と同じく、労働市場の改善を認識し”さらに”との文言を追加。

【票決結果】
反対票は1月、3月、4月、6月に続き5回連続でゼロ。2015年の地区連銀FOMC投票メンバーはアトランタ連銀のロックハート総裁、シカゴ連銀のエバンス総裁、リッチモンド連銀のラッカー総裁、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁となる。2014年は7月以降、9月、10月、12月と4回連続で反対票が投じられていた。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、Fed番のジョン・ヒルゼンラス記者による「Fed、利上げに向け注意深くコマを進める(Fed Preps Careful Path for Rate Hike)」 と題した記事を配信。利上げ開始に向け労働市場には明白な進展がみられたものの、インフレが停滞する悩ましい状況にあると伝えた。利上げに踏み切る時期を示唆しなかったものの、9月16−17日開催のFOMCで着手する余地を与えたとも報じている。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果を受け「『委員会は労働市場がさらに一段の改善を示し、インフレが中期的に2%の目標にたどり着くと確証を得れば、利上げが適切になると予想している』の文章に『さらに』が含まれた点は些細であるものの、見捨てておけない」と指摘。わざわざ盛り込んだ理由として「労働市場さえ一段と改善すれば、利上げ開始に踏み切る可能性を示唆しているのではないか」と解釈する。「9月利上げ余地を残す」としつつ、米7月雇用統計を8月7日、米8月雇用統計を9月4日に予定する雇用統計が弱含めば、「先送りしかねない」と結んだ。

——全くもって、じれったい声明文でした。米株はタカ派過ぎない内容を好感し買いで反応、米4−6月GDP速報値で9月利上げもかくやと判断されたとはいえ週足、月足で上昇して終了しています。誤配信したFedスタッフ経済・金利見通しは年内1回の利上げを示していた事情もあり、米株相場は緩やかな利上げ開始を受け止めつつあるようです。

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