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- 2015年07月29日 17:40
日本の名誉と信頼を回復するための提言
3/34.求められる今後の対応
世界における慰安婦問題についての事実ではない歪曲された憂うべき状況を一刻も早く除去することが、日本の名誉回復のために必要である。さらに、今後、世界遺産登録をめぐり、日本と韓国との間で生じた紛議に見られるような事例が無いように、また、日本の立場、各種情報、政策、そして平和国家としての歩み及び日本の目指すべき将来像について、常時、国際社会に発信するために、今後次のような取組を政府をはじめとして関係する主体がそれぞれ効果的な形で推進していく必要がある。当然のことながら我が党としても日本の名誉回復のために、積極的に対応することが必要である。なお、最も重要な隣国である韓国との間で、早期に首脳会談を実現し、諸課題の解決と友好関係の再構築に努めることの重要性は論をまたない。
(1)事実誤認等に対する説明・反論・働きかけ、法的対応
1)事実誤認に基づく日本の主張と相反する諸外国の記事、報道、出版(教科書を含む。)等に対し、政府自ら率先してウェブサイト、雑誌・新聞への投稿等を通じ、客観的な事実関係、日本の立場や取組を丁寧に説明し、また、適切な反論を行うなど、効果的に発信する。
例えば、今回の世界遺産登録に際して、日本が「強制労働」を認めたとの誤解を生じないように、1944年秋以降の徴用政策による労働は、日本人にも韓国人にも同様に適用されたものであり、ILO条約上の「強制労働」には当たらず、合法的であったことを世界に向けて発信する。
2)諸外国における慰安婦問題に関する像・碑・広告看板等の設置、議会決議の採択等の動きがある地域に対し、議会、行政府、メディア、日系人・在留邦人等様々なチャンネルを通じ、必要な情報収集及び働きかけを行う。
3)日本の教科書、辞書等において、また、教育現場において、事実誤認に基づく記述が掲載され、また教育が一部で行われていることについて、これが適切な形で修正されるよう、様々なチャンネルを通じて関係者に客観的な事実関係、政府の立場や取組について丁寧に説明する。
4)不当訴訟が行われないよう、訟務局と連携して万全の対応を図るとともに、争うべきときには事実関係を含め争うことができるように訟務局の体制を強化する。
(2)国際社会の理解の増進
1)国連を始めとする国際的な場において、日本のイメージの向上に資するような情報発信、反論等に積極的に取り組む。
2)テレビの国際放送、インターネット等のメディアを最大限活用するなど、一般の人々に対しても直接日本の立場や取組について効果的に発信するツールの開拓に努める。
3)慰安婦問題について正しく記述され、その発信が適当と思われる出版物の翻訳に積極的に取り組む。
4)国連総会決議により死文化したことが確認されている国連憲章のいわゆる「旧敵国条項」について、国連憲章の改正の機会に、その削除に向けて努力する。
(3)国際交流の枠組みの活用
1)国会をはじめ議員の外国訪問、外国議員団の来日等の機会を捉え、議員間交流を通じ、諸外国の要人に日本の立場や取組を積極的に説明し、理解を求める。
2)姉妹都市交流、企業間交流、JETプログラムや青少年交流関係者等を含むその他民間の交流等様々なチャンネルを通じた活動を展開し、諸外国における「親日派」の開拓に努める。
3)ODA、法整備支援などの戦略的取組により、価値観を同じくする仲間を増やす。
(4)第三者による情報発信の促進
1)政府が率先して戦略的に情報発信を行えるよう、国際的な影響力を有する欧米諸国の学者・研究機関・報道機関等に対し、随時、必要な情報提供を行う。ジャパン・ハウス等の外交資源を有効に活用する。
2)有識者、著名人等によるシンポジウムの開催や、有識者間の交流・会合を通じた第三者による情報発信の支援に積極的に取り組む。
3)日本の立場や取組に関する発信に有効と思われる諸外国のシンクタンク、コンサルタント、弁護士等を積極的に活用する。
5.日本の将来像
以上のとおり、本委員会は日本の名誉と信頼を回復するために何をすべきかについて、提言を行った。しかし、我々の対応は現在の不名誉な状況を除去するための対処療法にとどまるべきではない。我々の原点は、日本が国際社会においてふさわしい名誉ある地位を占めること、日本人が世界において尊敬され、高い信頼を得る存在であり続けることである。そのためには、日本の名誉と日本に対する信頼を更に高めていくため、常日頃我々自らが努力していく必要がある。
そして、日本は単に経済大国だけでなく、道義国家・文化国家をめざし、国際社会が直面する様々な課題に自ら率先して取り組み解決していくことが不可欠である。
現在、サイバースペースの発展によって人々の外国に対する興味や関心は高まっているが、こうした間接的な情報より、むしろ実際の交流を通じて、世界の多くの人々に現在の日本のありのままの姿、日本本来の良さを理解してもらうことが重要である。同時に我が国は、自国の文化伝統を大切にするとともに、多様な外国の文化伝統の良さを受け止めることで、より一層精神的豊かさを深めることができる。日本人が誇る寛容さと謙虚さをもって、他国の文化伝統に対して敬意を払う姿勢を示すことが、文化大国としての日本のあるべき姿であり、そのような道義的高みに立つことにより、日本の文化伝統もまた世界の人々から更に親しみや尊敬を勝ち得ることができるようになると考える。
このような基本的考え方に基づいて、具体的に4つの施策を強化していくことを提言する。自民党として積極的にイニシャティヴをとっていくとともに、政府の施策を強力に支援することとする。
第一に、日本はアジアの平和と発展に中核的役割を果たしていかなければならない。
日本は、戦後、二度と戦争を起こしてはならないという過去への痛切な反省の上に立ち、平和国家としての途を歩んできた。そして、一貫してアジアにおける自由と民主主義、そして法の支配を尊重し、力ではなく友好により、地域の平和と経済発展に貢献してきた。
アジア地域は、今や世界における成長センターとなっているが、同時に、安全保障上の緊張が高まりつつあるのも事実である。
こうした中で、日本が引き続きアジアの平和と発展のために法整備支援や質の高いインフラ整備、さらに戦略的なODAの活用や医療・教育など人道的支援を通じて、積極的に中核的役割を果たしていくことが、日本の名誉と日本に対する信頼を更に高めることにつながる。
第二に、戦後の人権国家としての歩みを強固なものとするとともに、女性が一層活躍できる社会を構築していくことである。
戦後、日本は憲法において定められた基本的人権の尊重を実践し、人権に関する多くの国際条約を締結してきた。また、自民党政権の下、すべての人にチャンスが与えられる社会づくりに成功してきた。
今後とも日本は、世界のすべての人々が法の支配を享受し、平和で安心した暮らしができるよう貢献し、アジア諸国の模範となっていく必要がある。そして、日本経済再生とこれまで脆弱な立場に置かれてきた女性の支援という2つの重要な観点から、女性が十分に活躍できる環境を整えるべく政治的イニシャティヴをとっていく必要がある。
慰安婦問題をめぐり、客観的な事実に基づかない報道等により日本の名誉と信頼が失われたが、日本としては、今日的課題である紛争下における女性の人権の保護の問題に、より一層積極的に取り組むことにより、女性の人権が二度と侵害されることのない世界をつくっていくことに貢献すべきである。
第三に、日本は国際社会の国々から尊敬や信頼を受ける文化国家を目指すべきである。
日本の豊かな伝統や文化は、これまでも海外において大きな関心を集めてきた。最近ではクールジャパンの名のもと様々な文化活動が、多くの若者の心をつかんでいる。これらは掛け値なしの日本の姿を示すものであり、更に多くの国外の人々に日本の文化に接してもらうことにより、日本に対する理解や親近感を深めることができる。このような地道な文化の海外への発信活動こそが日本の名誉や信頼にもつながっていく。
また、日本人は古来より中国の古典や西洋・東洋の美術をはじめ外国の文化に大きな関心を示し、互いに影響を与え合ってきたが、外国文化に対して寛容に学び豊かな文化的素養を持つことは、日本の文化国家としての地位を強固なものにすることにつながる。こうした観点から、今後とも世界の国々との文化交流を国家戦略として強化していく必要がある。
第四に、未来を担う青少年の交流、とりわけ近隣諸国との間の青少年交流を強化していくべきである。
若者はソーシャルメディアを通じて様々な情報に接している。その中で、人々は世界で起こっていることに大きな関心を持つようになる反面、事実に基づかない情報、偏ったイメージに基づく誤解も増えている。
ここ数年、中国、韓国、東南アジアを含め多くの外国人観光客が日本を訪問しているが、そのほとんどの人々が日本を訪れてよかったとの感想を述べている。サイバースペースを通じた虚像ではく、人々の直接の接触を通じて、実像の理解を深めることがますます重要になっている。
未来を担う青少年の交流を一層促進し、人と人との実際の接触を通じて、外国の若者に日本の本来の良さを知ってもらうことで、親日派、知日派を増やしていくよう地道に努力していく必要がある。また、日本の若者が外国に対する理解を深め視野を広げることにより、将来日本が国際社会においてより一層の名誉と信頼を勝ち得ていくことにつながると考える。
・慰安婦問題関連年表 - pdf



