記事

デモに参加すると就職に不利になる?

 安倍内閣が進めている安保法制に反対するデモに参加すると、就職活動が不利になる。そういう話が出回っているらしい。私は確認していないから知らないが、過激派がいて、そういう人々との付き合いを企業が嫌う云々という話だ。

 常識的に考えて、デモに参加したくらいで過激派と繋がっていると思われることはないだろう。

 しかし、私は就職活動に不利になる可能性はあると思う。

 これはいわゆる「左」の政治運動だからではない。日本の企業は政治運動そのものを嫌う。右であれ左であれ、政治に興味関心のあるような若者を忌避する傾向がある。

 全ての企業が、とはいわないが、多くの企業が欲しているのは、結局のところ、愛想がよくて、人当たりのいい人間、上司の命令を疑問視することなく忠実に従う人間だ。悪く言えば、アイヒマンのような人間を望んでいる。

 自分から、社会を変革しようだの、政治にものを申すような、自分の意見、主張のある人間を嫌うのだ。

 私の講演会に熱心に足を運んでくれる某大学の学生がいた。今はもう社会人として活躍しているが、就職活動をしている際に、「学生時代に一番頑張ったこと」との項目で「総選挙の手伝いをしたこと」と書いたら、就職課の職員に「政治的なことを書くなんてとんでもない!」と叱られたという。確かにこの就職課の職員のいうように、政治的中立=政治に無関心な学生が会社には採用されるのだろうが、複雑な思いだ。

 表向き、「若者は政治に関心を持とう」、「選挙に行こう」だの綺麗ごとで取り繕いながら、実際に政治に関心を持った学生、若者に冷淡なのが日本社会だ。だから、好まれるのは政治的中立とは名ばかりで、政治に全くの無関心な、自分のことしか考えない学生だ。政治に関心を抱かず、大学の講義にも興味はないのだが、そこそこの成績を取り、サークルやバイトに熱心だ。こういう学生を歓迎する日本の企業が問われるべきだと感じている。

 その就職課の職員に叱られたという学生は、私に「政治になんか関心をもったのが間違いでした」といって、残念がっていた。私は「直接就職の役に立つとはいえないが、必ずその経験が人生の肥やしになるはず」と答えた。少なくとも公を思い、自分の信じた候補者を無償で応援し続けた経験は、人生において無駄ではないと信じている。

 安保法案に反対している学生に対して、私としては、もう少し勉強して欲しいと思うのが本音なのだが、彼らが反対の声をあげること自体は否定されるべきでない。私はデモという形式が大嫌いなので、デモ活動という形の政治参加には懐疑的だが、若者が政治に関心を抱き、参画することは結構なことだ。

 軽薄なお祭り騒ぎではない、冷静な論理に基いた批判、政治活動なら、堂々としたらいい。就職活動に若干、不利な点があろうとも、そんなことは覚悟の上でやればいいではないか。右のデモも同じだ。リベラルであるならば、「日本が戦争に巻き込まれる」、右派であるならば、「憲法改正をしなければダメだ」と本気で思い、そのような政治活動をすることに意義を見出すならば、自分の就職が少々不利になってもいいではないか。そんなことくらいで評価を左右する愚かな会社になど入ってやらなければいい。どうせ、そんなことで若者を評価する人間たちが集う会社など、何も考えないつまらない人間の吹き溜まりだ。 

 少なくとも、私は、大学のサークルで遊び呆け、バイトにうつつを抜かしている学生よりも、右にせよ、左にせよ、真剣に我が国の将来を考えている若者を応援したい。

 自分で考えて行動する学生のエネルギーを評価する会社が少ないのは極めて残念だ。

あわせて読みたい

「デモ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    橋下氏 任命拒否の教授らに苦言

    橋下徹

  2. 2

    給付金効果はあったが見えぬだけ

    自由人

  3. 3

    すすきの感染 酒飲みにうんざり

    猪野 亨

  4. 4

    官僚へ負担どっち? 野党議員反論

    BLOGOS しらべる部

  5. 5

    処理水の安全 漁業側が自信持て

    山崎 毅(食の安全と安心)

  6. 6

    iPhone12かProか...売り場で苦悩

    常見陽平

  7. 7

    日本における次世代の目玉産業は

    ヒロ

  8. 8

    コロナ巡るデマ報道を医師が指摘

    名月論

  9. 9

    岡村結婚の裏に涙のエレベーター

    文春オンライン

  10. 10

    学術会議に深入りしない河野大臣

    早川忠孝

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。