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安心、安全はただではありません!使い捨てには金がかかります!

朝日新聞記事です。使い捨てカテーテル再使用 神戸大病院「滅菌すれば…」

内部告発でわかったようです。厚労省が禁止していることをおこなった違反となっていますが、すこしみなさんに考えて頂きたく提示します。

このカテーテルによる不整脈治療。ME危機を駆使し、心臓の伝導路を電気で焼くことで不整脈を治療するものです。ひとつのカテーテル手術と言われるものですが、ある程度検査を行いながらも推測しながら焼く場所を決めていきます。

本当に医師だけでなくチームの腕が必用なもので、教科書等から予想される場所を1回で焼くことで不整脈がなくなる時はいいですがなかなかそうはいきません。数回色々な部分を検査しながら最終的に不整脈がなくなる場所を突き止め焼いていきます。その際使うカテーテルは複数になってしまい、難しい症例程使う本数が多くなり赤字になってしまいます。

同科の平田健一診療科長は「保険では3、4本までしか使えず、それ以上は病院負担になる。滅菌すれば安全なので使ってしまった」と話した。

このカテーテルの値段、心筋梗塞のステント治療でも同じことが言われています。救急の場において命を助けるために夜も寝ないで頑張ったのに赤字!でも病院側も赤字になっては困りますので、医師達に事務方からおこごとがきます。

私は一貫してこの手間のかかる医療が赤字になることはおかしいと言ってきました。(最高の医療・介護のあり方:医療者と事務と行政のチーム医療 その人の生活に関与)まして事務方から文句言われてしまうと医師達はきつい仕事を続けるモチベーションがなくなります。もちろん医師達もコストの自覚は必用ですが今の医療料金制度では悪循環なのです。

昔は様々な物品は滅菌して再利用していました。そしてそれは基本安全なものでした。今でもかなりの物品は病院で滅菌再利用されています。それでも感染管理の部分、不確実性を考えたとき物品は使い捨てがいいのではないかと現在に至っています。厚労省が禁止したのはこの流れ、一度他の人間に使ったものは再利用してはいけないという原則なのです。そうなるとお金がかかるのですが、医療費については増やすどころか減らしています。

ここで日本の医療の値段について考えていきます。

医療の値段は中医協という厚労省所管の独立行政法人が決定します。そこにどれだけの材料費とかどれだけの人件費とかを含む医学的妥当性は存在しますが、あまり最先端の臨床には詳しくない方ばかりですので現場とずれが生じます。緊縮財政として医療費全体のパイは決まっているのですから(前年度からの比較)、材料費、人件費がどうあれ基本あまり病院が黒字にならないように値段は決められます。

例えば消化器内視鏡で行われている早期がんを切除するESDとか、出血性潰瘍からの出血を止めるクリッピングなんて処置も、30分で終わろうが2時間かかろうが請求できる値段は一緒です。ここに難易度、人件費、夜間という時間等はあまり考慮されません。

ちなみにジェネリック医薬品は国内企業が多いのですが、日本のジェネリック医薬品の値段は海外よりとても高いことが言われています。先発品を安くすれば一番安全なんですが、それは中医協が認めません。そのため値段が高く安全に不安のあるジェネリックを医療費削減のため推奨するという厚労省の矛盾があります。(産業を発展させるという部分はわかっていますが、あまりに露骨...)

また輸入されるカテーテル等の日本の材料費はとても高いことが言われています。そしてその大部分は海外性。現在一兆円の輸入超過になっています。患者さんから頂く医療の値段に消費税はかかりませんが、薬剤を含めた材料には消費税がかかります。本当に変なビジネスです。そして日本の医療は世界に比べると時間あたり一番安い人件費が支えています

また以前から言っていることですが、救急は基本病院にとって金食い虫です。診断のわかっていない、しかも一刻一秒を争う重症な患者は人も手間もかかれば検査も増えます。そしてこの記事に書かれているような正しい医療をやろうとすればするほど赤字になるビジネス構造。それ故ビジネスに徹することができる病院は、儲からないことを含めてリスクをとることをあまり行いたくありません。 

ではなぜ病院で救急を行っているところが存在しているのか。それは補助金がつくからです。ただこの補助金も微妙で、やってますと手を挙げていればつくようなものがあり、実際救急患者をそんなにみていなくても認めてもらえています。だから救急標榜している病院の数はまずまずなのに、結果患者さんの行き場所はなく色々な問題が起き、川越救急クリニックのようなコストパフォーマンスが悪くてもなんとか赤字にならないような善意の病院達がそこを補っています。(最近補助金やっと認めてもらえたそうですが、それでも本人アルバイトしています!でももうひとつの松岡救急クリニックは3件目の拡大予定と言っていますので儲かるようになった?) 

今回の記事、違反は誉められたことではないですが、 この教授の言葉から日本の医療のあり方、コスト、ビジネスをみなさんで考えていただければと思います。

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