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なぜ敵国扱いされてもアメリカに忠義を尽くすのか



内部告発ウィキリークスは7月31日、アメリカの国家安全保障局によって日本の首相官邸や経産省など主要な政府機関が盗聴され、通商交渉や気候変動、原子力政策などをめぐる日本政府の内部情報が漏洩していたことをうかがわせる文書を公開した。しかも、アメリカは盗聴によって得た情報をFive Eyes(5つの眼)と呼ばれるオーストラリア、カナダ、英国、ニュージーランドの政府当局と共有していたという。

 日本時間8月1日午後の時点では、アメリカ政府はこの件については確認を避けているが、NSAはドイツのメルケル首相やフランスの歴代大統領の盗聴を行っていたことが既に明らかになっている。軍事同盟国でもある日本に対しても、同様の盗聴行為を行っていたとすれば、本来であれば両国関係に少なからず影響が及ぶ、重大事件にならなければおかしい。

 ところが安倍政権は、アメリカとの同盟強化のために憲法解釈を変えてまで、集団的自衛権の行使を可能にするための法案を強行に可決しようとしている。安保法制の成立によって日米同盟がより強固なものになれば、万が一、日中間で軍事衝突が発生した際、アメリカが日本を守ってくれる可能性が高くなるはずというのが、今回の法改正における抑止論の本質のようだが、盗聴の対象となっているような国を、自国の国益を超えてまでアメリカが守ってくれると考えるというのは、どう考えても無理がある。

 この何とも言い様のない「ズレ」は、一体どこからくるものなのか。

 また、今週の『マル激トーク・オン・ディマンド』では共産党の志位和夫委員長に共産党のソフト路線の本物度を問うたが、野党各党が安保法制に強硬に反対しているにもかかわらず、もし法案が可決した場合、法律の廃止を掲げて選挙を戦う野党共闘の話は、志位氏の口からは終ぞ聞かれなかった。これでは、世論の過半が反対する法案が、国会内の数の論理で可決されてしまうことは必至だ。そして、「いざ選挙で審判を」となっても、野党が四分五裂状態にある限り、小選挙区制の下、自公連合は多少議席を減らしたとしても、政権を失う心配までする必要はない。

 どうも、どこかで何かが大きく「ズレ」ずているように思えてならない。

 同じく31日、福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷容疑で告発された東京電力の勝俣恒久元会長ら元役員3人が検察審査会の議決を経て、強制起訴されることが決まった。

 日本では重大事故原因の究明の仕組みが整備されていないため、強制力を持った調査を行うためには、刑事告発するしかない。しかし、刑事告発を行った場合、被告側は自らの訴追を免れるために、原因究明調査への協力を拒み、関係企業も情報公開に非協力的にならざるを得ない。刑事告発が必ずしも原因究明につながらないという問題は、いみじくも8月12日で30周年を迎える日本航空123便の墜落事故以来、繰り返し指摘されてきた。

 アメリカには乗り物事故や重大事故の際、関係者を刑事免責した上で、原因究明に全面協力させる制度がある。司法取引の一形態だが、その事故の個別の過失責任を追求することよりも、原因を究明し将来につなげることの方に、より大きな公益を見いだしているからだ。

 実は日本でも今国会に刑事訴訟法の改正案が審議され、その中に日本では初めてとなる司法取引の導入が含まれている。しかし、今国会で審議されている司法取引は、他の犯罪の捜査に協力すれば自身の罪を軽くしてもられる捜査協力型司法取引は含まれているものの、上記のような原因究明のための司法取引は含まれていない。要するに警察・検察の権限強化につながる司法取引は導入されるが、事故原因の究明というより公共的・公益的な目的のための制度導入は図られていないのだ。

 ここにもまた大きな「ズレ」を感じずにはいられない。

 この「ズレ」をわれわれはどう捉えればいいのか。それを修正するために、何が必要なのか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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